バックグラウンドチェックとは?メリットや実施方法、注意点を解説
Check!
- バックグラウンドチェックとは、採用候補者の経歴に詐称や問題がないかを調査すること
- バックグラウンドチェックにより、コンプライアンス強化や公平な採用が可能になる
- 実施する際は候補者から同意が必要であり、チェック後の内定取り消しはできない
バックグラウンドチェックとは、採用候補者の経歴に詐称や問題がないかを確認する身元調査です。コンプライアンスを強化するため、実施する企業が増えています。この記事では、バックグラウンドチェックのメリットや実施方法、実施する際の注意点などを解説します。
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バックグラウンドチェックとは
バックグラウンドチェックとは、採用選考時に行う候補者の身元調査のことです。第三者機関による調査や採用候補者からの提出書類をもとに、採用候補者の身辺や経歴に虚偽・詐称がないかを確認します。
本記事では、バックグラウンドチェックにおける調査項目やメリットなどについて解説します。
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バックグラウンドチェックとは
バックグラウンドチェックが注目されている理由
バックグラウンドチェックは海外では頻繁に行われており、近年は日本でも実施する企業が増えています。その背景として、雇用形態の多様化や中途採用の増加が挙げられます。近年は転職市場が活発化し、さまざまな雇用形態での中途採用が増えています。
人となりや経歴がバラバラの採用候補者が増えたため、入社後にミスマッチが発覚するケースは少なくありません。また、身元調査を怠ったことにより、企業に損失を与える人材を採用するリスクもあります。
このようなリスク回避のために、採用選考時におけるバックグランドチェックが注目されています。
リファレンスチェックとの違い
リファレンスチェックとは、採用候補者の過去の職場関係者に強力してもらい、採用候補者の人となりなどを確認することです。バックグランドチェックとリファレンスチェックの違いは、収集する情報がネガティブなものか否かという点にあります。
バックグランドチェックは、自社に対する損失を避けるために、採用候補者の虚偽や詐称を見抜くことを目的に行われるのが一般的です。
対してリファレンスチェックは、履歴書や面接だけでは見抜けない、採用候補者の人となりや経歴を知るための調査で、自社との相性を図るために行われます。
このように、バックグラウンドチェックがネガティブな情報を収集するのに対し、リファレンスチェックはポジティブな情報収集のために行われる違いがあります。ただし、両者の違いは明確ではない点にも留意しましょう。
バックグラウンドチェックにおける調査項目
バックグラウンドチェックで調査する項目は、学歴や職歴、前職での勤務態度など、さまざまです。これらを細かく調査することで、企業に損失を与える人材をふるい落とすことができます。
バックグランドチェックでは、次のような項目に虚偽や問題がないかを調査します。調査方法は、採用候補者本人による書類提出や第三者機関による調査、官報、反社チェックツールなど、調査項目毎に異なります。
調査項目 | 詳細 |
---|---|
学歴 | 学校名・入学や卒業年月日・学位 |
職歴 | 過去の職場の社名・入退社歴・雇用形態・職務内容 |
前職での勤務態度 | 前職での勤務態度・勤務日数 |
反社チェック | 反社会的勢力とのつながり |
破産歴 | 過去の自己破産 |
民事訴訟歴 | 過去の犯罪行為や逮捕歴 |
インターネット・SNS | インターネットやSNSにおけるトラブル・不適切な発言 |
バックグラウンドチェックを行うメリット
バックグラウンドチェックを行うことで、自社のコンプライアンスの強化や公平な採用活動の実施といったメリットに期待できます。ここでは、バックグラウンドチェックを行うメリットを解説します。
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バックグラウンドチェックを行うメリット
自社のコンプライアンスを強化できる
バックグラウンドチェックを行うことで、入社後に問題を起こしそうな人材や、自社のイメージダウンにつながる人材の採用を回避でき、コンプライアンスを強化できます。
例えば、反社会的勢力とつながりのある人材の採用は、重大なコンプライアンス違反になりかねません。最近は、企業のイメージやコンプライアンスが特に重視されるため、バックグラウンドチェックによって、問題行動が予測される人材の採用を見送るべきです。
これにより、自社のコンプライアンスを強化できるとともに、企業防衛にもつながります。
コンプライアンスとは?意味や違反するリスク、対策をわかりやすく解説
コンプライアンスとは「法令遵守」を意味し、企業や個人が公正・公平に業務を行うための社会的ルールを守ることです。この記事では、コンプライアンスの意味や注目される背景、違反した場合のリスク、遵守するための対策などについてわかりやすく解説します。
公平な採用が可能になる
バックグラウンドチェックは、採用候補者の経歴詐称や誇張を防止できるため、公平な採用活動の実施につながります。履歴書や面接では分からない採用候補者の嘘を見抜き、正確な情報にもとづいて選考活動を進められます。
また、採用候補者の正確な経歴や職歴を把握することで、自社とマッチ度の高い人材を効率的に選別でき、採用の強化にもつなげられます。
バックグラウンドチェックの実施方法
バックグラウンドチェックの実施方法は、自社での独自調査、調査会社への依頼、反社チェックツールなどさまざまです。ここでは、バックグラウンドチェックの実施方法について解説します。
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バックグラウンドチェックの実施方法
自社で独自に行う
バックグラウンドチェックは、自社リソースでも実施可能です。具体的には、候補者本人に、卒業証明書や資格証明書などの書類を提出してもらい、学歴や資格、経歴などに問題がないかを確認します。
自社での独自調査は、低コストで行える点がメリットです。一方で、提出書類の確認が主となるため、調査項目が簡易的であるのが課題です。また、採用候補者の虚偽・詐称が巧みな場合は、だまされてしまう恐れもあるため注意しましょう。
調査会社に依頼する
バックグラウンドチェックに長けた調査会社への依頼は、一般的な実施方法です。調査会社に依頼する場合の流れは次の通りです。
- 調査会社の選定・依頼
- 調査項目・調査方法のすりあわせ
- 調査会社によるバックグラウンドチェックの実施
- 調査会社によるレポート提出
プロに依頼することで、精度の高い結果に期待できます。また、自社のリソースを節約できるため、人手不足の企業でもバックグランドチェックを行える点もメリットです。ただし、自社での調査などに比べると、コストが高い点に留意しましょう。
また、バックグラウンドチェックでは、採用候補者の個人情報に触れる機会も多く、悪質な業者に依頼すると悪用される恐れがあります。そのため、バックグラウンドチェックを外部委託する際は、信頼できる調査会社を選定する必要があります。
反社チェックツールを活用する
反社チェックツールは、過去の新聞やネットニュース、官報などのデータをもとに、対象者と反社会的勢力とのつながりをチェックするツールです。複数のデータベースを横断して対象者の身辺を確認でき、反社チェックが効率化します。
反社チェックツールは、バックグラウンドチェックに比べると、手間や費用が比較的少なく済みます。そのため、バックグラウンドチェックを行う余裕のない企業でも、問題のある採用候補者のふるい分けが容易です。
反社会的勢力とつながりが疑われる採用候補者の採用を回避することで、入社後の自社の予期せぬ損失を防ぎ、コンプライアンスの強化にもつながります。
反社チェックツールとは、個人や法人が反社会的勢力に関わっていないか、過去に不祥事はないかをチェックするツールです。反社チェックを行うことは、会社の信用を守ることや安全なビジネス運営に繋がります。本記事では、反社チェックツールのメリットや選び方を解説します。
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バックグラウンドチェックを行う際の注意点
バックグラウンドチェックを行う際には、いくつかの注意点があります。これから解説する注意点を踏まえて、スムーズなバックグラウンドチェックにつなげましょう。
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バックグラウンドチェックを行う際の注意点
候補者から同意を得る
バックグラウンドチェックを行う際は、必ず採用候補者から同意を得る必要があります。バックグラウンド調査では、業務とは通常関係ない採用候補者のごくプライベートな情報も多く扱うため、同意を得ずに実施した場合は、プライバシーの侵害にあたります。
また、個人情報保護法や職業安定法などに抵触するリスクも軽視できません。法令違反を避けるためにも、必ず事前に同意を得ましょう。
なお、採用候補者に拒否された場合は、バックグラウンドチェックは実施できません。拒否する理由について明確な回答を得られない場合は、詐称や虚偽の可能性が高いと判断し、選考段階で落とすのが賢明です。
個人情報保護法に抵触しないようにする
バックグラウンドチェックは、個人情報保護法に抵触しない範囲で行いましょう。具体的には、次のような項目の調査は、個人情報保護法に違反する恐れが高いです。
- 人種
- 思想・信条
- 社会的身分
- 労働組合への参加履歴
- 病歴
- 身辺の人間関係
これらの調査項目は、個人情報保護法において「要配慮個人情報」とされています。調査をすると必ずしも法令に抵触するわけではありませんが、厳しい調査は避けることが望ましいです。
チェック後の内定取り消しはできない
バックグラウンドチェックの結果を受けた内定の取り消しは、原則としてできません。客観的・合理的理由がない内定取り消しは不当解雇とみなされ、労働契約法に抵触する恐れがあります。
なお、内定前の選考段階であれば、バックグラウンドチェックの結果にもとづいて落選させても、さほど問題はありません。つまりバックグラウンドチェックは、内定を出す前に行う必要があります。
まとめ
バックグラウンドチェックとは、採用候補者の経歴や身辺に虚偽・詐称などがないかを確認する調査です。問題行動が予測される採用候補者をいち早く見抜き、選考段階で落とすことで、自社の安全を守ることができます。
バックグラウンドチェックは、調査会社に依頼するのが一般的です。コストを抑えたい場合は、自社リソースでの調査や反社チェックツールの利用を検討しましょう。
なお、バックグラウンドチェックを行うには、採用候補者の同意を得る必要があり、拒否された場合は実施できません。結果にもとづく内定取り消しは原則できないため、バックグラウンドチェックについて気になる点がある場合は、選考活動で落選させるのが賢明です。
本記事を参考に、適切なバックグラウンドチェックを行い、自社コンプライアンスの強化や公平な採用活動の実施につなげましょう。
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