ファクタリングの割引料とは?割引料の仕訳や低く抑える方法も解説
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- ファクタリングの割引料は、ファクタリング会社に支払う手数料で消費税は発生しない
- ファクタリングの割引料は、売掛先の財務状況や売掛金を回収できる日数などで決まる
- 割引料を抑えるためには、複数社の比較検討や同じ会社と取引を重ねることが大切
ファクタリングの割引料とは、ファクタリング会社に支払う手数料のことで、売掛先や利用者の信用力などで決まります。割引料には上限がないため、なるべく低く抑えることが大切です。この記事では、ファクタリングの割引料の相場や抑えるためのポイントなどを解説します。
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ファクタリングの割引料とは
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却して、支払期日前に現金化する資金調達方法です。ファクタリングを検討する際に注目すべきポイントとして、「割引料」があります。
ファクタリングの割引料とは、ファクタリング会社に支払う手数料です。そのため、利用者がファクタリングで受け取れるのは、現金化した売掛金から手数料を差し引いた金額です。
なお、ファクタリングの割引料には上限がなく、ファクタリング会社が自由に設定できます。割引料が小さいほど、利用者の受取金額が大きくなるため、できる限り割引料が小さいファクタリング会社を選ぶ必要があります。
本記事では、ファクタリングの割引料を抑えるためのポイントを解説します。
ファクタリングとは|意味やメリットデメリットをわかりやすく解説
ファクタリングは「債権買取り」のことで、経済産業省が中小企業に向けて推奨している資金調達方法です。スピーディーに資金調達できる点が魅力です。本記事では、ファクタリングの仕組みや種類、メリット・デメリットの他、ファクタリングが役立つシーンなどについて解説します。
ファクタリングの割引料に消費税は発生しない
ファクタリングの手数料は非課税対象であるため、割引料に消費税は発生しません。そもそも、ファクタリング(売掛債権譲渡)そのものが消費税の非課税対象であり、その手数料についても課税対象になじまないとされています。
もしファクタリングの割引料で消費税を請求された場合、そのファクタリング会社は悪質業者である可能性が高いため、利用を控えましょう。
2社間と3社間の割引料の相場
ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」があり、それぞれ割引料の相場が異なります。割引料に加えて、メリット・デメリットにも違いがあるため、それぞれのバランスを見極めて、最適な方を選ぶことが大切です。
2社間ファクタリングの割引料の相場
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社でファクタリング契約を結ぶ方法です。2社間ファクタリングの割引料の相場は10〜20%と、3社間に比べると高めの設定です。
2社間では利用者が売掛先(取引先)から売掛金を回収するため、架空請求や債権の二重譲渡の恐れがあり、ファクタリング会社側には貸し倒れのリスクが高いです。そのため、リスクヘッジとして、割引料の相場が高めに設定されています。
一方で、2社間ファクタリングの契約には売掛先が含まれないため、スピーディーな手続きができ、現金化するまでの日数が短い点が魅力です。オンライン完結型や午前中に申し込めば、最短即日での現金化も可能です。
売掛先にファクタリングの利用を知られない点も、大きなメリットといえるでしょう。割引料が多少割高でもすぐ手元に資金を得たい場合や、売掛先にファクタリングを知られたくない場合には、2社間ファクタリングが向いています。
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3社間ファクタリングの割引料の相場
3社間ファクタリングでは、利用者・ファクタリング会社・売掛先の3社でファクタリング契約を結びます。売掛金の回収はファクタリング会社が売掛先から直接行うため、貸し倒れのリスクが低いです。
そのため、割引料の相場は1〜10%程度と低めに設定されており、できる限り満額に近い金額を受け取りたい場合におすすめです。しかし、3社間ファクタリングは、現金化までに1〜2週間程度かかる点に注意が必要です。
その理由は、3社間ファクタリングでは売掛先の合意を得る必要があるためです。合意に難航する場合は、資金調達までにさらに時間がかかります。
また、ファクタリングの利用を売掛先に知られるため、自社の資金繰りに不安を持たれたり、今後の取引に影響が出たりする可能性も軽視できません。3社間ファクタリングを検討する場合は、デメリットと受取金額が大きいというメリットを十分に比較しましょう。
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ファクタリングの割引料が決まるポイント
ファクタリングの割引料は、売掛先および利用者の信用力、売掛金の金額、回収までの日数、割引方式によって変動します。これらのポイントを理解することで、割引料を低く抑えることもできます。
ここでは、ファクタリングの割引料が決まるポイントについて解説します。
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ファクタリングの割引料が決まるポイント
売掛先の信用力
ファクタリングの割引料を左右する大きな要因が、売掛先の信用力です。売掛先の信用力が低いほど、ファクタリング会社の未回収リスクが大きくなるため、割引料が高くなる傾向にあります。
例えば、売掛先が次のようなケースに該当する場合は、ファクタリングの割引料が割高になる恐れがあります。
- 小規模~中規模の企業
- 複数の債権がある
- 業績・財務状況が悪い
反対に、売掛先の信用力が高い場合は、ファクタリングの割引料が相場より安くなる可能性があります。ファクタリングの割引料を抑えるには、大手企業や業績好調の売掛先を選びましょう。
利用者の信用力
2社間ファクタリングにおいては、利用者の信用力も割引料の設定に影響します。2社間ファクタリングでは、利用者が売掛先から売掛金を回収して、ファクタリング会社に支払います。
利用者の信用力が低い場合は、割引料が高めに設定される傾向にあります。それは、回収した売掛金を使い込む可能性があるとみなされるためです。
- 小規模~中規模の企業
- 複数の債権がある
- 業績・財務状況が悪い
利用者が上記に該当する場合は、割引料が高額化しやすいです。受取金額を大きくしたい場合は、2社間ファクタリングの利用は避けたほうが良いでしょう。
売掛金の金額
一般的に、売掛金の金額が高額であるほど、割引料が低くなります。その理由の1つとして、ファクタリング会社によっては、割引料の下限金額が決まっている点が挙げられます。
例えば、手数料の下限額が2万円と仮定します。売掛金20万円の場合は、割引料率を10%にしなければ下限額を満たせませんが、売掛金100万円であれば割引料率2%で下限額をクリアできます。
このように、手数料の下限額が影響するため、売掛金の金額が大きいほど割引料が安くなる傾向にあります。割引料を抑えるには、金額が大きい売掛債権を選ぶのがポイントです。
売掛金を回収できるまでの日数
売掛先からの売掛金の支払期日が長いほど、割引料が高くなる傾向にあります。売掛金を回収するまでに、売掛先が倒産したり資金がこげついたりする恐れが高く、ファクタリング会社は貸し倒れに備えて割引料を高めに設定します。
反対に、売掛金の支払期日が短い場合は、売掛先に関するリスクが少ないため、割引料が相場よりも低めに設定されることがあります。割引料を安く抑えたい場合は、支払期日までの期間が短い売掛債権を売却しましょう。
割引方式による違い
ファクタリングでは、支払方法が異なることで割引率も変動します。ファクタリングにおける「一括割引方式」と「個別割引方式」による割引料の違いを理解し、最適な方を選択しましょう。
一括割引方式
一括割引方式では、譲渡承諾日(契約成立日)または指定日に、売掛金の全額が一括で支払われます。例えば、売掛金が100万円で割引率が10%の場合は、残りの90万円が指定日にまとめて支払われます。
一括割引方式の場合は、ファクタリング会社側が事務コストを抑えられるため、割引料も低めに設定されることが多いです。つまり、利用者にも受取金額が大きいというメリットがあります。
個別割引方式
個別割引方式では、売掛金の範囲内で、「現金化する金額」「支払日」「支払回数」を利用者が自由に決定できます。例えば、100万円の売掛債権を、40万・30万・30万の3回に分けて現金化し、利用者が指定した日に支払ってもらえます。
個別割引方式は、利用者のニーズに合わせて売掛債権を現金化できるのがメリットです。現金化しない売掛債権については手数料が発生しないため、支払期日や支払回数を工夫すれば、手数料の総額を抑えることも可能です。
一方で、個別割引方式の手数料は一括割引方式よりも高い傾向にあります。また、手数料は最初の契約段階で一律で決定し、それ以降の変更はできません。
ファクタリングの割引料の仕訳
ファクタリングの割引料は経費として計上できます。割引料を経費計上する場合の仕訳は、ファクタリングの契約日と、ファクタリング会社から入金された日の2回に分けて行います。
割引料の勘定科目は「売上債権売却損」を用いるのが一般的ですが、「割引手数料」でも問題ありません。また、ファクタリングの割引料には消費税がかからないため、仕訳の際は非課税で処理しましょう。
①ファクタリングを契約した際の仕訳
借方 | 貸方 |
---|---|
未収金 90万 売掛債権売却損 10万 | 売掛金 100万 |
②ファクタリング会社に入金があった際の仕訳
借方 | 貸方 |
---|---|
現金 90万 | 未収金 90万 |
ファクタリングの割引料を抑えるための方法
融資の金利と異なり、ファクタリングの割引料には「利息制限法」が適用されないため、ファクタリング会社が自由に上限を設定できます。割引手数料をできる限り抑えるために、利用者は次のようなポイントに注意しましょう。
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ファクタリングの割引料を抑えるための方法
複数社の見積もりを取って比較検討する
複数のファクタリング会社の見積もりを取って比較検討しましょう。最初から1社に限定すると相場が判断できず、不当に高額な割引料を請求されても言いなりに支払ってしまう恐れが高いためです。
なお、相場に比べて割引料が大幅に安い業者についても、避けることが望ましいです。悪質なファクタリング会社は、割引料を極端に安く設定して、利用者を呼び寄せることがあります。
ファクタリング契約と称して融資契約などを結ぶなどのケースは少なくありません。適正な相場と比較しながらファクタリング会社を選ぶために、複数社から見積もりを取って比較することが大切です。
同じファクタリング会社と取引を重ねる
初回契約では割引料が高額でも、取引を重ねることで、割引料が安くなっていくことがあります。これは、実績を重ねるほど、ファクタリング会社の利用者に対する信用力が高まるためであり、同じファクタリング会社と契約し続けることが大切です。
なお、利用者の信用力を高めるには、ファクタリング会社への売掛金の期日を守ることが大切です。特に2社間ファクタリングでは、支払期日の厳守を意識しましょう。
ファクタリング会社と交渉する
ファクタリング会社と交渉して、割引料を下げてもらう方法があります。例えば、「手数料が○○%なら契約する」と、利用者側の希望をはっきりと伝えることが大切です。
あるいは、複数社から取った見積もりを提示して、他社の方が割引料が安いと伝える方法もあります。なお、大手のファクタリング会社は交渉に応じないことも多いです。
中小規模のファクタリング会社は、担当者の判断で融通が利きやすいため、交渉に乗ってくれることがあります。
ファクタリング会社の乗り換えを検討する
別のファクタリング会社への乗り換えを検討するのもおすすめです。他社での実績がある利用者は、優良顧客と判断されやすく、新規のファクタリング契約でも割引料が低めに設定されることがあります。
これまでファクタリングの利用実績があり、現在の契約会社との割引料に不満がある場合は、別のファクタリング会社への乗り換えを考えてみましょう。
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まとめ
ファクタリングは支払期日前の売掛債権を現金化できる資金調達法ですが、ファクタリング会社への割引料の支払いが必要です。受取金額をできる限り大きくするには、割引料を抑えるためのコツを理解しましょう。
例えば、3社間ファクタリングや一括割引方式を選択すると、割引率を抑えられる可能性が高いです。あわせて、信用力が高い売掛先や金額が大きい売掛債権、支払期日が短い売掛債権を選ぶとよいでしょう。
割引料の設定はファクタリング会社によって大きく異なるため、複数社から見積もりを取って比較し、適正な相場のファクタリング会社を選ぶことが大切です。本記事で紹介した方法を実践し、ファクタリングの割引料をできる限り抑えましょう。
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