大企業向けのワークフローシステムとは?課題や導入のメリットを解説

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  • 大企業のワークフローの課題に、大規模な人事異動の対応や承認経路の複雑化などがある
  • ワークフローシステムの導入で、申請・承認にかかる手間やコスト削減などに繋がる
  • 大企業向けワークフローシステムを選ぶ際は、複雑な承認ルートや監査に対応可能か確認

大企業のワークフローにおける課題は、複雑な組織形態や承認経路、大規模な人事異動への対応などさまざまです。これらの課題解決には、大企業向けのワークフローシステム導入がおすすめです。本記事では、大企業向けのシステム導入におけるメリットや選び方などを解説しています。

目次

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  1. ワークフローシステムとは
  2. 大企業がワークフローで抱える課題
  3. 大企業がワークフローシステムを導入するメリット
  4. 大企業向けのワークフローシステムを選ぶポイント
  5. まとめ

ワークフローシステムとは

ワークフローは、組織内の業務タスクやプロセスの流れを定義したものです。作業のステップ依存関係役割時間制約などを管理します。そして、ワークフローシステムは、ワークフローを自動化し、効率的に管理するためのツールです。

ワークフローシステムでは、作業フローの設計・タスクの割り当て・進捗管理・ルール設定・データ連携などの機能を提供します。これにより、タスクの自動割り当てや進捗の追跡、通知の送信などが可能になります。

ワークフローシステムは、組織内のタスク管理とプロセスの効率化を支援し、生産性を向上させると同時に、迅速な意思決定とスムーズなコミュニケーションを実現します。特に、従業員を多く抱える大企業であるほど、システムによって得られる恩恵が大きくなります。

ワークフローシステムの主な機能一覧

ワークフローシステムは、さまざまな機能により、組織内の作業プロセスを効率化し、生産性の向上を図ります。ここでは、ワークフローシステムの主な機能について解説します。

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申請書類のフォーマット作成

ユーザーは、システムに用意された豊富なテンプレートから自由に選択し、申請フォーマットを作成できます。必要なフィールドやバリデーションルールを設定し、データの正確性を確保します。また、自動計算や条件付き表示により、便利な機能を追加できます。

これにより、ユーザーは効率的な申請プロセスを実現し、作業負荷を軽減できます。申請書類のフォーマット作成機能は、煩雑な手続きを簡素化し、正確なデータ収集と迅速な処理に貢献します。

承認ルートの作成・設定

ワークフローシステムでは、特定のプロセスや申請に対して適切な承認ルートを作成できます。承認者や役割を指定し、ルートの順序や条件を設定します。さらに、複数の承認レベルを設計したり、並列承認・逐次承認などの、柔軟な承認フローの設計もできます。

その際、承認者には通知が送られ、決裁または却下の選択が可能です。また、可視化機能が備わっており、リアルタイムで申請の承認状況を把握できます。これにより、スムーズな承認プロセスと迅速な意思決定を実現します。

進捗状況の確認

ユーザーは、作業やタスクの進捗状況をリアルタイムで把握できます。1つのタスクが完了すると次のステップに進み、必要に応じて通知や警告が送信されます。管理者は進捗ダッシュボードを通じてプロセスの状態を確認し、ボトルネックや遅延を特定できます。

これにより、問題解決やリソースの適切な配分が可能となり、生産性と効率性が向上します。ワークフローシステムでは、進捗状況の正確な把握によって、タスクの透明性と迅速な意思決定を実現することが可能です。

申請内容の検索

特定のキーワードや条件を使用して、申請内容を検索できます。これにより、特定の申請を素早く見つけることができます。また、検索結果をフィルタリングしたり、必要な事柄だけをソートしたりすることも可能です。

申請内容の検索機能は、効率的な情報の探索とアクセスをサポートし、タスクの追跡や過去の申請の参照などに役立ちます。また、ユーザーは必要な情報を容易に見つけ、迅速な意思決定とスムーズな業務進行を実現できます。

大企業がワークフローで抱える課題

大企業のワークフローにはいくつかの課題が存在します。例えば、複雑な組織構造による情報の分散や連携の難しさといった、大きな組織ならではの課題が挙げられます。ここでは、大企業がワークフローで抱える課題について解説します。

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組織形態・承認ルートの複雑化

組織の規模が大きいほどに部門や役職は増え、承認ルートが複雑化して、決裁の遅延や混乱が生じる可能性が高まります。また、承認者の特定や役割の重複、逐次承認の手続きなども課題となります。

大企業のように組織形態が複雑であると、意思決定の遅延、コミュニケーションの混乱、ボトルネックの発生などのリスクがあります。その他にも、組織全体の効率性や生産性が低下し、遅延やミスのリスクが高まることが懸念されます。

大規模な人事異動によるメンテナンス

人事異動が起こると、従業員の役割や承認権限が変化するため、既存の承認ルートやアクセス権の調整が必要となります。これにより、ワークフローシステムのメンテナンスが煩雑化し、適切な権限設定やルートの更新にミスが生じる可能性があります。

これは、従業員数が多い企業であるほど承認ルートが増え、ミスが起こりやすいという意味でもあります。また、異動が頻繁に行われる場合、個別の変更や追加作業が増え、効率性や正確性に影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。

強固なセキュリティ対策が必要

大規模な組織では、機密データや個人情報の保護が重要です。例えば、ワークフローシステムには、アクセス制御・データ暗号化・ログの監視などのセキュリティ対策が必要です。

セキュリティの不備や監査対応の欠如は、情報漏洩や不正アクセスのリスクを引き起こし、法的な問題や信頼性の低下につながる可能性があります。よって、ワークフローシステムに関わらず、大企業では導入するシステムのセキュリティは常に強固でなければなりません

企業独自の業務や慣習

大企業は独自の業務プロセスや規則を持ち、既存のワークフローシステムに合わせることが難しい場合があります。これにより、既存のワークフローシステムでは特定の要件を満たせず、効率性や柔軟性が低下する可能性があります。

また、業務の変更やアップデートに対応するため、新たなカスタマイズが必要となる場合もあります。カスタマイズには時間とリソースが必要であり、メンテナンスやアップグレードの際にも追加の作業が生じる場合もあります。

しかし、企業規模が大きいほど、企業独自のプロセスは煩雑化しており、なかなか新しいシステムに適応しにくい、といった大きな課題を抱えているのも現状です。

大企業がワークフローシステムを導入するメリット

ワークフローシステムの導入は、大企業における生産性向上と競争力の強化に貢献します。ここでは、大企業がワークフローシステムを導入するメリットについて解説します。

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申請・承認にかかる手間の軽減

従来の手動プロセスでは、紙文書の作成・配布・回収・確認などの手続きが煩雑で時間がかかりました。しかし、ワークフローシステムでは電子的な申請と承認が可能です。申請書類の作成や提出がオンラインで行われ、承認者はシステム上で迅速に確認と承認を行えます。

これにより、手続きの迅速化データの正確性向上コミュニケーションのスムーズ化などのメリットが生まれます。効率的な申請と承認プロセスにより、時間と手間の削減が実現し、生産性の向上に貢献します。

申請内容に合わせた承認者の設定

大企業において、申請書類は日々いくつも作成され、都度承認が行われています。それらの申請内容は一つひとつ異なり、申請者と承認者にもさまざまなパターンが考えられます。

そのため、ワークフローシステムの活用によって、パターン化しにくい組織内での承認フローも、作成者が作成時に選択することによって、容易に書類を作成することができます

また、新たな承認フローが発生した場合にも、混乱することなく速やかに対応することが可能です。

再申請や承認者の変更における自由度の高さ

申請書を作成して承認フローを行う中で、自分だけでは承認の可否が判断できない場合には、新たに自分の前後に承認者を追加することができます。なお、そもそも申請する相手が自分ではなかった場合など、承認者の変更をしたい場合にも自由に変更が可能です。

このように、申請内容の不備によって再申請を求めた場合などにも、差し戻しなどの時間を要するやり取りを行うことなく、素早く修正をすることができます。つまり、承認フローにおける自由度の高さも、ワークフローシステムの活用における大きなメリットとなります。

印刷コストと保管スペースの削減

ワークフローシステムを導入することにより、コスト削減を促進できます。まず、ワークフローシステムによる自動化により、従業員の手作業や繁雑なタスクが削減され、人的リソースの効率的な活用が可能となります。

さらに、紙文書の印刷におけるコスト削減も期待できます。電子的な申請と承認により、紙の使用量が減り、関連する印刷や保管スペースの負担が軽減されます。

エラー修正にかける時間の削除と競争力強化

ワークフローシステムは、業務プロセスにおけるデータの正確性と品質を向上させ、人為的なエラーや再作業のリスクを低減します。これにより、再作業や修正作業にかかる時間や人件費にかかるコストが削減されます。

さらに、運用効率の向上により、業務の迅速な処理が可能となり、効率性が向上します。つまり、ワークフローシステムの導入により、コストの削減と効率化が両立し、企業の経済的な競争力の強化にも貢献します。

テレワークへの対応

ワークフローシステムは、クラウドベースのツールであり、インターネットに接続されたデバイスからアクセス可能です。これにより、従業員はオフィスにいるかどうかに関わらず、自宅や外出先からでも、ワークフローシステムにアクセスして業務を行うことができます

また、在宅勤務・テレワークに対応することで、従業員はフレキシブルな働き方が可能となり、通勤時間の削減やオフィススペースの節約などの効果が期待できます。さらに、緊急事態や自然災害のような状況下でも、業務の継続性を確保できます。

このように、ワークフローシステムの導入は、テレワークへの柔軟な対応を可能にし、生産性向上や働き方の改善につながります。

大企業向けのワークフローシステムを選ぶポイント

大企業向けワークフローシステムを選ぶ際のポイントは、いくつかあります。企業独自の業務プロセスやニーズを満たすには、柔軟性と拡張性が必要となります。ここでは、大企業向けのワークフローシステムを選ぶポイントについて解説します。

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既存システムと連携できるか

大企業は、一般的に多くのシステムを使用しており、それらのシステム間でのデータや情報の連携が必要です。ワークフローシステムが既存のシステムとシームレスに連携できることは、重要なポイントとなります。

ワークフローシステムが既存システムと連携できることで、データの一元化と統合が実現できます。例えば、ワークフローシステムが他のシステムとデータを共有し、相互に連携することで、情報の重複や不整合を避けることができます。

また、業務プロセスの自動化や効率化も可能です。既存のシステムとの連携によって、ワークフローシステムが他のシステムからデータを取得し、自動的に処理やアクションを実行します。これにより、業務の迅速化やエラーの削減が実現します。

グループ会社間の複雑な承認ルートに対応できるか

大企業は、複数のグループ会社から成り立っている場合がほとんどであり、各会社内で独自の承認ルートや権限の設定が存在します。そのため、大企業がグループ会社間の複雑な承認ルートに対応するためには、PaaS型のワークフローシステムがより適しています

PaaS型のワークフローシステムは、そもそもが大企業向けに設計されており、柔軟なカスタマイズ性を有し、グループ会社間の複雑な承認ルートに対応できる特徴があります。これにより、各グループ会社ごとの要件や慣行に合わせた独自の承認プロセスを構築できます。

一方、汎用型のワークフローシステムは、主に中小企業向けに提供されています。これらのシステムは、PaaS型と比べてシンプルな機能を持ち、より一般的な業務プロセスの対応に適しています。

よって、大企業がワークフローシステムを選ぶ際には、グループ会社間の承認ルートに焦点を当て、PaaS型のシステムを選択しましょう。

人事異動に対応できるか

大企業は、人事異動が頻繁にあります。そのため、ワークフローシステムを導入する際は、人事異動に対応する機能を備えたツールを選びましょう。

機能としては、異動申請フォームや承認ワークフロー、役職や部署の変更に関連するタスクや通知、統計情報の追跡などがあります。システムの導入で、人事異動に伴う手間や混乱を最小限に抑え、組織の効率性とスタッフの満足度を向上させることができます。

セキュリティ・監査に対応できるか

大企業が抱える多くの機密情報や、個人データの保護は最優先事項であり、セキュリティの脆弱性は重大なリスクとなり得ます。そのため、システム選びの際に、セキュリティ対策の強固さの確認は大企業にとって必須事項です。

ワークフローシステムに搭載されるIPアドレス制限は、不正アクセスや外部からの攻撃を防ぐために、特定のIPアドレスからのアクセスのみを許可する機能です。また、ユーザー認証は、正当なユーザーのみがシステムにアクセスできるようにするための手段です。

その他にも、データの暗号化でデータの保護と機密性の確保を行い、監査ログの記録でシステムへのアクセスや操作の履歴を保存するなど、監査や不正行為の検出に役立つ機能を搭載しています。

大企業がワークフローシステムを選ぶ際には、こういったセキュリティ対策の具体的な機能や、監査への対応能力を比較検討することが重要です。その結果、機密情報の保護と法的要件の遵守が確保され、組織全体のセキュリティと信頼性を高めることができます。

カスタマイズの自由度が高いか

大企業は多様な業務プロセスや要件を持つため、ワークフローシステムもそれに柔軟に対応できることが求められます。例えば、カスタマイズの自由度が高いシステムでは、既存の業務フローに合わせて自動でシステムが調整し、効率性を最大化できます

また、将来の変化や成長にも対応できる柔軟性があります。よって、カスタマイズの自由度の高いワークフローシステムを選ぶことで、大企業は自社の独自性と要件に適した最適な業務プロセスを実現し、組織全体の効率性と競争力を向上させることができます。

大企業は多様な業務プロセスや要件を持つため、ワークフローシステムもそれに柔軟に対応できることが求められます。例えば、カスタマイズの自由度が高いシステムでは、既存の業務フローに合わせて自動でシステムが調整され、効率性を最大化できます。

また、将来の変化や成長にも対応できる柔軟性があります。よって、カスタマイズの自由度の高いワークフローシステムを選ぶことで、大企業は自社の独自性と要件に適した最適な業務プロセスを実現し、組織全体の効率性と競争力を向上させることができます。

料金は適正か

ワークフローシステムの導入に際しては、初期費用・月額の利用料金・カスタマイズ料・保守費用などがかかります。また機能が増えるほど高額になるため、大企業が多機能なものを選ぶ際は注意が必要です。

また、ユーザー数によっても料金は変動します。大企業の場合は利用する人数も増える傾向にあるため、1ユーザーあたりいくらなのかもチェックしておくべきです。多くは1人あたり月額数百円〜数千円程度となっています。

料金はベンダーによっても異なるため、まずは必要な機能を洗い出し、要件に合ったベンダーを絞りましょう。その上で各社に見積もりを依頼し、比較検討するのがおすすめです。

無料のワークフローシステムもある

ワークフローシステムの導入には月額料金がかかりますが、中には無料プランが用意されているものもあります。初めて導入する場合や、ワークフローシステムがどのようなものか試してみたい場合に活用してみましょう。

ただし無料のシステムは機能制限が設けられており、ベンダーからのサポートが受けられないケースもあります。

またユーザー数も限られているため、大企業への本格的な導入には向きません。無料プランで使い勝手を確認し、その後有料プランへ切り替えるのがおすすめです。

まとめ

大企業がワークフローシステムを導入するメリットには、手間の軽減やコスト削減、テレワークへの対応などが挙げられます。なお、導入する際には、セキュリティ対策やカスタマイズの自由度、人事異動や承認ルートの対応能力を検討することが重要です。

また、セキュリティ対策では、IPアドレス制限や監査対応が必要であり、カスタマイズの自由度は、業務プロセスの最適化や将来の変化への柔軟性を保証します。そして、人事異動に対応するためには、承認ワークフローや組織図の自動更新などの機能が必要です。

大企業はこれらのポイントを考慮し、自社の要件に合ったワークフローシステムを選択することで、業務効率化と生産性向上を実現できます。

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