マミートラックとは|意味をわかりやすく解説・対策や抜け出し方は?

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  • マミートラックとは、育児をしながら働く女性が意思に反して出世コースから外れる状態
  • マミートラック対策として、制度の導入や福利厚生による支援などがある
  • マミートラックは、問題点だけでなくメリットもあるため、個々の対応が必要である

マミートラックは、母親になった女性が職場に復帰した際、出世をしないコースに乗ったことを意味します。問題点もありますが、マミートラックに乗りたいという考えもあります。本記事ではマミートラックのメリットデメリット・企業側の対策・抜け出し方について解説します。

目次

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  1. マミートラックとは
  2. マミートラックが起きる原因
  3. マミートラックの問題点
  4. マミートラックのメリット
  5. マミートラックのデメリット
  6. 企業が検討できるマミートラック対策
  7. マミートラックの抜け出し方
  8. マミートラックにおける留意点
  9. まとめ

マミートラックとは

マミートラックとは、母親になった女性が育児休業から復帰した際、昇進昇格を目指すキャリアコースから外れて、アシスタント業務や単純作業に従事する待遇へと変わることを意味します。

出産前は、管理職やプロジェクトを率いる立場だった女性にとっては、キャリア形成の機会が断たれたと感じ、仕事のやりがいがなくなることもあります。

しかし、マミートラックは問題点だけではなく、考え方によってはメリットにもなり得るため、中には望んで選択する女性もいます。

マミートラックの由来

マミー(母)とトラック(競技用トラック)を組み合わせた「マミートラック」という言葉は、1988年代にアメリカのカタリストであるフェリス・シュワルツが提唱しました。

当時は、仕事と育児を両立する環境が整っておらず、企業が「キャリア優先」か「キャリアと育児の両立」のどちらを望むかを把握して、両立もできるように育児休業などの支援制度を作っていきました。

もともと、働く母親への支援制度とともに発生したポジティブな言葉でしたが、今は昇格や昇進から外れて働く意欲を失い、競技用トラックで周回しているような感覚に陥っているといった悪い状況を指しています。

マミートラックが起きる原因

マミートラックが起きる原因として、上司とのコミュニケーション不足や、日本ならではの企業慣行などが挙げられます。ここでは、これらのマミートラックを引き起こす原因について解説します。

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上司とのコミュニケーション不足

マミートラックは、女性社員とのコミュニケーション不足が原因で起こるケースが多いです。産後のキャリア形成に対する理想は個人の考えや状況によって異なるため、上司は女性社員とコミュニケーションをとり、どのように働きたいかを共有する必要があります。

しかし、「産後で大変そうだから」「残業はできないだろうから」と一方的に決めつけて業務をふることで、女性社員は希望とは異なる働き方を強いられることがあります。

家事・育児負担に関する固定観念

特に日本の家庭においては、女性の方が男性よりも家事の多くを担っているという現状があります。育児においても、その大部分を母親が担うものという認識が根強く残っています。

企業側だけでなく、育児休業から復帰した女性社員自身も、こうした固定観念を持っていることは多いです。そのため、本当はやりがいのある仕事をしたくてもできないという状況に陥ってしまいます。

労働時間を重視した企業の制度

日本では、労働時間が長いことで「仕事への貢献度が高い」「仕事に対して熱意がある」と評価される風習があります。長時間労働が問題視され、働き方改革が進みつつあるものの、労働時間を重視した企業の制度は未だに残っています。

育児中の社員に対する、成長機会を奪う時短勤務制度や、労働時間をベースにした人事評価制度などが、マミートラックが起きる原因の1つであると言えます。

マミートラックの問題点

マミートラックの問題点とは、どのようなことがあげられるのでしょうか。ここでは、実際にマミートラックを経験した人が感じた3つの問題点と、企業にとっての代表的な問題点1つの合計4つをそれぞれ解説していきます。

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従業員のモチベーションが低下する

育児休業復帰後は、子どもの体調不良や家庭の事情などから、急な休み・早退が増えるとみなされ、出産前に携わっていた大きなプロジェクトや実績につながる仕事を任せてもらえなくなり、モチベーションが低下することもあります。

キャリアが浅い後輩が先に昇進・昇格していくのを見て悔しい思いをすることもあり、「仕事と育児を両立するには会社から不当な評価を受けても仕方ない」と割り切って自分を納得させるワーキングマザーもいます。

また、職場単位で同じ考えを持つ人に出会えない場合は、育児とキャリアアップを両立したいという自分の考えはわがままなのではないかと悩む人も少なくありません。

キャリア形成が困難になる

出産前と比べて、残業や出張に制約ができてしまうため、自分の意思にかかわらずキャリアアップにつながらない仕事を指示されることも起こっています。会社側からは、負担を減らす配慮のつもりで行われていることも多く、本人から相談しづらいという問題もあります。

キャリア形成できる環境から遠ざかって社内の昇進コースから外れてしまうと、あとから軌道修正を望んでもむずかしく、意図せずマミートラックに乗ってしまっていたというケースもあります。

単純作業の仕事しか与えられない

会社側の理解不足も、マミートラックが起きる原因のひとつとなっています。育児中は、欠勤や早退をせざるをえないこともありますが、会社の環境整備が十分でない場合、育児中の社員へ単純作業の仕事を割り振ることで問題解決しようとするケースも多くみられます。

マミートラックに悩む人を増やさないためには、リモートワークなど多様な働き方も選べる環境を整えていくことも早急な課題となります。働きやすい環境が整うことで、出産前と変わらない成果をあげている人もいます。

向上心を持った女性社員の確保が難しくなる

マミートラックは、人材獲得に悪影響を及ぼす可能性があります。「子どもはほしいけど育児休業をとらずに働きたい」という向上心のある女性は、マミートラックのある企業を避けます

本来、向上心を持った人材は性別関係なく企業にとって貴重な存在です。マミートラックが原因で貴重な人材確保が難しくなるのは、大きな痛手と言えるでしょう。

マミートラックのメリット

マミートラックには問題点もありますが、考え方によっては「マミートラックに乗りたい」と感じられるメリットもあります。ここからは、当事者目線での3つのメリットについて解説していきます。

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育児と仕事を両立できる

会社によって始業時間・終業時間は異なりますが、マミートラックの1つである時短勤務制度を利用することで、育児と仕事が両立しやすくなります。育児休業明けで体力的に不安を感じる場合、時短勤務は働きやすい環境と言えます。

また、パートナーの帰宅時間が遅い、実家が遠くて頼れないなどで家事負担が大きい場合なども、時短勤務を選択することで負担が軽くなり、育児と仕事のバランスがとりやすくなります。

職場の仲間に負担をかけない

育児中は、子どもの体調不良や学校行事での早退・休みは避けることができず、職場へも負担をかけることになります。マミートラックに乗り、単調な業務を担当することで職場の仲間への負担を減らすことができます

体力的・精神的な負担が減る

職場復帰した直後は、睡眠不足やホルモンバランスの乱れなどから体力面での負担を感じることが多いですが、体が慣れてくるにつれて周りへ負担をかけていないかなど、気まずい思いや悩みを抱えるようになり、精神面での負担を感じるケースも少なくありません。

しかし、時短勤務の選択や、会社へ相談して仕事量・内容を調整してもらいマミートラックを受け入れることで、自分の心身への負担が減ることにつながります。

マミートラックのデメリット

一方、マミートラックには仕事を続けたい母親にとってデメリットと感じられることもあります。以下に、マミートラックのデメリットとしてあげられる3つの項目について解説していきます。

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責任ある仕事ができなくなる

会社によっては、急な休みや退職のリスクを見越して人員配置をするため、出産前のように、責任ある仕事をメインで任されなくなるワーキングマザーも少なくありません。

職場のメンバーから、育児中であることを過度に配慮され、今日中に終えたい仕事のために少し残業しようとしても、代わりに引き受けるからと帰宅を促されることもあります。そして、自分が会社に貢献できていないのではといった思いを持ってしまう場合もあります。

仕事のやりがいがなくなる

担当する仕事が、スキルに関係なくできる単調な内容になることも多く、勤続年数を積んでもスキルアップにつながらないため、仕事のやりがいを失ってしまうことになりかねません。

育休復帰後は、これまで通りキャリアアップしようと準備や努力をしても、出産前よりも割り振られる仕事量が明らかに減ったというケースもみられます。やる気はあるのに仕事が回ってこないために、昇格への道が閉ざされる不安を覚えるワーキングマザーもいます。

給与が下がる

時短勤務制度を利用しながら働くワーキングマザーも多いですが、毎月の給与明細で以前よりも給与が下がったことを確認してしまうと、仕事へのモチベーションが下がるといったことが起こりやすくなります。

また、人事考課はフルタイムのときと同様の評価基準としている会社もあり、仕事内容が同じにもかかわらず給与も評価も下がってしまい、マミートラックにはまったと感じる人もいます。

企業が検討できるマミートラック対策

マミートラックには問題点があり、メリット・デメリットも持ち合わせていますが、企業が検討できるマミートラック対策としてはどのようなことがあるでしょうか。以下に、5つの対策方法を順に解説していきます。

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時短・フレックス制度の導入

企業が検討できるマミートラックを抑制する対策として、時短・フレックス制度の導入があります。働きやすい勤務体制を整えることで、育児中の急病やケガにも対応できるようになるため、ワーキングマザーがより働きやすい環境になるでしょう。

時短・フレックス制度を導入することで、本人が働きやすくなるだけではなく、周りの関わる社員の働きやすさにもつながり、会社の福利厚生への満足度も向上します。

リモートワークの活用

リモートワークの活用も、マミートラックを抑制するのに効果的です。時間に追われるワーキングマザーにとって、スキマ時間を少しでも家事・育児に充てたいと思う人は多いですが、リモートワークは通勤時間がゼロという最大のメリットがあります。

社内全体にリモートワーク制を取り入れることで、自分だけ優遇されているといった負い目もなく、待機児童問題で子どもを預ける場所がなくても仕事を続けられます。通勤時間を子どもの送迎などに充てることができ疲労感も減り、パフォーマンスも上げられます。

福利厚生による子育て支援

出産後、働きたくても働けない大きな事情に、託児所不足の問題があります。企業にとって経験やスキルが高い人材の離職は大きな痛手となるため、社内や近辺に企業内保育所を設ける企業が増えています。

企業内に保育所を設置すると、働く側は送迎時間を短縮でき、子どもの急な体調不良時にも対応しやすくなります。働く環境が整うことで、仕事へのモチベーション向上にもつながります。

企業からの子育て支援には、待機児童になった子どもをシッターへ預ける際などの、金銭面での補助制度もあります。補助金制度があれば高額なシッターも利用しやすくなり、職場復帰に向けての大きな手助けとなるでしょう。

社員にヒアリングをする

マミートラックへの問題を解消するには、復職時に本人からキャリアアップへの考え方をヒアリングすることが必要です。「育児中心でキャリアアップは望んでいない」「育児と仕事を両立して積極的にキャリアアップをしたい」など、社員本人の考え方を聞きます。

育児と仕事を両立するワーキングマザーも、キャリアアップへの考え方はそれぞれ違います。ヒアリングの内容に沿って将来に向けて業務の計画を練り、場合によっては部署転換なども視野に入れることが、社員の不安や不満を解消することにつながります。

評価の対象を量から質に変化させる

社内の人事評価制度も見直すことも、マミートラック対策への有効な方法です。育児中は時短勤務や早退・欠勤が起こりがちであり、宿泊を伴う出張なども難しい状況になります。

働き方改革で、少しずつ長時間労働への対策が行われていますが、長く働くことが高い評価につながるといった風潮がまだ根強く残っています。

育児中の人が状況的に不利な要素のみを評価することは避け、達成度合いなども評価対象とすることを検討しましょう。評価の対象を量から質に変化させることも、公平な評価を行うためには必要になってくるでしょう。

マミートラックの抜け出し方

それでは、マミートラックを抜け出したいと考えている場合、具体的にどのような対処方法があるのでしょうか。ここからは、5つの対処方法についてそれぞれ解説していきます。

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ロールモデルを探す

マミートラックを抜け出すためにどのような行動を起こすべきかわからない場合は、職場に理想とするワーキングマザーがいないか探してみましょう。どのようにキャリアを築いてきたのか、実際に経験者の話を聞くことが最良のヒントになります。

もし身近に理想とするロールモデルがいないならば、自分と近い境遇の社内の育児中の人たちと意見交換をし、仕事や育児の悩みを共有していくことで、自分が目指したいキャリアが具体的になってくるでしょう。

パートナーに協力を求める

マミートラックを抜け出してキャリアアップを目指すためには、パートナーとの協力体制を作っていくことも大切です。

双方とも働いていると、じっくりと話し合う時間がとれない場合もあります。しかし、育児や家事のこと、キャリアに対する考え方を話し合い、フォローしあえる体制を整えた上で、キャリアアップを目指すための協力を依頼することが必要になるでしょう。

キャリアアップを目指すための体制が足りない場合は、外部からのサポートとして、地域の育児支援サービスや自治体の制度に頼ってみることも有効です。

上司や人事に相談する

会社は、進んでマミートラックに乗ることを望むワーキングマザーもいることから、育児と仕事を両立する人すべてに対して、業務量や内容を調整していることも考えられます。

人事との面談時に、自分はキャリアアップしていきたいとの考えを明確にして、会社や所属部署に対してどのようなことができるかを相談することも必要です。

また、常に周囲との良好なコミュニケーションを心掛け、感謝の気持ちを持つことも、同じくらい大切なことでしょう。

小さな実績を重ねる

マミートラックを抜け出してキャリアアップしていくためには、普段から小さな成果を社内で発信していき、人事査定時には、目に見える形で簡潔に提示できるように準備しておくのもひとつの方法です。

また、改善提案できることはないか日々探して、業務の効率化やモチベーションアップ、ミスの軽減へつながるノウハウをまとめたものを所定の用紙などへ簡単にまとめ、マニュアルを作成するといった方法もあります。

場合によっては転職も視野にいれる

ここまで述べてきたことも含めて、あらゆる方法を試してもマミートラックを抜け出してキャリアアップできる見込みがないと感じたら、仕事へのモチベーションが下がってしまう前に、転職することも視野に入れましょう。

納得できない気持ちのまま今の仕事を続けると、やがてキャリアアップへの意欲が失われてしまいます。人事や上司との面談で相談した内容を振り返り、自分の努力次第で状況が変わる可能性があるかどうかも、転職を判断する材料となってきます。

マミートラックにおける留意点

育児と仕事の両立を選んだ女性の中には、むしろマミートラックを歓迎して積極的に乗りたいと考える人もいます。

マミートラックに乗りたいと考える背景には「家庭とのバランスを取りながら、生活に必要な最低限の給料をもらえればキャリアアップは望まない」「無理してスキルアップを目指すよりも簡単な仕事を担当したい」と思っている人もいることが挙げられます。

一方で、育休復帰後はキャリアアップしていきたいと考える人もいるため、本人の仕事に対する位置づけを確認するためにも、個々にヒアリングの機会を設けて意思疎通を行うことが必要になるでしょう。

まとめ

マミートラックとは、母親になった女性が育児休暇から復帰した際、昇進昇格を目指すキャリアコースから外れて、アシスタント業務や単純作業に従事する待遇へと変わることを意味します。

キャリアアップを望む女性にとっては、マミートラックに乗ることでキャリア形成が断たれたと感じ、やりがいをなくしてしまうこともあります。しかし、マミートラックは問題点だけではなく、制度や福利厚生による支援があるため、歓迎する女性もいます。

自身のキャリアに対する考え方により、マミートラックの受け入れ方も異なります。本人の仕事に対する位置づけを確認するためにも、会社がヒアリングの機会を設けて、対象者と個別に意思確認をとることが必要になるでしょう。

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