角印と丸印の違いは?企業で知っておくべき印鑑の管理方法を解説

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  • 角印は印鑑登録を行わないため、代表者印として使うことはできない
  • 角印と丸印の違いは、印鑑の役割や法務局への登録の有無である
  • 脱ハンコの影響により、電子契約の際は印鑑の押印が不要になった

ビジネスシーンで活用する機会の多い、角印と丸印の印鑑ですが、角印と丸印の違いを把握しているでしょうか。角印と丸印では、役割や押し方まで用途が別物です。本記事では、角印と丸印の違いと企業で知っておくべき印鑑の管理方法や印鑑の電子化について解説します。

目次

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  1. 角印と丸印の違いは
  2. 角印と丸印の用途や特徴を比較
  3. 丸印の規格と作成ポイント
  4. 丸印の管理方法と紛失した際の対応
  5. 電子契約の際は押印が不要
  6. まとめ

角印と丸印の違いは

角印(かくいん)は、会社名が記された印影が四角になる印で、一般的に社印を指します。角印は、請求書や領収書など、その会社から発行された書類であることを表す際に使用します。一般でいう認印の役割を担っています。

一方の丸印(まるいん)は、印影が丸形になる印で、会社実印、または代表社員を指します。丸印は、法務局に登録し、会社印として利用できるため、契約書などの重要書類に使用されます。

また、銀行印にも丸印が使用されますが、偽造防止のため会社実印とは別に届け出します。

角印とは

角印とは、印影が四角いはんこを指し、社名が彫られているものです。角印は一般的に、企業が発行した文書である証として使用され、社印として扱われます。公共機関への届け出は特に必要がないため、公的文書や契約書などへは使用できません。

角印は、見積書・納品書・請求書・領収書に利用されるケースが多く見られますが、押す場所は会社名・住所の最後の文字に、印影の中心が重なるように押すのが理想的です。会社名の情報と重ねると、切り貼りが難しくなるため、偽造防止にもなります。

角印は法的な手続きでは使えない

一般的に角印は、法務局に印鑑登録を行わないため、会社の認め印として扱われ公的効力は持ちません。また、印影の内容も代表者名や役職名がなく会社名だけ記されており、印鑑登録の規定から外れます。

しかし、印鑑登録できる形状は問われていないため、サイズ・内容が規定に合っていれば印鑑登録は可能です。

丸印とは

丸印とは、印影が丸いはんこを指し、役職名と社名が彫られているものです。丸印は一般的に、法務局に印鑑登録を行い代表者印として扱われます。株式取引や企業間の取引契約など重要書類に使用される法的効力の高い印鑑です。

丸印は、株式取引・契約書など重要書類に利用されるケースが多く見られますが、押す場所は会社名・住所の文字に重ならないように押します。公的書類などの場合は、印鑑証明書と照らし合わせる場合、照合しやすくするためです。

角印と丸印の用途や特徴を比較

角印と丸印は、それぞれ用途や特徴が異なります。角印は社印となり、自社が発行する領収書や見積書・請求書・納品書などの認め印として使用され、丸印は代表社員となり、会社設立登記や、重大な契約・法的な手続きなどに実印として使用されます。

また、仕様内容の違いもあります。角印は1辺が20~30mm程度で内容は会社名が彫られており、印影は社名です。丸印の場合は大きさが10mm以上30mm以内という規定があり、内容は会社名・役職名もしくは代表者名が彫られており、印影は社名と役職名になります。

一般的に、実印として使用するのは丸印であり、法務局へ印鑑登録の届け出が必要です。社印として使用する角印は届け出の必要はありません。

角印(社印)丸印(代表者印)
役割認印実印
法務局への登録不要(一般的に実印としては使わない)必要(実印として使用する場合)
内容会社名会社名/役職名もしくは代表者名
印影社名社名と役職名
大きさ1辺が20-30mm程度10mm以上30mm以内と規定されている(多くは18mmまたは21mm)
用途自社が発行する領収書や見積書、請求書、納品書など会社設立登記重大な契約や法的な手続きなど

角印と丸印の押し方の違い

角印は、自社で発行する領収書・見積書・請求書・納品書などに使用しますが、押し方は会社の住所と社名の最後にやや重なるように押すのが望ましいとされています。はんこと文字を重ねることで、偽造防止になります。

一方丸印の場合は、社名や住所に重ならないように押します。公的書類や契約書など重要書類に使用されるため、印鑑証明書の添付が求められる場合があります。その際、印影を照合しやすいように、文字にかからない位置に押すのが望ましいです。

丸印の規格と作成ポイント

丸印には書体・サイズ・材質・形状などの作成ポイントがあります。それぞれのポイントについて具体的に解説します。

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丸印の規格と作成ポイント

  1. 書体
  2. サイズ
  3. 材質
  4. 形状

書体

丸印を作成する際、書体選びが大切なポイントになります。書体の規格は特に設けられていませんが、偽造や悪用防止のためにも複雑な書体を選ぶことが重要です。基本的に好みの書体が選べます。

丸印に適した書体は複数ありますが、もっともポピュラーな書体が「篆書体(てんしょたい)」です。篆書体は古来中国から伝来した歴史ある書体で、「金印」の文字にも使われています。

篆書体は複雑な書体であり、可読性が低く、印鑑の偽造防止にもなります。どの書体を選べばいいか迷った際は、篆書体を選ぶのがおすすめです。

そのほか、開運の意味が込められた「印相体(いんそうたい)」も多くの代表者印の書体に選ばれています。印相体は「吉相体(きっそうたい)」とも呼ばれ、篆書体を基に八方向に伸びる末広がりな特徴から、風水などの分野で縁起が良いとされている書体です。

サイズ

代表者印に使用できる丸印のサイズは、法務局へ印鑑登録をする場合は規定があります。サイズ規定は「大きさ10.0mm以上、30.0mm以内の正方形におさまるもの」とされています。個人の印鑑より大きくなるのが特徴です。

代表者印として、もっともポピュラーなサイズは18mmと21mmですが、ビジネスで使用する印鑑であるため、縁起を担いで大きめサイズを選ぶケースも増えています。また、銀行印として使用する丸印には、特にサイズの規定はありません。

材質

代表者印としての丸印を選ぶ際は、材質も重要なポイントになります。印鑑登録の際、材質に関しては「印鑑が、照合に適するものでなければならない」という規定があり、シャチハタやスタンプ・ゴム印では登録できません。

そのほかの印鑑に使用される材質は、長く使用できる耐久性に優れた素材がおすすめです。一般的にポピュラーな材質としては、柘や水牛系が選ばれていますが、最近はエコの観点からチタンなども人気があります。

形状

代表者印に使用できる丸印には、2種類の形状があります。キャップ(サヤ)付きで、手にフィットしやすい「天丸タイプ」と、ストレートタイプで一般的なはんこの形状である「寸胴タイプ」の2種類です。

代表者印の場合、契約の席などで見られる場面が多いため、見た目を重視した天丸タイプが多く選ばれています。天丸タイプはキャップがついているため、印面が保護され傷みにくいメリットがあります。

一方の寸銅タイプはキャップがないため、印面を保護するにはケースが必要ですが、価格が安いといったメリットがあります。

丸印の管理方法と紛失した際の対応

会社の実印である代表者印の丸印は、重要な契約や公的効力が高いため慎重な管理体制が必要です。万が一紛失してしまった際は、即時の対応が求められます。丸印の管理方法、紛失した際の対応について解説します。

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印章管理規程を作成する

会社の代表印を適切に管理・保管し、秩序ある押印を行うためには「印章管理規定」を必ず作成しましょう。丸印の紛失や盗難、偽造・悪用などさまざまなトラブルを防ぐために、印章管理規定にて、丸印に関するルールを定めておくことが重要です。

印章管理規定には、決まったひな形はありませんが、以下の項目を記載する必要があります。

  1. 印章の種類と定義
  2. 印章の保管場所
  3. 印章の管理責任者
  4. 印章の使用する範囲
  5. 印章の作成・改印・廃印について
  6. 印章を使用する際の手続き
  7. 印章の持ち出しについて
  8. 印章が紛失・盗難にあったときの対処方法

管理台帳を作成する

代表者印の丸印は、通常は代表者が保管し、押印するケースがほとんどです。しかし、規模の大きい企業では、ほかの社員が使用する場面もあるため、慎重に管理しなければなりません。

適切な押印と管理を行うには、管理台帳を作成しておくと、後々のトラブルが抑えられます。必要な記載項目は、「使用者・いつ・目的・使用した印章」と簡単な事項で構いません。使用履歴を記録することで、管理体制の厳重化が望めます。

紛失した際の対応方法

法務局に届け済の代表者印を紛失した際は、登録した印鑑の廃止と新規登録を同時に行います。改印手続きに必要なものは以下のとおりです。手続きは、会社の管轄法務局で行います。

  1. 新しい丸印
  2. 代表者個人の実印
  3. 代表者個人の印鑑証明書
  4. 改印届

以上の4点です。このほか、代理人が提出する際は、代理人の認印も準備が必要になります。

電子契約の際は押印が不要

2020年11月より、ほとんどの行政手続きでは押印が不要になりました。この脱ハンコ化に向けた取り組みは、企業でも業務効率化に繋がることから推奨されています。企業では、外部取引の際、電子契約サービスを導入することで押印廃止を進めるこが可能です。

根拠としては電子署名法により、電子契約の場合、ファイルに電子署名を付与することで、契約が成立したものと推定されると記されているためです。手続きを電子化し、セキュリティ対策を行うことで機密情報の保持や、紛失などの心配もなくなります。

参考:電子署名法の概要と認定制度について|法務省

電子契約とは

電子契約とは、紙を使用せずにインターネット上で契約を締結するための手続きです。

なお、単にPDFデータ化された契約書と異なり、電子契約では、アップロードされた契約データに電子署名を施すことで、正式な契約データとしての価値を保証します。

電子署名とは

電子署名とは、電子データの文書に対して付与される署名を指し、紙の文書ではサインや印鑑に相当するものです。電子署名を行うことで、書類内容の改ざんが行われていないことや、署名を行った者が本人であることなど、内容が正当である証明になります。

電子署名は、公開鍵暗号技術に基づいており、電子文書をハッシュ関数で圧縮し、電子文書所持者の秘密鍵を暗号化しています。秘密鍵で暗号化された電子文書は、1対1の公開鍵のみでしか複合化できないため、特定の秘密鍵によって暗号化されたものとわかります。

角印は電子化できる

脱ハンコの取り組みのひとつに、電子印鑑の活用があります。社印として使用する角印は、電子印鑑を採用することが可能です。

社印を電子印鑑にすることで、業務が効率化し、コスト削減にも繋がるといったメリットが得られます。デジタル化へ切り替えしている段階の企業にも役立つ技術です。

社印の電子印鑑は、押印に関わる業務の短縮が望めます。書類をデジタル化して管理することで、押印のために出社する必要がなく、テレワークでも有効です。また、紙ベースで行っていた書類も不要になり、紙代・インク代などの消耗品費も節約できます。

また郵送に関わる通信費も不要になります。電子契約の場合は、印紙税もかからないのがメリットです。

まとめ

ビジネスシーンで活躍している丸印と角印ですが、役割や用途がそれぞれ異なります。社員と代表印の違いや、素材や書体などを作成する際も、偽造や空くように留意しながら選ぶことが大切です。

また、最近では脱ハンコの取り組みが進んでおり、社印は電子印鑑を採用する企業も増えています。電子契約も、基本的に印鑑が不要であるため、脱ハンコの取り組みとして推奨されている契約方法です。業務効率化とコスト削減のために電子印鑑を検討してみましょう。

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