eラーニングシステムの構築方法|構築の流れや注意点も解説
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- eラーニングシステムの構築方法には、既存システムの導入や開発外注などがある
- 自社で構築する場合は、オープンソースのシステムを利用することもできる
- システムの構築とともに、コンテンツの準備も進めなければならない
eラーニングシステムを構築するには、既存システムを導入する他、専門業者への外注や自社で独自に構築する方法があります。導入効果を高めるには、適切なステップに沿って構築することが重要です。この記事では、eラーニングシステムの構築方法や注意点などを解説します。
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eラーニングシステムを構築する方法
既存のシステムを導入する
1つ目は、各ベンダーから提供されている既存システムを導入する方法です。開発済みのシステムを利用するため、外部委託や自社開発に比べて導入工数が少なく、短期間で導入できるのがメリットです。
一方で、自社の要件に合わせた機能の追加や拡張など、カスタマイズが難しい点がデメリットです。特に既存システムは汎用性を重視する傾向が高いため、企業独自のニーズやニッチな分野には対応できない恐れがあります。
なお、既存システムには次の2つの提供形態があります。
クラウド型
クラウド型のeラーニングシステムは、インターネットを通じてサービスを利用する形態です。自社でのサーバー設置が不要のため、導入にかかるコスト・手間の負担が少なく、スピーディーな導入が可能です。
運用保守やアップデートはベンダーが担当し、自社リソースが乏しい企業でも安定的に運用できます。その反面、システムが通信回線に依存するため、通信障害時などの際に動作が遅くなったり、システムが完全停止したりする恐れがあります。
また、クラウド型のeラーニングシステムは、自社に合わせたカスタマイズが難しい点にも留意しましょう。事業者によってはカスタマイズに対応していますが、オプション料金がかかることが一般的です。
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オンプレミス型
オンプレミス型は、自社サーバーにソフトウェアをインストールする形態です。自社に合わせたサーバーの構築費用などがかかるため、初期費用が莫大になりやすく、導入期間も数ヶ月〜数年と比較的長めです。
オンプレミス型はカスタマイズ性が高く、自社の希望に沿ったeラーニングシステムを構築しやすいです。オフラインで利用できるため、通信環境が安定しているのもメリットです。
また、ランニングコストが比較的安く、長期的に見るとクラウド型よりも導入・運用コストが割安になることもあります。特に大規模人数で利用する場合は、オンプレミス型は費用対効果が高くなる傾向にあります。
システム開発を依頼する
2つ目は、外部の専門業者にeラーニングシステムの開発を外注する方法です。自社開発の手間が不要で、リソース不足の企業でもオリジナルのeラーニングシステムを構築できます。
一方で、外注費用が高騰化しやすい点に留意しましょう。また、業者によってスキルや得意分野が違うため、自社の要件を全て実現できるとは限りません。
自社で構築する
3つ目は、自社でeラーニングシステムを構築する方法です。自社で開発から運用まで一貫して行うため、細かな要望やニッチなニーズも実現しやすく、理想通りのeラーニングシステムの運用が可能です。
しかし、開発に莫大な手間と費用がかかるほか、専門知識を有したエンジニアの確保が必要です。システムの運用・保守・管理も自社が行うため、導入・運用にかかる工数が大きい点に留意しましょう。
なお、自社でのeラーニングシステム開発は、フルスクラッチとオープンソースを利用する方法の2通りがあります。それぞれの特徴を理解して、自社に最適な方法を選択しましょう。
フルスクラッチで開発する
フルスクラッチとは、システムやソフトウェアをゼロから開発する形態です。開発の自由度が高く、自社の要件を完全反映させたeラーニングシステムを構築できます。
ただし、専門のエンジニアが必須であり、莫大な開発費用がかかります。また、開発後のシステム運用保守も自社で行うため、継続的なリソースの確保が必要です。そのため、予算やITリソースにゆとりのある企業向けの構築方法です。
オープンソースを利用する
オープンソースとは、ライセンス費用が無料または安価で公開されている「ソースコード」を指し、誰でも自由な改良や再配布が可能です。そのため、もともとのオープンソースを基盤にして、自社に最適なシステムに書き換えることができます。
オープンソースはフルスクラッチと比べて、システム開発にかかる費用と期間を大幅に抑えられます。しかし、原則として開発元によるサポートや損害補償はなく、バグには自社で対応しなければならないため、ある程度のITリソースを有した企業向けといえます。
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eラーニングシステムを構築するステップ
ここでは、eラーニングシステムの構築ステップを解説します。各ステップの流れと注意点を理解し、スムーズなシステム導入につなげましょう。
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eラーニングシステムを構築するステップ
1. 構築方法を決める
上述のように、eラーニングシステムの構築方法には、既存システムの導入・外部委託・自社開発の3通りの方法があります。自社のニーズやリソースを考慮し、最適な構築方法を決定しましょう。
2. システムを構築する
eラーニングシステムを構築するには、まず利用目的や利用対象者の明確化が必要です。この作業により、実装すべき機能やシステム要件を定義でき、スムーズな開発につながります。
続いて、選択した構築方法に基づいて、サービス提供者との契約や導入環境の整備を行います。具体的には、サーバーの設置や構築、プログラミングなどの専門的な作業が必要です。
また、構築方法によっては長い導入期間がかかるため、開発スケジュールの立案も必要です。スケジュールを明確化することで、開発上の無駄を発見しやすくなり、コストを抑えられる可能性があります。
システムの完成後は動作検証を行い、問題なく稼働するかを確認しましょう。
3. コンテンツを準備する
システム構築と並行して、eラーニングシステムで配布するコンテンツも準備しましょう。同時に作業を進めることにより、eラーニングシステムの運用開始時期を早めることができます。
コンテンツは「教材」のことで、教科書や資料、動画、音声など、さまざまなバリエーションがあるため、自社のニーズや運用方法に合わせて使い分けましょう。例えば、機器の操作マニュアルであれば、資料と動画を組み合わせると、学習者の理解度が高まります。
利用対象者を具体的に想定し、誰もが分かりやすいコンテンツ作りを心がけましょう。eラーニングのコンテンツは、既成品を利用できるだけでなく、オーダーメイドや自社作成することもできます。それぞれの特徴を理解して、自社に適した作成方法を選択しましょう。
既成のコンテンツを購入する
既存のeラーニングシステムを導入する場合は、ベンダーが提供しているコンテンツを購入できる可能性が高いです。コンプライアンスや情報セキュリティのような一般学習向けからIT・医療などの専門分野向けまで、幅広いコンテンツを取りそろえるベンダーもいます。
既成コンテンツを購入する場合は、自社で教材を準備する時間と手間を抑えられます。また、既製コンテンツには、学習度のチェックテストが含まれることが多いため、従業員の学習進捗管理が楽になる点もメリットです。
一方で、既製コンテンツは汎用性を重視する傾向が高く、企業ごとの細かなニーズには合致しにくいです。
オーダーメイドで外注する
システム開発元に、オーダーメイドでコンテンツ作成を外注できることがあります。自社における教材作成の手間を省きながら、オリジナルの教材を作ることができます。企業別のニーズを満たした教材の作成により、質の高い人材教育に期待できるでしょう。
オーダーメイドの教材作成は、外注費用が高騰化する恐れがあります。一般学習向けは汎用的な既成コンテンツを利用し、強化すべき分野のみコンテンツをオーダーメイドするなど、予算に応じた使い分けが大切です。
自社で作成する
コンテンツは、自社で作成することもできます。自社でゼロから作成するため、独自性が高く、ニーズに合った教材を用意できるのがメリットです。自社の従業員に合わせた教材作りにより、学習意欲の向上や人材育成の早期化につなげられます。
例えば、PowerPointを活用すれば、業務マニュアルを視覚的に分かりやすく資料化できます。セミナーや機器の操作方法などの動画を撮影し、動画編集ツールを利用して編集・配信する方法も一般的です。
最近はeラーニング用のコンテンツ作成ツールも登場しており、リソース不足の企業でも効率的に教材を作成できます。なお、オリジナル教材を作成する場合は、使用素材の著作権に留意する必要があるため注意しましょう。
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4. 学習者への案内・運用開始
eラーニングシステムは、従業員に積極的に利用してもらわなければ意味がありません。従業員が混乱なくシステムを利用できるよう、丁寧な利用案内を行いましょう。例えば、分かりやすい操作マニュアルの整備や、操作方法のセミナーの実施が重要です。
また、運用開始後は定期的な効果検証と改善により、eラーニングシステムの導入効果をさらに高めることができます。システムへの従業員の満足度アンケートや、学習効果の測定、組織全体の業績改善や成果向上の分析など、さまざまな観点から効果検証を行いましょう。
eラーニングシステムを構築する際の注意点
eラーニングシステムの構築には、開発費用やシステムの利用料がかかる点に注意しましょう。一般的に、eラーニングシステムの開発費用で最も大きな割合を占めるのは人件費です。エンジニアの人数が多く、スキルが高いほど人件費が高額になります。
また、導入工数が多い場合も構築費用が高額になるため、自社の予算に合わせたエンジニアや構築方法の選定が重要です。eラーニングシステムの構築費用の相場を次の表にまとめました。
構築費用の相場 | |
---|---|
クラウド型システムの料金 | 5~20万円 |
オンプレミス型システムの料金 | 100~250万円 |
専門業者への外注費用 | 100~500万円 |
自社開発する場合の費用 | 100~数千万円 |
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まとめ
eラーニングは、インターネットを利用するオンライン学習法です。eラーニングを利用するには、まずeラーニングシステム(LME)を構築する必要があります。
eラーニングシステムの構築方法には、既存システムの導入・外注・自社開発の3通りの方法があります。既存システムの導入は、自社における導入工数が少なく、導入費用も比較的安価です。
外部事業者への委託や自社開発の場合は、高いコストがかかりますが、自社の要件に沿ったシステム構築が可能です。自社の予算やリソースに適した構築方法を選択し、効果的なeラーニングシステムの運用につなげましょう。
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