ワークフローと文書管理の違いは?連携するメリットやポイントを解説

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  • ワークフローとは、電子文書の申請・承認業務の手順やサイクルのことである
  • 文書管理とは、社内に存在する多くのドキュメントを管理することである
  • ワークフローと文書管理の連携で、承認された文書の管理や必要な時に呼び戻しが可能

ワークフローとは、電子文書の申請・承認業務の手順やサイクルのことを言います。対して文書管理とは、社内に存在する多くのドキュメントを管理することです。本記事では、ワークフローと文書管理の違いや、2つをシステムで連携するメリットや連携方法などを解説しています。

目次

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  1. ワークフローと文書管理の違い
  2. ワークフローシステムと文書管理システムの違い
  3. ワークフローシステムと文書管理システムが持つ課題
  4. ワークフローシステムと文書管理システムは連携がおすすめ
  5. ワークフローと文書管理のシステム連携のポイント
  6. ワークフローシステム・文書管理システムを選ぶポイント
  7. まとめ

ワークフローと文書管理の違い

ワークフローは、電子文書の申請と承認プロセスのことであり、文書管理は、組織内の文書を適切に管理するプロセスです。以下にワークフローと文書管理の違いについて具体的に解説します。

ワークフローとは

ワークフローとは、電子文書の申請と承認プロセスを効率化する仕組みです。稟議書や申請書などの文書を作成・提出し、承認者からの承認を得るまでの一連の手続きを指します。

ワークフローを管理するためのソフトウェア・システムには、ワークフローシステムがあり、フォーム設計・フローの定義・申請書作成・承認や決済などの機能を持っています。

ワークフローシステムの導入により、従来の紙ベースの手続きに比べて効率的な文書管理と

承認プロセスが実現可能です。

文書管理とは

文書管理とは、社内のさまざまな文書を適切に管理することです。紙ベースの文書だけでなく、電子ファイルやデータも含まれます。文書の種類は多岐にわたり、契約著・請求書・納品書など各種帳票や業務マニュアルまで様々です。

文書管理では、文書の作成・保管・活用・廃棄までの一連の流れを管理します。管理の上では、各文書が役割を終えるまでのライフサイクルを理解し、各文書の保管期間を考慮することが重要です。

文書管理は、企業の機密情報を扱うため、慎重なアプローチが求められます。データの紛失や情報漏洩などのリスクが生じないよう、セキュリティ対策・アクセス制御・バックアッププロセスなどを適切に導入して、管理することが重要です。

ワークフローシステムと文書管理システムの違い

ワークフローを管理するシステムにはワークフローシステムがあり、文書管理を行うためには文書管理システムがあります。ここではそれぞれのシステムの特徴やできることを解説します。

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ワークフローシステムの特徴・できること

ワークフローシステムは業務プロセスを自動化し、効率化するためのツールです。主な目的は、タスクの流れを最適化し、作業の進行状況を追跡・管理することにあります。

各段階のタスクを定義し、自動的に割り当て、通知することができます。業務の進捗状況をリアルタイムで把握することや、タスクの優先度設定やユーザー間のコラボレーションも可能です。

ワークフローシステムはフォームの自動生成、承認プロセスの追跡、タスクの自動化など幅広いことができるため、企業内の効率性向上や生産性の向上に役立ちます。

文書管理システムの特徴・できること

文書管理システムは、組織内の文書を効率的に管理し、保管するためのツールです。文書の作成、保存、共有、検索、整理を効率化し、セキュリティを確保することが主な目的です

文書管理システムの主な機能に、バージョン管理、アクセス制御、検索機能の充実、文書のカテゴリ化やタグ付け、タイムスタンプ機能、さらには簡易的なワークフローの組み込みなどがあります。

これらの機能により、電子帳簿保存法に対応した文書管理や、効率的な世代管理が行えます。

ワークフローシステムと文書管理システムが持つ課題

ワークフローと文書管理は、それぞれ目的が異なるため、システムがそれぞれ独立している場合に業務上の課題が生まれます。ここでは両システムの課題について解説します。

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ワークフローシステムと文書管理システムが持つ課題

  1. ワークフローシステムの課題
  2. 文書管理システムの課題

ワークフローシステムの課題

ワークフローシステムでは、ワークフローが完了した文書を文書管理システムへの保管を手動で行わなければいけません。また、登録するだけでなく、文書のセキュリティを確保するために、ワークフローシステムと同じアクセス権を適用させる必要があります。

これは、権限のない人がファイルを閲覧して情報漏洩のリスクを生じさせないための対応です。また、ワークフローシステムでは文書検索機能の自由度が低く、目的の文書を探す手間がかかるのも課題です。

ワークフローシステムと文書管理システムの連携や統合を強化することで、これらの課題に対処できます。文書の登録と同時に適切なアクセス権が自動的に適用できたり、メタデータやタグ付けなどを活用して、検索しやすくすることが可能です。

文書管理システムの課題

文書管理システムは、ワークフローのような自動フロー処理ができません。文書管理システムは主に文書の保存や分類に焦点があり、文書の承認プロセスを自動化する機能が限定されているため、ワークフローに組み込んで自動的に承認フローに回すことはできません。

例えば、文書管理システムのファイルを取り出して上司にメールで添付する場合、手動で行う必要があります。上司の確認後は、再び手動でファイルを取り込み、次に承認者に連絡します。承認完了後は、再び文書管理システムに登録する必要があります。

また、申請書の作成機能もないため、作成の手間もかかります。文書管理システムの課題対処も前述同様、システム連携で対処可能なため、効率的な承認フローを実現できます。

ワークフローシステムと文書管理システムは連携がおすすめ

ワークフローシステムと文書管理システムは、連携して利用するのがおすすめです。ワークフローシステムの承認プロセスを効率化できる利点と、文書管理システムの文書の保存・検索機能の利点を組み合わせることで、承認後の文書を適切に管理できます。

連携により、承認後の文書は自動的に文書管理システムに統合され、適切な保管とアクセス権の付与が行われます。手動作業を省き、情報漏洩のリスクを低減できるので、安全な文書管理が実現可能です。

また、統合的な検索機能により、承認済み文書を簡単に検索できます。業務プロセスの透明性も高まり、効率的な意思決定や業務フローの改善に貢献します。さらに、統合データに基づくレポートや分析が行える場合もあります。

ワークフローと文書管理のシステム連携のポイント

ワークフローと文書管理のシステム連携は、計画的に行わなければ、逆に効率性を低下させたり、業務上の混乱を招いてしまいます。ここでは、効率的な連携のための連携手順やポイントについて解説します。

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連携目的を明確にする

連携に先立って、連携目的を明確にすることが重要です。目的の明確化により、連携に必要な要件を特定し、リスクを把握することができます。具体的な目的を定めることで、文書の自動統合・アクセス権の連携・統合的な文書検索などの要件を明確にします。

また、連携の成果を評価するための基準も設定できます。これにより、業務の方向性を明確にし、効果的な連携を実現します。目的の明確化は、業務上の効率性向上やセキュリティ対策に向けた基盤を築く重要な要素です。

必要な文書の洗い出す

前述で定めた連携の目的に従い、両システム連携の対象となる文書を洗い出すことも重要なステップです。連携のメリットがない文書まで対象にしてしまうと、不要なデータがストレージを圧迫したり、検索の混乱・運用の複雑化などのデメリットが生じます。

特殊な連携目的ではない限り、基本的には連携の対象となる文書は、申請書・契約書・稟議書などの両システムで扱う書類が対象となります。また、文書の種類だけでなく、数量や処理量も調査しておくのが理想的です。

対象となる書類の数量の把握は、必要なリソースやシステムの規模を計画する上で役立ち、処理量もシステムに求められる処理能力の見極めに必要な情報です。

対象文書のライフサイクルを確認する

文書のライフサイクルとは、「発生(文書の作成)→活用→保管→検索→保存→廃棄」のプロセスを指し、文書の種類によってプロセスは異なります。契約書のように法律で保存期間が定められている法的文書は厳格な管理が必要です。

また、法的に定められていない場合でも、稟議書や重要決裁文書などは保存が推奨されます。一方で、プロジェクト文書のような活用期間が限定的な場合もあり、文書によって異なるライフサイクルを理解し、適切な管理手法やシステムの選択が求められます。

システム連携においては、法的要件への違反や不適切な廃棄処理などのリスクを回避するために、文書のライフサイクルを確認しておくことが大切です。

共通のアクセス権限を設定する

ライフサイクルを確認まで完了したら、いよいよ連携に必要なシステムを選ぶ段階です。システムを選ぶ上では、タスク管理機能・メッセージ機能・タスクやメッセージと文書の紐づけ機能などが備わっていると便利ですが、詳細は後述します。

システム導入後は、文書管理とワークフローの共通のアクセス権の設定を行う必要があります。特定のメンバーが関連するフォルダや文書にアクセスできるよう制限することで、セキュリティの向上・情報の機密性の保持が実現可能です。

両システムでアクセス権が異なると、アクセスできるメンバーに一貫性がなく、業務の遅延や混乱を招いてしまいます。不正アクセスや情報漏洩のリスクも高まるため、両システムで一貫する設定が重要です。

ワークフローシステム・文書管理システムを選ぶポイント

ワークフローシステムと文書管理システムを選ぶ際には、自社のニーズをしっかり捉えてから選ぶことが重要です。ここでは、システムを選ぶ際のポイントについて解説します。

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自社に必要な機能があるか

前述のとおり、ワークフローと文書管理を効率的に行うなら、タスク管理とメッセージ機能があり、それらの機能が文書と紐づいていることが大切です。その他、通知やリマインダー機能・バージョン管理機能など、自社に合った機能を選ぶようにしましょう。

システムによって、さまざまな便利機能があるものの、自社に合わないシステムを選んでしまうと、機能不足による再導入コスト・不要な機能による不要なコストなどがかかってしまいます。

また、ユーザーにとって使い勝手のいいシステムであるかどうかも重要です。システムベンダーへの問い合わせやトライアル利用なども含めて、最適なシステムを検討しましょう。

他システムと連携できるか

ワークフローシステムや文書管理システムが、自社の既存のシステムと連携できると、一元化や効率化などのメリットを得られる場合があります。例えば、CRM(顧客管理)システムとの連携では、契約書や提案書などの効率的な管理や、ワークフローへの反映が可能です。

グループウェアと文書管理システムの連携でリアルタイムな情報共有、業務プロセス可視化のための分析ツールとの連携なども考えられます。

具体的にどのようなメリットが得られるかは、連携目的や連携するシステムによりますが、総じて、組織全体の効率性向上に寄与します。他のシステムとの連携能力を検討し、自社のニーズに合っているか確認した上でシステムを選びましょう。

業務フローとシステムが合っているか

業務フローとシステムが合っていない場合、ワークフローシステムが業務プロセスを適切に反映できず、不要なステップや手動の作業が生じる可能性を高めてしまいます。システム外の作業は、関係者の情報把握の正確性を低下させ、誤った判断に導くリスクもあります。

こうしたデメリットを回避するためには、事前にシステムの要件をしっかり定めることが重要です。単に業務フローを確認するだけでなく、将来的に業務フローが変化する可能性も踏まえて、システムが業務のニーズに合っているかを慎重に検討しましょう。

まとめ

ワークフローシステムは承認プロセスを支援し、文書管理システムは文書の保存や検索を効率化します。両システムの連携は、承認プロセスの効率化と文書の一元管理を実現します。

システム連携の際は、目的や対象文書を明確にし、共通するアクセス権の設定も重要です。自社に合った機能を備えたシステムを選び、組織全体の業務効率を向上させましょう。

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