法人の印鑑証明はコンビニで取得できる?取得方法や注意点を解説

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  • 印鑑証明書とは、会社での重要な取引や会社名義で契約を行う際に必要なものである
  • 法人の印鑑証明書の取得方法には、法務局の窓口や郵送、オンラインでの申請がある
  • 個人の印鑑証明はコンビニで取得できるが、法人の印鑑証明はコンビニで取得できない

会社で重要な取引をする際には、会社の印鑑証明書が必要です。印鑑証明書を取得する際は、印鑑登録の手続きと印鑑カードの取得を行わなければなりません。本記事では、これから起業を考えている方のために、印鑑証明書の取り方やコンビニでも取得できるかなどを解説しています。

目次

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  1. 法人で印鑑証明書を取得する手順
  2. 法人で印鑑証明書を取得する場所・方法
  3. 印鑑や印鑑カードを紛失した際の対応
  4. まとめ

法人で印鑑証明書を取得する手順

法人名義での契約締結や口座開設には、法人用の印鑑が必要となります。さらに、その印鑑が本物であることを示すために法人印鑑証明書の提出も求められます。

法人印鑑証明書は起業の際の法人登記登録など、さまざまな場面で必要となる書類です。提出を求められた際にスムーズに対応できるよう、法人印鑑証明書の取得方法を理解しておきましょう。

まずは印鑑登録が必要

法人印鑑証明書を取得するには、まず証明書の対象となる法人の印鑑登録が必要です。法人の印鑑とは、法人の代表者印を指します。

法人の印鑑は一般的には丸印で、印鑑の外側に企業名、内側に「代表取締役印」という文字が彫られています。法人印鑑は企業の登記登録や口座開設に必要になるほか、各種契約書・株主総会議事録にも使用されます。

印鑑の登録は法人だけでなく個人でも行います。ただし個人の印鑑登録は自治体の役場で行うのに対し、法人の印鑑登録は法務局(事業所を管轄する登記所)で行います。

印鑑登録の方法

法人の印鑑登録は、印鑑届書を法務局の窓口に提出すれば完了です。印鑑届書を提出する際は、次の2つを用意する必要があります。なお、実印は一辺が1㎝〜3㎝の正方形に収まるものと規定されているため注意が必要です。

  1. 代表取締役個人の実印を押した印鑑届書
  2. 上記実印の印鑑証明書(3か月以内に取得したもの)

法人で印鑑証明書を取得する場所・方法

法人の印鑑証明書が取得できるのは、法務局の窓口・郵送・オンライン申請です。それぞれ取得手順や受付時間が異なるため、あらかじめ内容を理解しておきましょう。

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法人で印鑑証明書を取得する場所・方法

  1. 法務局の窓口
  2. 郵送
  3. オンライン申請

法務局の窓口

法人の印鑑証明書の最も一般的な取得方法が、法務局の窓口での取得です。事業所の所在地を管轄する法務局(登記所)の窓口で、取得を申請しましょう。管轄の法務局が分からない場合は、法務局のHPから確認できます。

法務局の窓口の受付時間は平日の9時から17時までです。職員の働き方改革推進のため、令和6年1月4日より、対応時間が変更となっています。

なお、業務は令和6年1月4日以前と同様に8時30分から17時15分まで行っており、窓口対応時間外の窓口での申請等を一切受け付けないものではありません。しかしながら、可能な限り時間内での窓口利用が推奨されているため、注意が必要です。

それでは、法務局の窓口での申請手順をご紹介します。

参考:法務局の窓口対応時間について|法務局

窓口の申請に必要なもの

法務局の窓口で申請する場合に必要なものは、次の3点です。

  1. 印鑑登録証明書交付申請書
  2. 印鑑カード
  3. 申請手数料

印鑑登録証明書交付申請書は法務局に備え付けてあるものを利用するか、法務局のHPから取得できるため、取得して必要事項を記入しましょう。申請手数料は450円で、収入印紙または登記印紙として印鑑登録証明書交付申請書に貼付してください。

印鑑カードとは、法人の印鑑証明書の発行に必ず必要となるカードです。印鑑カードの所持者と会社の実印を提出した人が、同一人物であることを証明する役割があります。法務局へ印鑑カード交付申請書を提出すれば取得できるため、申請・取得しておきましょう。

印鑑カードは、新規会社の登記登録で、代表者印鑑を登録する際に発行しておくことが一般的です。なお、印鑑カードの申請には法人の実印・登記時の会社法人等番号が必要となります。

参考:印鑑証明書交付申請書|法務局

参考:印鑑カード交付申請書|法務局

参考:登記手数料について|法務省

取得方法

法務局で法人の印鑑証明書を取得するには、必要事項を記入した印鑑登録証明書交付申請書に450円の収入印紙と印鑑カードを添えて窓口に提出してください。申請内容に問題がなければ、交付窓口で印鑑証明書が発行されます。

法務局によっては証明書発行請求機を設置しているところもあります。証明書発行請求機が設置されている場合は、印鑑登録証明書交付申請書の作成は不要で、かわりに請求機を操作して申請が可能です。

その際、印鑑カードを差し込み、必要事項(印鑑提出者の生年月日)をシステムに入力してください。入力内容に問題がなければ受付は自動で完了します。その後、交付窓口で収入印紙の手数料を支払えば、印鑑証明書が交付されます。

印鑑登録証明書交付申請書の書き方

印鑑登録証明書交付申請書には次のような項目を記入します。

  1. 会社名・商号
  2. 会社の住所
  3. 印鑑提出者の資格・氏名・生年月日
  4. 印鑑カード番号
  5. 請求通数
  6. 申請人(印鑑提出者本人or代理人)

代理人が申請に来ている場合は、代理人の氏名・住所の記入も必要です。委任状は必要ありません。

法務局の窓口で印鑑証明書を取得するメリットは、疑問点をその場ですぐ質問・解決できる点です。法人の印鑑証明書の申請・取得に不安がある場合は、法務局の窓口に足を運ぶのが一番良い方法でしょう。

参考:印鑑証明書交付申請書|法務局

郵送

法人の印鑑証明書は、法務局に必要書類を郵送することでも取得できます。郵送での印鑑証明書の取得のメリットは、法務局窓口に直接足を運ばなくて良い点です。

ただし、郵送での印鑑証明書の取得は、窓口に直接出向くよりも時間がかかります。書類の発送自体はいつでも可能ですが、書類を法務局がチェックするのは、原則として窓口が開いている平日9時から17時(業務時間は8時30分から17時15分)であるためです。

たとえば土日を挟む場合などは、証明書の交付までに時間がかかります。郵送で印鑑証明書を取得する場合は、時間に余裕をもって行うことが望ましいでしょう。

参考:法務局の窓口対応時間について|法務局

郵送での申請に必要なもの

郵送で印鑑証明書を申請する場合、次のようなものを準備してください。

  1. 印鑑登録証明書交付申請書
  2. 印鑑カード
  3. 申請手数料(収入印紙)
  4. 返送用の封筒
  5. 返送用の切手

基本的には、法務局窓口での申請と同様の書類が必要です。加えて郵送申請の場合は、交付された証明書を返送してもらうための封筒・切手を同封する必要があります。

印鑑登録証明書交付申請書は法務局のHPからダウンロード可能です。印刷はB5またはA4サイズで行ってください。

参考:印鑑証明書交付申請書|法務局

取得方法

郵送で法人の印鑑証明書を取得するには、必要事項を記入した印鑑登録証明書交付申請書に450円の収入印紙と印鑑カードを添えて発送する必要があります。申請内容に問題がなければ、同封した返送用封筒で印鑑証明書が返送されてきます。

郵送の場合は郵便物の紛失などの事態に備えて、配達追跡サービスがある郵送方法が望ましいでしょう。

オンライン申請

法人の印鑑証明書はオンラインでも申請可能です。法人の印鑑証明書のオンライン申請には、次の3つの方法があります。

  1. 申請用総合ソフトを利用
  2. マイナンバーカードを利用
  3. 民営会社運営のオンラインサービスを利用

最も一般的なのは、法務局が提供している申請用総合ソフトを利用する方法です。今回はこのオンライン申請の方法をご紹介します。

オンライン申請は、郵送と同じく法務局に足を運ぶ必要がないため、効率的に印鑑証明書を取得できます。ただし、オンライン申請は郵送での申請と同じく、申請から証明書の交付までに一定の時間がかかります。

また、オンラインでの申請の場合、交付された印鑑証明書の受け取り方法が2種類ある点にも留意してください。

1つ目の方法は、郵送で印鑑証明書を返送してもらう方法です。印鑑証明書は指定した住所(事業所など)に直接返送されますが、郵送の時間がかかることを認識しておきましょう。

2つ目の方法は、法務局か法務局証明サービスセンターの窓口で受け取る方法です。あらかじめ受け取り場所を指定しておき、証明書の発行後に窓口に足を運ぶ必要があります。窓口開設時間は、場所により異なる場合があるため、事前に確認しておくのがおすすめです。

なお、申請用総合ソフトでのオンライン申請にも受付可能時間があります。事前によく確認した上で、申請は時間内に行いましょう。

  • 法務局:平日9時から17時(業務時間は8時30分から17時15分)
  • 法務局証明サービスセンターの窓口:平日9時から16時30分
  • 申請用総合ソフトオンライン受付時間:平日8時30分から17時

申請用総合ソフトでのオンライン申請自体も、受付は平日8時30分から21時となっています。申請は時間内に行いましょう。

参考:会社・法人代表者の印鑑証明書を取得したい方|法務局

参考:法務局の窓口対応時間について|法務局

参考:オンラインによる登記事項証明書及び印鑑証明書の交付請求について|法務省

オンラインでの申請に必要なもの

オンライン申請では次のようなものが必要です。

  1. インターネット環境
  2. 申請手数料(郵送:410円/窓口受取:390円)
  3. 印鑑カード

具体的な取得の流れは次項でご紹介します。

取得方法

申請用総合ソフトでのオンライン申請の手順は次の通りです。

  1. 「登記ねっと」または「供託ねっと」から申請用総合ソフトのインストール
  2. 申請者情報の登録
  3. 電子証明書(電子署名用)の取得
  4. 申請用総合ソフトにログインし、請求書様式に必要事項を入力
  5. 4に電子署名を付与
  6. 請求データの送信
  7. 申請手数料の電子納付(インターネットバンキングorモバイルバンキングor電子納付対応のATM)

法務局や法務局証明サービスセンターでの交付の場合、窓口で印鑑カードの提出を求められます。あわせて、データを申請した後に表示される画面を印字し、必要事項(受取人情報・請求通数)を記入して提出する必要があります。忘れずに持参しましょう。

印鑑や印鑑カードを紛失した際の対応

印鑑は各種契約に必要なものであり、厳重に保管する必要があります。同じく印鑑カードも慎重に管理しましょう。

しかし時には、印鑑や印鑑カードを紛失する場合もあります。万が一の場合にも速やかに対応できるよう、紛失の手続きについてもあらかじめ理解しておきましょう

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印鑑・印鑑カードのどちらも紛失した場合

印鑑と印鑑カードの両方を紛失した場合、新しい印鑑をすぐに用意できるかできないかで対応が異なります。新しい印鑑をすぐに用意できる場合には、印鑑変更の届出と印鑑カード廃止の届出、新たな印鑑カード交付の請求を同時に行うことが可能です。

その際、以下の4点の書類を本店所在地を管轄している登記所に提出する必要があります。また、改印届書と印鑑・印鑑カード廃止届書には、印鑑を提出する代表者個人の印鑑による押印が必要です。

  1. 改印届書
  2. 印鑑・印鑑カード廃止届書
  3. 印鑑カード交付申請書
  4. 代表者個人の印鑑証明書(3か月以内に取得したもの)

各書類の書式は法務局窓口で取得できる他、法務局のHPからダウンロード・印字が可能です。必要事項を記入して、法務局の窓口に提出しましょう。

もし、新しい印鑑をすぐに用意できない場合には、印鑑廃止の届出と印鑑カード廃止の届出を行うことが可能です。その後、新たな印鑑が用意でき次第、改めて印鑑の登録や印鑑カードの交付申請を行う必要があります。

印鑑のみを紛失した場合

印鑑のみを紛失した場合も、新しい印鑑をすぐに用意できるかできないかで対応が異なります。新しい印鑑をすぐに用意できる場合には、当該印鑑の変更の届出を行うことが可能です。

その際、以下の2点の書類を本店所在地を管轄している登記所に提出する必要があります。また、改印届書には、印鑑を提出する代表者個人の印鑑による押印が必要です。

なお、印鑑のみを紛失した場合、既存の印鑑カードはそのまま利用し続けられます。改印届の「印鑑カードを引き継ぐ」欄にチェックをし、印鑑カードの番号を記入してください。

  1. 改印届書
  2. 代表者個人の印鑑証明書(3か月以内に取得したもの)

新しい印鑑をすぐに用意できない場合には、印鑑廃止の届出が必要です。その際、印鑑カードの交付を受けていれば、同時に印鑑カード廃止の届出も行わなければなりません。印鑑・印鑑カード廃止届書と代表者個人の印鑑証明書を登記所に提出してください。

印鑑カードのみを紛失した場合

印鑑カードのみを紛失した場合は、紛失した印鑑カードの廃止届と、新しい印鑑カードの交付請求を同時に行うのが一般的です。以下の2点の書類に、登記所に提出した法人の印鑑を押印して、店所在地を管轄している登記所に提出する必要があります。

  1. 印鑑カード廃止届書
  2. 印鑑カード交付申請書

まとめ

法人の印鑑で各種契約を締結する場合、法人の印鑑証明書を求められる場合もあります。法人の印鑑証明書は個人用と異なり、コンビニでは発行できません。

法人の印鑑証明書は法務局の窓口・郵送・オンライン申請といった方法でしか取得できないため、あらかじめ余裕のあるときに発行しておくのが良いでしょう。

法人の印鑑証明書の申請方法は、法務局の窓口・郵送・オンラインで異なります。いずれの場合も印鑑カードが必要となるため、法人の印鑑証明書の発行に先駆けて取得しておくことが望ましいです。

法人の印鑑や印鑑カードを紛失した際は、法務局で印鑑の廃止手続きや改印手続きが必要です。印鑑・印鑑カードは紛失しないのが理想的ですが、万が一の場合はスムーズに対応できるようにしておきましょう。

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