ビッグデータとは|意味・問題点・メリットを身近な例で解説

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  • ビッグデータは、インターネットの普及やテクノロジーの発展により普及した
  • ビッグデータを活用することで、高精度な検証や予測、顧客ニーズの把握ができる
  • ビッグデータの活用で成果をあげるには、分析とアクションを繰り返す必要がある

ビッグデータは、大量に蓄積されたデータのことで、ビッグデータを活用することで、リアルタイムに商品やサービスの需要を予測することができます。本記事では、ビッグデータがビジネスで必要な理由や、メリット・課題について、身近な例を紹介しながら解説します。

目次

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  1. ビッグデータとは
  2. ビッグデータが普及した背景
  3. ビッグデータとIoT・AIの関係性
  4. ビッグデータがビジネスで必要な理由
  5. ビッグデータの主な分析方法
  6. ビッグデータを活用した身近な例
  7. ビッグデータのメリット
  8. ビッグデータの課題・問題点
  9. ビッグデータで効果を出すためのポイント
  10. まとめ

ビッグデータとは

ビッグデータは、海外のデータエンジニアリング領域で誕生した概念で、膨大な量のデータを指します。ただし、何GB以上のデータならビッグデータ、といった明確な容量の基準はありません。

これまでデータの活用は、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトを使用して行われてきましたが、ビッグデータは表計算ソフトでは処理が難しいほどのデータ容量です。

分析・活用するには、データの高速処理を得意とするデータエンジニアリングツールが必要です。言い換えれば、データの分析にExcel以上のツールを要するデータが、ビッグデータと言えるかもしれません。

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総務省のビッグデータの解釈

総務省は、「平成29年版 情報通信白書」の中で、個人・企業・政府が産出するビッグデータの構成要素を大きく4つに分類しています。現在、日本では仮想空間と現実空間を高精度に融合させた次世代社会「Society5.0」の実現を目指しています。

次世代社会の実現には、4つのデータを連携して効果的な分析などへ活用することが重要です。ビッグデータの連携は、社会問題の解決や過去の膨大なデータから予測を立てるなどの活用法が産出されることが期待されています。

参考:平成29年版 情報通信白書|ビッグデータの定義及び範囲 | 総務省

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オープンデータ

オープンデータは政府が主体となって生成しうるデータであり、公開された情報を指します。主に、国や地方自治体が公開し、そのデータ分野は多方面にわたります。個人や民間企業では調査が難しい公共データを、誰であっても活用できるのが特徴です。

膨大に累積したオープンデータの活用で、経済や地方自治体の活性化などを目的とした施策が展開されます。それにより、絶えず新しいサービスや価値が創出されています。

オープンデータは、誰でも無償で活用や収集ができる・誰でも簡単に利用できる・誰でも手軽に二次利用ができる、の3つが特徴です。

知のデジタル化

企業が主体となって生成しうるデータであり、ノウハウをデジタル化・構造化したものを指します。具体的には、農業・インフラ管理・ビジネスなどの産業や企業が所有するパーソナルデータ以外のデータのことです。

「勘」「知識」「経験」といった暗黙知(ノウハウ)をデジタル化することで、次の世代にもわかりやすく、スムーズに引き継いでいくことを目的としています。

M2Mデータ

こちらも企業が主体となって生成しうるデータです。M2Mは、Machine to Machineの略であり、自動運転車のセンサーや産業用ロボットなど、企業の製品やサービスから収集できるデータをM2Mデータと呼んでいます。

M2Mデータはトラブルなどが発生した場合などに、解決策を考えるのに参考にされたり、事前にトラブル発生を予測して防衛策を立てたりするのに活用されています。上記の「知のデジタル化」「M2Mデータ」は合わせて「産業データ」とも呼ばれます。

パーソナルデータ

パーソナルデータとは、個人識別ができるかどうかに関わらず、個人に関しての情報全体を指します。似た言葉に個人情報がありますが、パーソナルデータはあまり馴染みのない言葉かもしれません。

パーソナルデータとして、個人の位置情報・商品の購買履歴・スマートフォンのIPアドレス・インターネットの閲覧履歴などが挙げられます。

これらの情報は、直接個人に結び付けられないようにアレンジされており、個人情報とは言えません。言い換えれば、パーソナルデータとは、個人情報を内包した広い概念を表す言葉だと言えます。

ビッグデータの特徴

ビッグデータの特徴は、3つのVで表現できます。ここでは、3つの「V」について、解説します。一つ目はVolume(容量)です。データ容量が膨大で、最大で数PByteの容量が必要です。従来の技術では対応できず、コンピュータ機能の向上により対応が可能になりました。

二つ目は、Variety(種類)で、テキスト・画像・動画音声などは言うまでもなく、ログファイルや位置情報など広範囲な情報が存在します。

そして三つ目が、Velocity(頻度・スピード)です。データは、リアルタイムで収集・蓄積・分析する必要があります。ビッグデータとしてビジネスに活用するためには、そのスピード対応が要求されます。

2種類のビッグデータ

データはさまざまな形式で存在し、それぞれの異なる特性に合わせた操作が要求されます。特に、構造化データと非構造化データに関しては、データ分類において重要な範疇となっています。

データ解析やビジネスの意思決定に関して、正確で実用的な情報を得るためには、構造化データと非構造化データの特性を認識し、それぞれのメリットや課題を把握することが重要です。

構造化データ

構造化データとは、データに対して事前の定義づけが行われ、すぐに利用できる特定の形式で整えられたデータを指します。

構造化データは、企業や組織にとって重要な情報源です。具体的には、顧客の購買履歴・デモグラフィック情報・在庫管理・販売データなど、ビジネスにおけるさまざまな分野での利用が可能です。

例えば、構造化データ分析により、企業は顧客の嗜好や需要予測を調査し、適切なマーケティング作戦を考えることができます。また、商品の品質管理や在庫管理においても、生産ラインや在庫の最適化が可能になります。

非構造化データ

非構造化データとは、データとして作成されたときから特別な加工や処理が施されていないデータを指します。例えば、SNSの投稿などありふれたものなどから作成されています。

非構造データは、インターネット上に膨大に存在するため、誰もが簡単に入手できます。例えば、デジカメやスマホなどで撮影された写真や、紙の書類をスキャンした画像などのデータも含まれます。

インターネット上で最も多く浸透しているのがテキストデータで、脚本や小説などからSNSの投稿、現在読んでいる記事などもこれに相当します。

ビッグデータが普及した背景

ビッグデータは、政府や公的機関だけでなく民間企業からも注目されていますが、その背景にはIT機器の進歩やネットワークの拡大が影響しています。

特に、2000年代初期からのインターネットの急成長で、多くのWebサービスやデジタルデバイス上で稼働するアプリケーションが登場しました。

その後、政府による指針を始めとして、経済や社会でのビッグデータ活用が注目されるようになった経緯があります。ここでは、最近のビッグデータが普及した背景を詳しく解説します。

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データ量が爆発的に増えた

ビッグデータの急成長には、FacebookやX(旧Twitter)に代表されるSNSから発信されるデータ量の加速度的な増加が影響しています。

インターネットやモバイル製品の普及を背景に、SNSは身近なツールになっています。例えば、2015年時点でFacebookユーザーの「いいね」数は1分あたり410万個、X(旧Twitter)アクティブユーザーが発する「つぶやき」は1分あたり35万個と言われています。

さらに、各種SNSのユーザー数やコンテンツ投稿数はますます増加傾向にあり、X(旧Twitter)アクティブユーザー数は日本だけでも2021年度末で2億1700万人と、SNSを通じて収集されるビッグデータは世界的に膨大な量となっています。

テクノロジーが発展した

データの採集・蓄積・分析を行うための技術の進歩も、ビッグデータの普及につながった要因です。

また、企業がビッグデータを活用するうえでの土台としては、インターネットやIoTの進歩・クラウドサービスの普及・データ分散管理の技術確立・ビッグデータを活用したツールの発達など、技術の進歩が挙げられます。

これらの技術の進歩が、ビッグデータの採集・蓄積・分析に伴う技術的・金銭的な課題の軽減にもつながっています。つまり、ビッグデータ活用のための技術確立が、ビジネスにビッグデータを有効利用するトレンドを拡大させたと言えます。

ビッグデータとIoT・AIの関係性

ビッグデータと密接な関わりがあるとされるものの中に、IoTとAIがあります。ここでは、ビッグデータとそれぞれの関係性を解説します。

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ビッグデータとIoTの関係性

IoT(Internet of Things)とは、「モノのインターネット」とも呼ばれる技術で、さまざまなモノやデバイスをインターネットに接続し、データの収集や処理を行うことを指します。

近年、IoTはスマート家電やウェアラブルデバイス、車の自動運転など多くのシーンで活用されており、暮らしにかかわる大量のデータをリアルタイムで取得できるようになりました。

IoT技術によって収集・蓄積された情報はビッグデータとして、サービス向上や売り上げアップのためのマーケティング活動に利用されています。

ビッグデータとAIの関係性

IoTが収集したビッグデータを活用するためには、データの分析や取捨選択を行なわなければなりません。その役割を担うのがAI技術です。AIを利用することで、ビッグデータの中から有用なデータを取り出し、正確な分析も行なうことができます。

また、IoTとAIを組み合わせれば、IoTが収集したビッグデータによってAIが学習を深め、新たなAIモデルを誕生させるというサイクルも実現可能です。このように、ビッグデータ・IoT・AIは相互に補完し合い、相乗効果を生み出す関係性と言えます。

ビッグデータがビジネスで必要な理由

総務省の「情報通信白書(平成24年版)」において、ビッグデータの重要性を訴求したことで知名度が上がるようになりました。

また、「情報通信白書(平成29年版)」では、データ活用に関する法整備・IoT・AIなど、技術の普及に伴い、ビッグデータが効率的に採集・共有できる環境が実現される傾向にあることが記載されています。

ビッグデータの活用で、膨大な過去の実績データを基に傾向を分析し、高精度の予測ができます。例えば、企業が商品やサービスの需要予測を行えば、在庫や生産数の適切な管理ができて、無駄なコストの削減や業務効率化が図れます。

参考:情報通信白書(平成24年版)|総務省

ビッグデータの主な分析方法

ビッグデータ解析で、今までは見出せなかった新しいメリットを獲得するには、目的に合った分析方法の選択が必要です。ここでは、ビッグデータのデータ分析方法に関する主な特徴を把握しておきましょう。

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クロス分析

クロス分析は、データを属性ごとに分類し、その属性の傾向を把握する分析手法を指します。例えば、マーケティングにおいては顧客を居住地・年齢・性別などの属性によって分類し、それぞれのニーズを把握するのに用いられます。

複雑な計算が不要なため、ビッグデータの分析手法の中でも比較的扱いやすい手法と言えます。一目でデータの意味を把握しやすいため、プレゼンでの活用も珍しくありません。

クロス分析は、マーケティング以外にも、アンケート集計・世論調査など多岐にわたる方面で用いられています。

ロジスティック回帰分析

ロジスティック回帰分析は、膨大なデータから異なるデータの関係性を比較・分析する集計方法を指します。例えば、マーケティング部門が今後の戦略を練るために問い合わせ数・広告宣伝費データの関連性を分析するといった手法です。

これにより、問い合わせ客1人あたりの広告宣伝費を算出できます。問い合わせ客が増加した原因が、広告の効果なのか、口コミの効果なのか、といった内容が具体的に分かるため、ブランド化や商品開発を目的に分析を行う企業が主に用いる手法です。

アソシエーション分析

各データの関係性は、人間が一目見た限りでは分からないことがあります。それを明確にする分析手法がアソシエーション分析で、マーケットバスケット分析とも言われます。

例えば、「商品Aは商品Bと同時に購入されやすい」といった関係性を簡単に発見できます。これにより、店舗で商品Aと商品Bを一緒に陳列するなどの施策を講じられます。

また、電子商取引でよく見られる「この商品を買った人はこちらの商品もチェックしています」といったおすすめもアソシエーション分析を利用しています。

クラスター分析

クラスターは「集団」という意味で、クラスター分析とはデータを分類し、その集団ごとの特徴を分析する手法を指します。

クロス分析では、年齢や性別といった明確な属性によってデータを分類しますが、クラスター分析では類似性によってグループ分けが行われます。その後、グループそれぞれの特性を分析し、マーケティング施策やブランド化などに活用します。

例えば、顧客のアンケート結果や購買履歴に基づいて、「流行への関心が強い」「高級志向」に分類したと仮定します。この場合、前者には新商品情報を提供するメルマガ、後者には高級商品情報を紹介するメルマガを配信するといった施策が講じられます。

決定木分析

決定木分析は、データをツリー構造に分類する手法の一つで、主にデータ分類に活用されます。データを分類するためのルールを学ぶことで、新しいデータ分類ができます。決定木は、分析結果が分かりやすく可視化しやすいのが特徴です。

例としては、医療診断・商品分類・金融の信用リスク分析などが挙げられます。決定木分析の実行により、ある条件下でどういった結果が発生するかの予測が可能なため、分析結果がビジネスの意思決定に役立てられます。

また、複数の決定木を作成してランダムフォレストを構築することで、より高い精度の予測モデルの構築も可能です。

主成分分析

主成分分析は、主にマーケットリサーチに役立ちます。複数の量的な変数を、より少ない合成変数(主成分)にまとめてデータを簡単に把握できる手法です。

例えば、商品の感想に対する5段階評価の質問を3個設けて、この評価の合計点数を「総合評価」といった主成分にまとめます。この総合評価の点数で、商品ランキング・他社商品とのポジショニングマップの作成など、消費者の傾向を検索できます。

ビッグデータを活用した身近な例

ビッグデータは、飲食業界・小売業界・農業業界・スポーツ業界など、さまざまな業界において活用が可能です。得られたデータを基に今後を予測し、効果的な営業活動が図れます。ビッグデータの活用によって期待される身近な例をいくつか解説しましょう。

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天気予報・災害情報

気象観測では、地上・上空・海洋などのさまざまなロケーションで膨大な気象データの収集が行われています。これらのデータを収集して数値予報を行うことで、天気予報や防災気象情報としての発信が可能です。

気象データを取り扱うスーパーコンピュータは、5~8年ごとにリニューアルされ、そのたびにデータ量は大幅に増加し、より高精度の予報が行われるようになっています。

GPS機能による位置情報

GPS機能による位置情報のビッグデータを活用する業界の1つが、観光業界です。スマートフォン・タブレットなどの普及やSNS利用者の増加で、位置情報や投稿内容をデータとして記録できるため、観光客の行動形態の分析が可能です。

例えば、スマートフォンのアプリを活用して、観光客の混雑する時間帯や高い人気があるショップを把握し、観光客の構成(家族連れ・カップル・友人同士)を認識することで、町づくりや観光客向けサービスの展開、広報活動などに活用されています。

SNS広告

SNSではアカウント登録時に、年齢・性別・学歴・趣味などの個人情報が求められます。そのため、SNS上の投稿履歴(いいね・シェア・動画再生など)をもとに、狙いを絞ったアプローチが可能です。

例えば、30代女性でダイエットに興味を持つ方に対して、購入が期待できるダイエット食品の広告を表示する、などです。SNS広告の活用で、ターゲットに適切な広告を表示できるため、商品の認知度向上に結びつきます。

医療情報システム

医療分野においては、これまでの診察や治療などのデータや論文を世界中から収集したビッグデータの活用で、病気の予測や早期発見が期待できます。ビッグデータの分析で、類似した症状の患者が受診してきた場合、診断結果の精度が向上します。

これにより、早期治療が必要な病気や未知の病気の適切な処置が可能となり、一人でも多くの命を助けられるようになるでしょう。また、ビッグデータとAI画像分析技術の組み合わせでレントゲンやMRIなどの画像診断の精度も向上し、より精度の高い医療が受けられます。

購入履歴

ビッグデータは、オンラインショッピングサイトを利用している顧客に対して、過去の購入履歴・閲覧履歴・クリック履歴などを参考にして、顧客一人ひとりの嗜好に合わせたおすすめ商品の提案が可能です。

レコメンドにビッグデータを運用している例として、ECサイトがあります。ECサイトではデータベースシステムを構築し、会員の属性・利用履歴・ポイント活用状況などの蓄積されたデータ分析結果を参考に広告配信を行うことで、クリック率や購買率が向上しています。

Google検索

ビッグデータを運用した分析は、ビジネスなど多種多様な業種に改革を及ぼすと言われています。その理由は、利用可能な情報が増え、これまで実現できなかった複雑な分析が可能になり、新たに信頼度の高い回答を発見することが容易になったからです。

例えば、Googleは、利用者がインターネットで検索した情報を蓄積・分析することで、利用者の興味・関心に合った広告を表示できます。蓄積する情報が多ければ多いほど明確な分析が行えます。

Googleは、1日に24PB(ペタバイト)以上のデータ量を処理していると言われています。これは、米国議会図書館に所蔵されている全印刷物の何千倍もの情報量と同じデータ量です。

ビッグデータのメリット

ビッグデータの活用分野は、インターネット検索・金融分野・健康管理・位置情報システム・気象分野・ゲノム分野など、ビジネスから科学の分野にまで拡大しています。いずれも、膨大なデータ量を扱う必要性がある分野です。

ここでは、三つの例を紹介しながら、ビッグデータの期待できるメリットについて解説します。

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データに基づいて意思決定ができる

ビッグデータを活用することで、正確なデータ分析に基づく意思決定が可能です。AIとビッグデータの共用活用で、人が行うよりも正確で効率的な分析が行えます。

現在の企業が保有するデータ量は非常に膨大で、人がすべてを分析するのは、そもそも不可能です。とは言っても、データを活用せず経験や勘だけに頼るには、今日のビジネス状況は非常に複雑で、先行きが見通せない存在となっています。

この点で、コンピューター独特の情報処理能力をもつAIの活用で、ビッグデータからスピーディーに有用なデータの抽出が可能となり、迅速でデータドリブンな意思決定が実現できます。

顧客のニーズを正確に把握できる

現在の技術進歩により、ビッグデータをリアルタイムで処理し、可視化が実現できる状況になりました。これにより、企業は顧客が今求めているのは何かを敏感に察知し、素早くそのニーズに対応ができます。

場合によっては、顧客自身もまだ気が付いていないといった潜在的ニーズを発見し、新たな商品・サービスの開発に関連させて、市場に新たな価値を提供できる可能性もあるでしょう。

以上の事柄から、ビッグデータは新たな価値を生み出すための土台を作るため、DX(デジタルトランスフォーメーション)においても重要な役割を果たすものと考えられます。

高精度な検証・予測をすることができる

ビッグデータの活用で、高精度な検証・予測の分析が行えます。例えば、特定商品の販売データを分析し、いつ頃・どの程度のペースで購入されたかなどを把握すれば、今後の販売ペースについてもある程度の見通しが立てられます。

これにより、在庫数の調整をしたり、需要が増えるシーズンにキャンペーンを行ったりするなど、時機に対応した施策も講じやすくなります。統計に基づいたこのような予測分析は、参考になるデータが多ければ多いほど精度が高まります。

ビッグデータの課題・問題点

ビッグデータの活用は、最近になって飛躍的に進展しました。その一方で、将来に備えての課題・問題点も多く残されています。ここでは、そのようなビッグデータの課題・問題点を4つに分けて詳しく解説します。

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プライバシーに関わること

IoT機器を使用してユーザーデータを収集する場合、ユーザーのプライバシーにも配慮する必要があります。個人情報や機密情報などのデリケートな情報は、適正な取り扱いが重要です。

特に、欧米諸国においてプライバシー問題は重要視されており、2018年にはEU内における個人データ保護についての法律「GDPR(General Data Protection Regulation)」も施行され、日本企業にとっても無視できない存在となっています。

個々のデータには関連性がなくても、複数データの組み合わせで個人を特定できるデータになる可能性があるため、プライバシーの課題はビッグデータを活用するうえで、特に注意する必要があります。

ビッグデータに関するスキル

ビッグデータを活用する際、課題の一つに、スキルを身につけた人材の不足が挙げられます。企業がビッグデータを効率良く活用するためには、データエンジニアリング・データサイエンス・機械学習・データの収集方法・ビジネス知識などの高度なスキルが必須です。

しかし、これらのスキルを身につけた人材は限定されており、企業が必要とする人材の確保が困難な場合があります。また、データ分析や機械学習に必要なツールや技術は絶えずアップデートされており、スキルを身につけた人材を継続的に教育する必要があります。

このような難題に取り組むためには、ビッグデータに精通した企業の支援を受けるのが近道です。

効果を得るのに時間を要する場合がある

ビッグデータは、取得・保存するだけではなく活用してこそ、価値があるものです。データを活用できる環境を整備することが必要ですが、有意義な形で分析ができるようにデータを整理するには、かなりの作業と時間が必要になるでしょう。

一般的に、データが使える前の準備と整備に、AI分析にかかる工程の約70%を費やしていると言われています。

保守管理・運営コストについて

ビッグデータの活用には、管理や維持にかかるコストが発生します。また、導入にも多額の費用が必要です。導入時には、膨大な情報を保存できるシステムを構築する必要があり、ツールの導入だけでも多額のコストがかかります。

また、運用時や保守管理においてもバグの修正、必要であれば分析手法の改善などにより、コストがかかります。クラウドの活用で導入コストを抑えられますが、それでも多くのリソースを活用するため、多額の保守費用がかかります。

ビッグデータで効果を出すためのポイント

さまざまなサービスや商品が豊富な現在では、従来の経験や勘に頼ったマーケティング手法では成果を出すのが困難な状況になっています。そのため、持続的な成長の実現に向け、より高精度の判断材料が得られるビッグデータの活用を推進する企業が増えています。

ここでは、ビッグデータを効率良く活用し、成果を出すための重要なポイントを3つ紹介します。

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活用目的を明確にする

ビッグデータを収集し分析を行って、売上を向上させるといった曖昧な目標を決めるだけでは不充分です。これでは、どういったデータが必要で、どのように分析すれば良いのかが分からなくなります。

現状で背負い込んでいる課題は何か、その課題にビッグデータの活用が可能かなど、もう一歩踏み込んで、目的を明確にすることが重要です。収集された膨大なデータの分析途中に、目的が曖昧になったといった例も少なくありません。

ビッグデータの分析結果から何を得たいのか明確にするためにも、ゴールである目的を決めておきましょう

長期的視点をもって取り組む

ビッグデータは、収集・入手しただけでは無意味に終わります。また、分析して、そこで終わりにしてしまうと効果はありません。重要なのは、分析結果を踏まえて、どういった行動を取るべきかです。

場合によっては、効果が得られないこともあるでしょう。そうするとまた別角度から分析結果を踏まえ、改めて実行に移す必要があります。こういった試行錯誤を重ねて有効なアクションに到達することで、はじめてビッグデータの活用効果が現れます。

これにより、ビッグデータを活用するためには、長期的な活動であることを踏まえ、すぐに効果が得られないといった理由で中断しないことが大切です。

自社に合ったサポート企業を選定する

ビッグデータ活用における重要ポイントは、自社に合ったパートナー企業と協力することです。AIやビッグデータを活用するために必要な人材が不足していることはすでに上述した通りですが、これを乗り越えるためには社外の専門家に協力を仰ぐのが近道です。

また、AIやビッグデータに精通した専門企業と協力して連携すれば、ビッグデータを有効活用できないといった事態も回避しやすくなります。

まとめ

この記事では、ビッグデータについて解説しました。総務省の「情報通信白書」の中で、ビッグデータの必要性を訴求したことで知名度が上がりました。企業ではビッグデータの活用で、コスト削減や顧客数の拡大といった現状課題を解決する糸口につながっています。

ビッグデータは、多様なデータの分析により、今まで把握できなかった消費者行動心理を理解したり、注力すべき商品を特定したりして、データに基づいた意思決定・顧客のニーズの正確な把握・高精度な検証・予測などのメリットが生まれます

企業に好影響をもたらすビッグデータは、今後もさまざまなデータの組み合わせで、新しい事業を産出する可能性が期待されます。企業だけでなく、環境問題などの社会的な問題の解決手段としても、ビッグデータの活用は進んでいくでしょう。

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