ファクタリングに消費税は発生する?発生しない理由を詳しく解説
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- ファクタリング取引は非課税取引・消費税は非課税のため、取引には消費税は発生しない
- 債権譲渡登記が必要な場合やファクタリング会社に支払う事務手数料には消費税が生じる
- 消費税を請求してくる悪徳業者もいるため、契約前に迅速に取引を中断することが重要
ファクタリングの利用に消費税がかかるのか懸念する人は多いですが、原則としてファクタリングには消費税が発生しません。ただし、債権譲渡登記が必要な場合は消費税が発生します。この記事では、ファクタリングに消費税が発生しない理由や発生するケースについて解説します。
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ファクタリングの利用に消費税はかかるのか
ファクタリングは、支払期日前の売掛債権を現金化して、スピーディーに資金を調達する手段です。ファクタリングの利用には消費税は発生しませんが、債権譲渡登記などを行う際は消費税が発生する点に注意が必要です。
本記事では、ファクタリングの取引で消費税が発生しない理由や、消費税が発生するケースなどについて解説します。
ファクタリングとは|意味やメリットデメリットをわかりやすく解説
ファクタリングは「債権買取り」のことで、経済産業省が中小企業に向けて推奨している資金調達方法です。スピーディーに資金調達できる点が魅力です。本記事では、ファクタリングの仕組みや種類、メリット・デメリットの他、ファクタリングが役立つシーンなどについて解説します。
消費税とは
消費税とは、商品やサービスの利用に対して広く公平に課税される税金です。負担するのは消費者ですが、実際に納めるのは事業者であるため、納税者と担税者が異なる「間接税」にあたります。
「非課税取引」「免税取引」「不課税取引」に該当する取引を除き、消費税は日本国内で対価を得て行われるあらゆる取引にかかります。
参考:消費税のしくみ|国税庁
ファクタリングに消費税が発生しない理由
ファクタリングは売掛債権を売買する取引ですが、前述のように消費税は発生しません。その理由は主に2つあります。ここでは、ファクタリングに消費税が発生しない理由を解説します。
ファクタリング取引は非課税取引のため
ファクタリングに消費税が発生しないのは、ファクタリング取引は「非課税取引」にあたるためです。非課税取引とは、本来は消費税の課税対象に該当する取引でも、課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮などを理由として、課税しない取引です。
非課税取引の例は17個あり、ファクタリング取引はそのうちの「有価証券の譲渡」にあたります。したがって、ファクタリング取引自体が非課税取引と見なされるため、利用の際に消費税が発生しません。
金銭債権の譲受対価である消費税は非課税のため
国税庁の公式HPには、次のような旨の記載があります。
- 契約上金銭債権の譲受けであれば金銭債権の譲受対価として非課税となる
- 金銭債権の譲受けの際に債権者から徴収する割引料・保証料・手数料は、名目にかかわらず金銭債権の譲受対価として非課税となる
ファクタリングは「1.」の金銭債権の譲受けにあたるため、金銭債権の譲受対価として非課税となり、消費税は発生しません。また、ファクタリングの利用には手数料がかかりますが、「2.」を根拠として手数料にも消費税は発生しません。
ファクタリングにおける消費税が発生するケース
ファクタリングそのものは非課税取引であるため、消費税は発生しません。ただし、ファクタリングに関連した作業については、課税対象となる可能性があるため、ファクタリングの利用には一切消費税がかからないわけではありません。
ここでは、ファクタリングで消費税が発生するケースについて解説します。
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ファクタリングにおける消費税が発生するケース
債権譲渡登記が必要な場合
ファクタリングを行うにあたり、債権譲渡登記が必要な場合は、費用の一部に消費税が発生します。ファクタリングにおける債権譲渡登記とは、売掛債権の所有権がファクタリング会社に移行したことを公示する登記制度です。
債権譲渡登記にかかる費用の具体的な内訳は次の通りです。
- 登録免許税(1件につき7,500円~1万5,000円)
- 司法書士に対する報酬
上記のうち、消費税の課税対象は司法書士に対する報酬です。なお、これらの費用を負担するのは利用者です。
ファクタリングでは、必ずしも債権譲渡登記を行う必要はありません。しかし、2社間ファクタリングでは二重譲渡の恐れがあるため、ファクタリング会社は売掛債権の保全を目的として、利用者に債権譲渡登記を求めることが多いです。
ファクタリングの債権譲渡登記とは?メリット・デメリットを解説
ファクタリングとは債権を譲渡することで資金を調達する方法であり、「債権譲渡登記」の手続きによって、ファクタリング会社は債権買取の証拠とすることができます。この記事では、ファクタリングにおける債権譲渡登記の目的やメリット、注意点などを解説します。
ファクタリング会社に支払う事務手数料
ファクタリング会社によっては、事務手数料が発生します。この事務手数料は課税対象であるため、消費税が発生します。事務手数料とは、契約書の作成などファクタリングの手続きに必要な事務作業に対する対価です。
このような事務手続きにかかる手数料は、役務の提供の対価とみなされ、消費税法で定められている金銭の貸付に対する利子には該当しないため、課税の対象となります。
なお、ファクタリングには、売掛債権の金額に応じて手数料が発生しますが、こちらについては前述の通り非課税対象です。ファクタリングの手数料と事務手数料では、消費税の発生の有無が異なる点に注意しましょう。
契約書を作成する際の印紙代
ファクタリングを契約する際は、債権譲渡契約書を作成し、印紙を貼付する必要があります。債権譲渡契約書に記載された契約金額が1万円未満の場合は、印紙税は発生しません。しかし、1万円以上の場合は200円の印紙税が発生します。
ファクタリングでは、ある程度まとまった金額の債権を譲渡するため、印紙税が発生することが一般的です。
参考:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁
ファクタリングで消費税を請求された場合の対応
ファクタリング会社の中には、見積書や請求書に消費税を記載して請求してくる業者がいます。しかし、これまで解説してきたとおり、ファクタリングの取引には消費税はかからないため、消費税を請求するファクタリング会社は悪徳業者の可能性が高いです。
悪徳業者とファクタリング契約を結ぶと、法外な費用を請求されたり、中にはファクタリングと見せかけて融資契約を結ばれたりするケースもあります。
このようなリスクを避けるために、消費税を請求された場合は悪徳業者であると判断し、迅速にファクタリング取引を中止しましょう。すでに契約を結んだ場合は、迅速な解除手続きやクーリングオフを行うのが望ましいです。
なお、ファクタリングでは絶対に消費税が発生しないとは限らず、債権譲渡登記や事務手数料などに消費税が発生することがあります。そのため、請求書に消費税が記載されている場合は、内訳をよく確認して正当な請求であるかどうかを判断する必要があります。
まとめ
ファクタリングは非課税対象であり、利用にあたって消費税の支払いは必要ありません。ファクタリング会社に消費税を請求された場合は、悪徳業者の可能性が高いため、すぐに取引を中止しましょう。
ただし、債権譲渡登記の司法書士への報酬や契約書作成といった事務手数料、契約書の印紙税などにおいては、一部消費税が発生することがあります。ファクタリングで消費税を請求された場合は、正当な請求であるかどうか、内訳をよく確認する必要があるでしょう。
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