ジェネラリストとは?スペシャリストとの違いや課題をわかりやすく解説

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  • ジェネラリストは多方面の知識を持つ人を意味し、幅広い知見や視野を持った人材のこと
  • ジェネラリストの特徴に、物事を多角的に捉えられる・行動力や決断力があるなどがある
  • ジェネラリストを自社で育成する際は、OJTや研修で知識や経験を身につけさせる

ジェネラリストとは、幅広い知識や経験を備えた人を意味し、ビジネスでは幅広い知見や視野で部下やチームをまとめる人材のことを言います。本記事では、ジェネラリストをよく知らない方のために、ジェネラリストとスペシャリストの違いや採用するメリットなどを解説しています。

目次

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  1. ジェネラリストとは
  2. ジェネラリストの特徴・向いている人
  3. ジェネラリストの将来性
  4. ジェネラリストを採用するメリット
  5. ジェネラリストを採用するデメリット
  6. ジェネラリストに向いている職種
  7. スタートアップ・ベンチャー企業にジェネラリストは最適
  8. ジェネラリストを自社で育成する方法
  9. まとめ

ジェネラリストとは

ジェネラリストは多様な分野で活躍し、企業での業務・プロジェクトの遂行に貢献する人物です。「ゼネラリスト」とも呼ばれます。

まずはジェネラリストについて、意味・意義やスペシャリストとの違いをご紹介していきます。

「ジェネラリスト」の意味

ジェネラリストの語源は英語で「generalist」で、「多方面の知識を持つ人」や「博学な人」という意味があります。

転じて日本では、ジェネラリストとは「幅広い分野の知識・経験がある人」を指します。特定の分野に特化するのではなく、さまざまな分野で活躍してきた万能型の人物がジェネラリストと呼ばれます。

ジェネラリストとスペシャリストの違い

ジェネラリストとスペシャリストの違いは、知識・経験です。ジェネラリストは前述の通り、幅広い分野での知識や経験がある人物を指します。

たとえば経理・企画・人事のような各分野で、スキル・知識を磨いてきた人物がジェネラリストにあたります。ジェネラリストは、役員・管理職・総合職など、従業員を統括する立場に立つことが多い傾向です。

対してスペシャリストは、一つの分野に専門的に特化した人物を指します。医師・弁護士・システムエンジニアなどのいわゆる「専門職」と呼ばれる人物がスペシャリストにあたります。

ジェネラリストの特徴・向いている人

企業はジェネラリストを採用・育成することで、業務効率の改善やマネジメントの最適化などのメリットが期待できます。それでは、企業はどのような人物をジェネラリストとすべきでしょうか。

ジェネラリストの特徴や向いている人について解説していきます。

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幅広い知識・経験がある

ジェネラリストの最大の特徴は、幅広い分野での知識・経験・スキルを有する点です。ジョブローテーションや転職を繰り返し、かつ自分自身を成長させてきた人物でなければ、ジェネラリストとは呼べません。

さまざまな分野で経験を積んできたジェネラリストは、柔軟な思考と多角的な視点を持っています。また、多様な分野で活躍してきた経験があるため、特定の部署や分野の立場に偏ることなく、組織全体を見渡しながら客観的な判断を下せます。

たとえばプロジェクトが壁にぶつかったとしても、各部署と連携しながら、最適な代替案を捻出し、実行していけるでしょう。

好奇心が旺盛

ジェネラリストには幅広い知識・経験が求められます。よって、どのような物事にも興味を持ち、恐れずチャレンジしていくような好奇心旺盛な人物が適しています。

好奇心旺盛な人物は、今まで経験がない業務を任されても前向きに取り組むことができます。新しい分野へのチャレンジは、知見をさらに広げることにつながります。

柔軟な思考力を持っている

ジェネラリストは管理職に立つことが多く、新しいスキルや知識をアップデートしていかなければなりません。そのため、固定概念にとらわれず、常に柔軟な思考力を保ち続ける人物が適しています。

柔軟な思考とは、多様な経験で培われる部分が大きいものです。よって多様な知識・スキルを有するジェネラリストは、必然的に柔軟な思考力を備えていることが多いです。

コミュニケーション能力が高い

ジェネラリストには、どのような相手とも円滑な人間関係を築くための能力が必要とされます。経営陣や管理職、すなわちチームをまとめあげて引っ張る立場に就くことが多いためです。

組織をまとめあげるには、まず他人の主張やニーズを読み取る力が必要です。主張・ニーズは必ずしも言語化されているわけではないため、ジェネラリストは他人の心の機微に敏感でなければなりません。

また、主張やニーズをキャッチできても、他部署との兼ね合いなどから、必ずしも本人の希望通りになるとは限りません。時には相手の妥協を引き出すために交渉・折衝し、全体のバランスを取るのもジェネラリストの重要な役割です。

このような点からも、ジェネラリストには、他人との良好な関係を構築する能力、すなわちコミュニケーション能力が必要です。具体的には、他人の意見・考えに耳を傾ける傾聴力や、いざというときは断固として対応できる精神力が求められるでしょう。

客観的な判断・行動ができる

ジェネラリストはリーダー的立場に就くことが多いため、客観的な判断力・行動力がある人物が適しています。業務遂行にあたり、特定の分野や部署に偏ることなく、全体を見渡しながらバランスを取らなければなりません。

たとえば入社以降1つの部署にしか在籍していない人物は、どうしても在籍部署の肩を持つ傾向があります。しかしさまざまな部署を経験していれば、各部署の事情や長所・短所に精通しているため、各部署に満遍なく寄り添った多角的な判断が可能になります。

多角的かつ柔軟な思考を持ったジェネラリストは、組織全体を俯瞰しながら物事に当たれるため、冷静で客観的な行動ができるでしょう。ひいてはプロジェクトの円滑な遂行が期待できます。

ジェネラリストの将来性

幅広い分野で活躍が期待されるジェネラリストですが、一部の企業からは「時代遅れなのでは?」「今後はいらない存在になる」といった声も聞かれます。そこで、ここではジェネラリストの未来について解説します。

今後はスペシャリストが重要視される傾向

ジェネラリストが「時代遅れ」「いらない」と言われる背景には、職務やスキルを限定して採用するジョブ型雇用の広まりがあります。

人材を新卒一括採用し、全員がどの職場でも対応できるよう幅広い知識を身につけさせるメンバーシップ雇用とは異なり、ジョブ型雇用ではより深く専門的な知識を持つ人材が求められます。

近年は終身雇用制度が衰退し、人材の流動化も激しくなっていることから、汎用的な知識を持つジェネラリストよりも、即戦力のあるスペシャリストを重要視する企業が増えているのです。

ジェネラリストは知識のアップデートが必須

スペシャリストが重要視されるとはいえ、ジェネラリストが不要になるわけではありません。職務やスキルが限られるスペシャリストをまとめるには、幅広い知識と経験を有したジェネラリストが必要不可欠です。

特に、新規事業を展開していく場面では、ジェネラリストの広い視野が重要になるでしょう。ただし、流れの早い時代についていくためには、知識のアップデートが欠かせません。

企業はジェネラリストに対し、幅広い業務知識だけでなく、各分野の専門知識を深める教育も行っていく必要があります。

ジェネラリストを採用するメリット

ジェネラリストの採用により、企業には既存業務の改善やマネジメントの最適化などが期待できます。ジェネラリストの採用を検討するためにも、まずはメリットを正しく理解しておきましょう。

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既存業務の改善促進

ジェネラリストの採用により、既存業務の改善を促せます。幅広い分野で経験を積んだジェネラリストは、多角的で柔軟な発想が可能なためです。

固定概念に捕らわれず、固定化された既存の業務プロセスを客観的に見つめ、必要があれば新しい業務プロセスを構築します。従来の業務プロセスが抱えていた課題にも柔軟に対応できるため、業務効率の向上ひいては生産性の向上が実現できるでしょう。

職場のコミュニケーションを活性化できる

ジェネラリストの多くは高いコミュニケーション能力を有しているため、採用することで職場のコミュニケーションの活性化が期待できます。

たとえば上司・部下・他部署など各方面のニーズ・希望を聞き取り、全方面にとってベストな改善策を提示・実行できるでしょう。

また、ジェネラリストがお手本を示すことで、従業員同士のコミュニケーションも活発化し、職場の風通しも良くなります。職場全体のコミュニケーションが底上げされれば、部門を越えてスムーズな業務連携が取りやすくなります。

仮に相手部署の要求を拒否する場合でも、日頃から交流が盛んであれば、無用な波風を起こさずに円滑に物事を進めやすいでしょう。

マネジメント力を生かした活躍が期待できる

ジェネラリストは組織全体をまとめ上げる能力に長けています。採用することで、そのマネジメント力を活かした活躍が期待できるでしょう。

たとえば組織全体で重大プロジェクトに取り組む場合は、ジェネラリストはプロジェクトの進行役を担います。

高いコミュニケーション能力によって、各部門の進捗状況やニーズを聞き取りながら、的確な指示・交渉に取り組むことができます。また、プロジェクトが難航している場合は、培った知識・スキルを元に新しい手法を提示することも可能です。

ジェネラリストを採用するデメリット

上記のようなメリットがある一方で、ジェネラリストの採用にはデメリットも存在します。ここでは、「スペシャリストの不足」「競争力の低下」という2つのデメリットについて解説します。

スペシャリストが不足する

ジェネラリストが増えると、スペシャリストが減る恐れがあります。ジェネラリストを目指すには、幅広い分野を全般的に学ぶ必要があるためです。専門分野を深く追求する人材が少なくなれば、当然ながらスペシャリスト不足に陥ります。

近年はIT技術やAI技術の導入により、業務プロセスの自動化・最適化はコンピュータの管理領域になっています。つまり、時流的にジェネラリストが活躍しにくくなっているのが現状です。

そのような中で、即戦力となるスペシャリストが不足することは、企業にとって大きな不利益となる可能性があります。

組織の競争力が低下する恐れがある

ジェネラリストの採用・育成の増大によってスペシャリストが不足すると、企業の競争力が低下する恐れがあります。専門知識を有したスペシャリストが不足した場合、技術を高め合ったり、さらなる品質の向上を求めたりする気運が弱まる可能性があるからです。

一方で、細分化された業務プロセスを全般的に管理する必要があるのも確かであり、そのためには、マネジメントに長けたジェネラリストが必要です。

こういった矛盾を解決するには、よりスキルの高いジェネラリストの採用や育成、そして、より活躍が期待できるポジションにジェネラリストを配置することが重要です。

ジェネラリストに向いている職種

ジェネラリストは適切なポジションに配置することで、より大きな活躍が期待できます。ジェネラリストが適している職種・ポジションには次のようなものがあります。

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管理職・マネージャー

ジェネラリストに適した職種の代表格ともいえるのが管理職・マネージャーです。これらは組織の管理・部下の育成や、組織全体での目標の設定・達成を統括する職種です。

管理職・マネージャーは部下の適性や働きぶりを理解し、適切な仕事を振り分けながら、目標の達成や売上の向上につなげていきます。トラブル時の課題解決・経営陣と現場の仲立ちも重要な仕事です。

管理職・マネージャーには上層部と現場への理解・幅広いノウハウが求められます。また、各部署間のフィクサーでもあるため、広い視野・柔軟な思考力・高いコミュニケーション能力も必要です。

そのため、幅広い分野で経験を積み、かつ円滑な人間関係の構築に長けたジェネラリストが適しています。

コンサルタント

コンサルタントとは、相談を受けた顧客の課題を発見し、解決策を立案・実行する職種です。専門知識を持ったアドバイザーのような存在といえます。

コンサルタントは顧客の属性などにあわせて、的確なアドバイスをする必要があります。そのため、特定の分野に特化するのではなく、幅広い知識を有しておかなければなりません。

さまざまな分野で経験を積み、スキル・知識を磨いてきたジェネラリストはコンサルタントに適しています。どのようなジャンルの顧客であっても、豊富な知識とスキルを武器に、柔軟かつ的確な解決策を提示できるでしょう。

また、時流に沿ったアドバイスをするには、常に情報を自主的にアップデートする姿勢が求められます。この点からも、何事にも好奇心を持って取り組めるジェネラリストは適しているといえます。

プロダクトマネージャー

プロダクトマネージャーとは、プロダクト(製品)の精度を高めることで、売上を拡大する職種です。特にIT業界で大きな注目を集めているポジションです。

プロダクトマネージャーはプロダクトに対して全責任を負います。中長期的に顧客のニーズを満たすプロダクトの企画・開発・ブランド管理・プロモーションなど、製品管理を一貫して行わなければなりません。

プロダクトマネージャーは企業の売上を大きく左右することから、責任感と実行力が求められます。組織をまとめ上げ、チームを率いてプロダクトを成功に導くリーダーシップも必要です。顧客ニーズを正確に読み取る能力も持ち合わせなければなりません。

多角的な視野と柔軟な思考力、そして高いコミュニケーション能力を持つジェネラリストはプロダクトマネージャーに適した人物といえるでしょう。

バックオフィス系の業務

バックオフィスとは「後方支援」、具体的には総務・人事・経理・一般事務などが該当します。営業職のように直接利益を生むことはありませんが、バックオフィスがなければそもそも営業業務は成り立ちません。いわゆる縁の下の力持ちにあたる存在です。

ジェネラリストはバックオフィスにも適した人材です。バックオフィス業務は多彩であり、それだけに幅広い知識やスキルが求められるためです。

また、バックオフィスのメンバーは社内だけでなく社外関係者とも連絡を取り合うため、高いコミュニケーション能力も求められます。さまざまな知識に精通し、かつ円滑な人間関係を築けるジェネラリストは大いに活躍できるでしょう。

スタートアップ・ベンチャー企業にジェネラリストは最適

ジェネラリストが特に活躍できるとされているのが、スタートアップ企業やベンチャー企業です。日本では、両者はほぼ同じものと認識されています。

ジェネラリストがスタートアップ企業・ベンチャー企業に適している理由として、どちらも起業したばかりで人員が少ないことが挙げられます。企業は成長するにつれ、人員が増え、それに伴い業務も営業・事務・経理・人事…のように細分化されていきます。

しかしスタートアップ企業やベンチャー企業はそれらを少ない人材でこなさなければならず、それゆえメンバー一人ひとりに幅広い業務知識が求められます

よって、多様な分野で経験を積んだオールマイティ型のジェネラリストは、大いに活躍できるでしょう。

ジェネラリストを自社で育成する方法

ジェネラリストは中途採用するケースが多いですが、自社内でも一から育成可能です。ここからは、ジェネラリストを育成する方法をご紹介します。

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OJT(実践形式)による教育

ジェネラリストの育成には、OJTが有効です。OJTとは職場内訓練と呼ばれており、実際に現場で働きながら専門的な知識・スキルを学習する方法です。具体的には、プログラムされた日常業務をこなす中で、業務ノウハウを段階的に身につけていきます。

ジェネラリストには多様な知識やスキルが必要であり、それらの多くは実践形式で培われていきます。しかし現場での知識・スキルの取得は内容が偏りやすいため、補完のためにも研修による体系的な学習が必要です。

そこで重要になるのが、実践をベースにした研修であるOJTです。学習・実践を同時進行することで知識・スキルの習得が早まるため、効率的にジェネラリストを育成できます。

ジョブローテーションを行う

ジョブローテーションはジェネラリストの育成に欠かせません。なお、ジョブローテーションとは部署や現場が変わること、いわゆる部署異動にあたります。

ジェネラリストにはさまざまな分野の知識・スキルが必要です。ジョブローテーションすることで携わる業務を定期的に変えられるため、自然と知見が広まるでしょう。

研修で知識やスキルを学ばせる

ジェネラリストを効率的に育成するには、企業が定期的に研修を提供することも大切です。現場では知識・スキルが身に付きますが、これらは体系立っておらず、「なんとなく」覚えたというケースが少なくありません。

しかし研修を実施することで、「なんとなく」覚えた知識やスキルを体系立てて学習できます。いわゆる点と点が線につながるようなイメージです。学習・実践を繰り返すことで、より正確なスキルや知識の獲得が可能になるため、ジェネラリストの育成が早まります。

まとめ

ジェネラリストは幅広い分野で経験を積み、知識・スキルを磨いたオールマイティ型の人材です。高いコミュニケーション能力・好奇心・柔軟かつ多角的な思考ができる人物に適しています。

ジェネラリストは万能型の人材であるため、少数で事業を行っているスタートアップ企業やベンチャー企業で重宝されます。中途採用するケースもありますが、OJTやジョブローテーションによって自社で育成することも可能です。

企業はジェネラリストの採用により、既存業務の改善やマネジメントの最適化が期待できます。管理職・マネージャー・コンサルタント・バックオフィスなどジェネラリストの本領が発揮できるポジションを与えることで、自社の成長が期待できるでしょう。

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