ジョイントベンチャーとは?意味やメリットなどをわかりやすく解説

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  • ジョイントベンチャーによって即効性の強い新規事業を開始でき、素早く結果を得られる
  • 自社と提携企業の情報収集・分析をし、ジョイントベンチャーのリスクを抑えるのが大切
  • ジョイントベンチャーを成功させるには、条件や管轄範囲を細かく決めておくことが重要

ジョイントベンチャーとは、複数の企業・組織が出資し合って新しい会社を立ち上げ、事業を行うことです。各社の強みを活かした新事業によって、事業の幅を広げることができます。本記事では、ジョイントベンチャーのメリットや設立手順、成功させるポイントなどを解説します。

目次

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  1. ジョイントベンチャーの意味とは
  2. 買収・提携・子会社化との違い
  3. ジョイントベンチャーのメリット
  4. ジョイントベンチャーのデメリット
  5. ジョイントベンチャー設立の手順
  6. ジョイントベンチャーを成功させるポイント
  7. まとめ

ジョイントベンチャーの意味とは

ジョイントベンチャーとは、複数の企業が出資を行って新しい会社を設立し、事業を行うことです。資産のある企業同士で事業を始めるため、既存のリソースを活かしてリスクの少ない経営ができます。

また、ジョイントベンチャーには、「複数の企業の出資による新しい会社の設立」と「既存の企業の株式の一部または大部分を買収して共同経営する」という2つの方法があります。基本的には、前者の体制が多くとられています。

買収・提携・子会社化との違い

ジョイントベンチャーと似た意味として、買収・提携・子会社化があり、混同しやすい傾向にあります。まず、ジョイントベンチャーは、完全に経営権を得る「買収」や、事業に出資を伴わない「提携」の中間にあるような仕組みであると言えます。

「子会社化」に関しては、経営権を得るという点で買収に似ていますが、企業自体は残った状態です。また、自社の既存の事業を子会社化することもあります。

買収では、完全に経営権を得られても、企業文化の摩擦などで従業員の不満が生じやすく、提携では資本を伴わないことで、容易に断念できてしまうなどの問題点がありました。

その点、ジョイントベンチャーはお互いに出資することで平等性が高く、企業間を越えた結束力も高くなると言えます。

動き違い
買収他社の経営権を得る。影響力が大きい。企業同士が衝突すると多くの従業員の退職を招く。
提携資本を伴わない事業展開であるため、スムーズに協働できる。結果が見えにくく、解散しやすい。
子会社化他社の株式の半分を保有して経営権を得て、自社の傘下に入れる。

ジョイントベンチャーのメリット

ジョイントベンチャーは互いに出資して新事業を始めることにより、多くのメリットが得られます。ここでは、ジョイントベンチャーのメリットを解説します。

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即効性がある

ジョイントベンチャーは、それぞれの企業が出資することで、新規事業ながら即効性があることがメリットです。通常、事業を始めるためには、初期投資にかける資金や新しい人材の採用など、スタートするまでに時間がかかりがちです。

しかし、ジョイントベンチャーの場合は、お互いの経営資源や人的資源を共有するため、事業の進行が円滑に進みます。個々の企業が出資する準備を整えていることにより、新たに経営資産を作り上げる必要がなく、事業の実現までに時間がかかりません。

そのため、新規事業においてスピーディに結果を出したい場合におすすめです。

各社の強みが活かせる

ジョイントベンチャーは各社の強みを活かし、事業の幅を広げやすくなります。具体的には、各社が持つ技術やノウハウを使うことで相乗効果を生み出し、新たな価値を創出できることにより、自社の今後の事業展開に必要な発想も生まれるでしょう。

そして、全く関連のないと思われていたサービスや商品が、ジョイントベンチャーを通して新しく生み出せる可能性が高まります。このように、自社事業だけでは思いつかなかった発想やアイデアを創造できるのも、ジョイントベンチャーの魅力です。

信頼感・ネームバリューを共有できる

ジョイントベンチャーは、お互いの顧客の信頼感やネームバリューを共有できます。それにより、出資した中の1つの企業しか知らなかった顧客も、事業を通してそれぞれの企業の良さを実感できます。

新たな顧客となった人にとって、新規事業が画期的なものであれば、各企業に対してポジティブなイメージを持つことになるでしょう。その際、中小企業が大手企業と共にジョイントベンチャーを始めた場合は、認知度が上がることにもつながります。

ジョイントベンチャーがうまく活用できれば、新たな顧客の開拓や事業の拡大にもつながります。

初期費用未回収のリスクが小さい

ジョイントベンチャーは初期費用として企業の資産を投入できるため、未回収のリスクが小さいメリットがあります。さらに、パートナーとも共同出資できるため、単独で事業を始めるより低コスト・低リスクで事業を立ち上げられます。

双方がビジネスモデルに共感し、同じようにメリットが得られる企業があれば、ジョイントベンチャーとして事業を立ち上げることが最適です。そして、リスクが小さいことにより、事業を立ち上げるチャンスの増加にもつながります

パートナーシップが継続されやすい

ジョイントベンチャーは、パートナーシップが継続されやすい傾向にあります。つまり、企業が共同で出資し、業務も提携していくことで企業間の関わりを深められます。また、ジョイントベンチャーではない企業同士の提携であれば、踏み込みの浅さから解消も容易です。

なお、ジョイントベンチャーは互いが資本を投入して事業を進行するため、簡単にパートナーシップの解消には至らないでしょう。そして、相互の連携強化にも期待できます。

ジョイントベンチャーのデメリット

ジョイントベンチャーは、デメリットについても知っておかなければなりません。デメリットを理解し、事前に対策を立てておくことが大切です。ここでは、ジョイントベンチャーのデメリットを解説します。

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機密情報の流出リスクがある

ジョイントベンチャーにおいて、共同出資する関係性であるとはいえ、他社に公開したくない機密情報は各企業に必ず存在します。よって、ジョイントベンチャーを行う際には、自社の技術やノウハウなどの中から、提供したくないものを選別しておく必要があります。

また、提携する企業の信頼性においても十分に把握しておかなければなりません。仮に、些細な情報であっても、情報流出が一度でも起これば、相手企業の信頼性が大きく低下してしまうため、自社も取り扱いには厳重な体制を整えるべきです。

業務スピードが低下しやすい

ジョイントベンチャーは複数の企業が関わることにより、経営判断を下す際には双方の合意が必要となります。意思決定に時間を要すれば業務の進行が遅延し、市場の変化への対応にも遅れを発生させ、業務スピードが低下しやすいでしょう。

これらのスピードの低下を防ぐには、優先順位や責任範囲、意思決定のフローなどを明確にしておく必要があります。業務の中には、一番にスピード感を求められる業務もあるため、事業内容に応じて計画することが大切です。

負担に差が出ることがある

ジョイントベンチャーは業務内容により、負担に差が出ることもあります。例えば、事業内容がどちらかの専門分野に偏っている場合、片方の企業が割くリソースの方が多くなることがあります。負担により従業員の不満や、一方の企業が疲弊する可能性もあるでしょう。

そのため、お互いの得意分野や専門性、企業規模をもとに緻密な事業計画を行うことが必要不可欠です。また、負担を考慮しながら出資比率を変え、お互いが納得した状態でスタートすることができれば、トラブルを回避しやすいです。

ジョイントベンチャー設立の手順

ジョイントベンチャーを設立する際は、手順を踏んで計画的に行うことが必要不可欠です。ここでは、ジョイントベンチャーを立ち上げる際の手順を解説します。

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パートナーについての情報収集・分析

ジョイントベンチャーの設立を考える際は、パートナーとなる企業について情報収集や分析を行います。それは、事業の詳細を決める際には、相手企業を正しく理解しておくことが必要不可欠なためです。

新規事業は、真新しさや他社にない価値のある商品・サービスを創造することが求められます。よって、相手企業の事業内容や企業理念などはもちろん、相手企業の属する業界や競合などの環境面までも多角的に調査し、どのような相乗効果があるかまで分析しましょう。

また、共同経営する上では自社に対する理解があるかも重要なポイントです。自社の企業文化に対した相性の見極めも欠かさずに行いましょう。

基本合意書の締結

パートナーと具体的な事業計画や連携範囲を決めて、お互いの合意が確認できたら、基本合意書の締結を行います。基本合意書を締結することは、正式な契約を締結するための交渉を意味し、双方が誠実な対応をすることが約束されます。

基本的には、パートナーと共にジョイントベンチャーの方針に従った基本的な合意がなされた時点で、基本合意書を交わすことになります。

条件の確認

基本合意書を交わしたら、出資比率やビジネスプランを中心に条件を双方で確認する必要があります。

契約を正式に締結した後は、容易な変更はできないこともあります。よって、事業のスタート後に後悔しないよう、提携相手に負担が多すぎないか、自社に不利な条件になっていないかなど、多角的な視点で確認することが求められます。

特に「どこにどの程度出資するか」という出資比率は重要であるため、一般的な取り決めの方法を事前に確認しておくと良いでしょう。

ジョイントベンチャーの出資比率

ジョイントベンチャーを2社で提携する場合、「5:5」の割合で出資するイメージがあるでしょう。しかし、両社が平等に決定権を保有している場合、意思決定までに時間を要する可能性があります。そのため、出資比率は必ずしも均等であるとは限りません。

また、出資比率が50%ということは、得られる利益も半分になります。そのため、平等に配分するためには、お互いの業務範囲や負担の多さも1つの判断材料になります。通常は提案側が多めに出資し、提案を受けた側は「種類方式」で配当することが一般的です。

契約書の締結

細かい条件までお互いが合意出来たら、契約書を締結しましょう。基本的には弁護士が中心となり、契約の締結まで進みます。ジョイントベンチャーの契約には、必要な記載事項に留意して作成することが重要です。具体的には、以下の項目の記載を必要とします。

  1. 目的
  2. 組織形態、機関設計、会社名、役員構成
  3. 意思決定方法
  4. 事業運営
  5. 契約機関
  6. 契約解除

これら以外にも、契約書に付随する様々な決めごともあります。例えば、法人型ジョイントベンチャーの場合は、会社名や会社形態を決めることも必要です。そして、スムーズな締結に進めるためには、ある程度のアウトラインを考えておくことが大切です。

ジョイントベンチャーを成功させるポイント

ジョイントベンチャーは、ポイントを抑えておくことで成功に導きやすくなります。ここでは、ジョイントベンチャーを成功させるためのポイントを解説します。

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効果的な提案を行えるようにする

自社に適した提携先企業を選定するには、まず自社の現状を把握し、保有している資産や特徴を説明できるようにしておく必要があります。特に、ジョイントベンチャーを相手企業に提案する場合には、メリットやリスクを踏まえた詳細な提案を行わなければなりません。

また、効果的な提案を行うには、自社からの提案だけでなく、相手側の提案も十分に考慮して検討することが重要です。ジョイントベンチャーは双方の合意によって決まるため、お互いの強み・弱みを明確化し、補填できるような関係性を選択するのも良いでしょう。

提携条件は細かく決める

ジョイントベンチャーの提携条件は細かく決めておきましょう。業務内容やスケジュール、意思決定の方法などお互いが納得できるまで掘り下げた取り決めが必要です。

契約締結後の条件変更は、トラブルや企画倒れのリスクを伴います。したがって、お互いが納得した状態でスタートするために、事業の計画段階で業務内容やトラブル発生時を具体的にイメージしておくことが大切です。

双方の管轄範囲を明確にしておく

万が一の事態が発生した場合に備え、双方の管轄範囲を明確にしておくことが必要です。管轄範囲が決まっていないと、責任の所在がわからなくなる問題が発生します。さらに、対処や意思決定にも時間がかかるでしょう。

また、担当者が明確であれば、問い合わせ先にも迷いがないため、不要なコミュニケーションが発生しません。このように、管轄範囲が明確であれば、企画や提案する際にもスムーズに通りやすくなるため、様々な状況を想定し、管轄範囲を決めておくことが大切です。

まとめ

ジョイントベンチャーは、複数の企業が出資して新しい事業を立ち上げることです。それぞれの企業が出資するため、買収と提携の中間のような提携方法と言えます。企業双方の強みを活かし、新たな価値の創出が期待できます。

また、ネームバリューや顧客の共有ができるため、自社のブランド力を高められることも大きなメリットです。一方、複数社が共同で経営することによる業務スピードの低下や負担の偏りが懸念されます。

そのため、条件を細かく設定して平等性を担保することや、様々な状況に直面した時の対応方法など、事前の取り決めが必要不可欠です。そして、ジョイントベンチャーは、正しい手順を踏んで実行すれば、相乗効果による事業の拡大や企業の発展にも大きく貢献します。

ジョイントベンチャーを検討する際には、この記事を参考に、ジョイントベンチャーについて理解を深め、双方の強みが十分に発揮できる事業を立ち上げましょう。

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