履歴事項全部証明書の取得は誰でも可能|取得方法と必要なシーン解説
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- 履歴事項全部証明書は、誰でも取得・閲覧が可能で取得方法は主に3つである
- 履歴事項全部証明書は法務局の窓口や郵送、オンラインの申請で取得可能である
- 会社名義の各種契約や補助金を受ける際に、履歴事項全部証明書が必要になる
会社や法人を設立すると履歴事項全部証明書(登記簿謄本)に情報が記載されます。履歴事項全部証明書は、誰でも取得・閲覧が可能であり、さまざまな手続きで必要になる場合があります。本記事では、履歴事項全部証明書の取得方法を解説します。
目次
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履歴事項全部証明書は誰でも取得できる
履歴事項全部証明書は、法務局に登録された会社情報の履歴を証明する書類です。登記内容や変更履歴を含み、取引先や金融機関への提出や公的機関への申請、不動産取引などで活用されます。
手数料を支払えば誰でも取得可能で、法務局の窓口やオンラインで請求できます。この証明書を活用することで、会社の信頼性や経営状況を証明し、取引や契約の円滑な実現に役立てることができます。
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履歴事項全部証明書は誰でも取得できる
登記簿謄本との違いは
登記簿謄本と履歴事項全部証明書は、法務局から発行される会社の登記情報を証明する書類で、ほとんど違いはありません。以前は「登記簿謄本」と呼ばれていましたが、現在は「履歴事項全部証明書」という名称が一般的です。
履歴事項一部証明書との違いは
履歴事項全部証明書と履歴事項一部証明書の違いは、記載される情報の範囲です。履歴事項全部証明書は、登記された情報の全てと、基準日以降に抹消された履歴も含めた情報を記載します。
一方、履歴事項一部証明書は、取得の際に必要なものを選択して記載したものです。履歴事項一部証明書では、基準日以降に抹消された履歴や変更がない部分は省略されます。
つまり、履歴事項一部証明書は必要な情報のみを抽出した簡略版と言えます。どちらの証明書を取得するかは、目的や提出先の要件によって選択されます。
履歴事項全部証明書の有効期限
履歴事項全部証明書自体には有効期限が定められていませんが、提出先や手続きを行う機関によっては、有効期限を定めている場合があります。
特に金融機関や行政機関、取引先との契約時などでは、「3か月以内に取得した履歴事項全部証明書」という形で有効期限を求められることが一般的です。そのため、必要に応じて新たに履歴事項全部証明書を取得し、有効期限内のものを提出する必要があります。
履歴事項全部証明書の取得が必要になる場合
履歴事項全部証明書は、会社の登記情報を証明する重要な書類です。会社が各種行政手続きや金融手続き、新規取引先との契約時などで提出が求められる場合があります。ここでは、履歴事項全部証明書の取得が必要になる場合について解説します。
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履歴事項全部証明書の取得が必要になる場合
会社設立の届け出
会社設立時には、法人設立届出書の提出が必要です。提出する書類には、定款の写し登記簿謄履歴事項全部証明書などが含まれます。これらの書類は、法務局に提出することで会社の設立が公示されます。
届け出は、会社の設立後2ヶ月以内に行われる必要があります。設立届出書に必要な書類を正確に準備し、期限を守って手続きを行いましょう。
会社の登記内容を変更する際の届け出
会社の登記内容を変更する際には、履歴事項全部証明書の取得が必要になる場合があります。例えば、会社名変更や本店所在地の移転、役員の変更などの変更手続きには、登記簿謄本の最新情報が必要です。
履歴事項全部証明書は、登記された会社情報の履歴や変更履歴を記載しており、変更手続きに必要な情報を提供します。手続きは、変更内容に応じて法務局への届出や書類の提出が必要です。
従業員を雇用した場合の届け出
従業員を雇用した際は、履歴事項全部証明書の取得が必要な場合があります。これは、給与支払事務所等の開設届出に必要となります。
手続きとしては、労働基準監督署に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出することが必要です。これにより、雇用に関する法的な要件を遵守し、従業員と会社の関係を適切に管理できます。
社会保険や労働保険の加入手続き
社会保険や労働保険の加入手続きでは、履歴事項全部証明書の提出が求められることがあります。これは、会社の正確な登記情報を確認するために必要な書類です。
手続きは、各保険機関や労働基準監督署、ハローワークに必要な書類を提出します。手続きの際には期限や必要書類を確認し、適切な機関に提出することが重要です。履歴事項全部証明書の有効期限については、交付日から3ヶ月以内のものとなっています。
会社名義の各種契約
会社名義の契約において、例えば、不動産の賃貸契約では入居者が法人である場合、会社の信頼性を確認するために、履歴事項全部証明書が必要となることがあります。
履歴事項全部証明書は法人の登記情報を含み、会社の役員や本店所在地などの情報が記載されています。履歴事項全部証明書の期限は、契約相手によって異なりますが、通常は提出前・3か月以内のものが求められます。
融資や補助金を受けるとき
融資や補助金を受ける際には、履歴事項全部証明書が必要です。その他には、会社の登記簿謄本や最新の決算書、財務諸表、事業計画書などの財務関連書類が求められます。
履歴事項全部証明書の有効期限に関しては、申請日から3か月以内が一般的ですが、具体的な期限は金融機関や補助金制度によって異なります。提出書類は、正確かつ詳細に準備する必要があります。事前に必要書類と期限を確認し、十分に準備をしましょう。
取引先や競合他社の調査
新規の取引先を検討する際、その取引先が信用できる会社なのか、履歴事項全部証明書を取得して調査をする場合があります。手数料を支払えば誰でも取得可能であるため、会社の信頼性や経営状況の調査に役立てることができます。
さらに、競合他社の調査にも活用でき、市場調査にも役立ちます。また、新規で取引を開始する際には、相手側から自社の履歴事項全部証明書を提出するように求められる場合もあります。
履歴事項全部証明書の取得方法
履歴事項証明書を交付請求する方法は、法務局や登記所の窓口への直接請求、郵送での請求、そしてインターネット上でのオンライン請求の3つがあります。ここでは、3通りの請求方法について解説します。
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法務局の窓口から交付請求して取得する
法務局の窓口から履歴事項全部証明書を取得するには、最寄りの法務局に行き、交付申請書と必要書類を提出します。窓口で手続きを進め、手数料を支払い、申請受付票を受け取ります。
証明書の発行までの期間は法務局により異なるため、所要時間や受け取り方法については、事前に確認しておきましょう。履歴事項全部証明書は法務局の窓口で直接取得できますが、事前に申請書をダウンロードして記入しておくと効率的です。
登記事項証明書交付申請書を法務局に郵送して取得する
法務局に申請書を郵送する際は、登記事項証明書交付申請書をダウンロードして、必要事項を記入し、支払手数料の収入印紙を貼ります。封筒に「申請書交付在中」と書き、申請書と返信用封筒を同封し、最寄りの法務局に郵送します。
数日後、法務局から履歴事項全部証明書が郵送されてきます。郵送の時間や法務局の処理によって取得までの期間は異なるため、余裕を持って手続きを行いましょう。
会社・法人の履歴事項全部証明書をオンラインで請求する
会社・法人の履歴事項全部証明書はオンラインで請求できます。登記・供託オンライン申請システムやGVA登記簿取得などのサービスを利用し、指定した法務局の窓口で交付を受けるか、指定した送付先に郵送請求することができます。
手数料は、ネットバンキングで納付し、返信用封筒の送付は不要です。スマートフォンやPCから簡単に申請できるので、時間と手間を節約できます。
履歴事項全部証明書の取得手順
ここでは、履歴事項全部証明書の取得手順について解説します。手続きの詳細は各方法に応じて異なるので、利用する方法によって手順を確認しましょう。
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履歴事項全部証明書の取得手順
窓口で履歴事項全部証明書を取得する手順
まずは、履歴事項全部証明書を法務局の窓口で取得する手順を解説します。
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窓口で履歴事項全部証明書を取得する手順
最寄りの法務局を確認する
履歴事項全部証明書の取得は、最寄りの法務局の窓口で行います。法務局の管轄地域に応じて、最適な法務局を選びましょう。
交付申請書をダウンロード・印刷する
法務局のウェブサイトから、履歴事項全部証明書の交付申請書をダウンロードします。交付申請書には必要事項の記入欄があります。
必要事項を記入する
交付申請書に必要な情報を記入します。会社名や登記情報、交付方法などの詳細を適切に記入しましょう。また、必要に応じて本人確認書類も持参します。
収入印紙を準備する
履歴事項全部証明書の交付には手数料が必要です。手数料を支払うために、収入印紙を事前に購入して準備しましょう。
法務局の窓口で申請書を提出する
準備が整ったら、最寄りの法務局の窓口へ交付申請書と収入印紙を持参しましょう。窓口の職員に申請書と収入印紙を提出し、手数料の支払いを行います。
履歴事項全部証明書を受け取る
申請書が受理されると、一定期間後に履歴事項全部証明書が発行され、窓口で直接受け取れます。窓口での受け取り時間や手続きについては、事前に法務局のウェブサイトなどで確認しておきましょう。
以上が、法務局の窓口での履歴事項全部証明書の取得手順です。法務局への訪問時には、必要な書類と手数料を忘れずに準備し、窓口の案内に従って手続きを進めましょう。
郵送で履歴事項全部証明書を取得する手順
ここでは、郵送で履歴事項全部証明書を取得する手順を解説します。
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郵送で履歴事項全部証明書を取得する手順
申請書を準備する
法務局のウェブサイトから申請書をダウンロードし、印刷します。
必要事項を記入する
印刷した申請書に、会社名や法人番号などの必要事項を記入します。記入に際しては、提供されたガイドラインやサンプルを参考にしましょう。
収入印紙を貼付ける
履歴事項全部証明書の手数料に相当する収入印紙を購入し、申請書の指定された場所に貼付けます。収入印紙の額面は手数料に応じて異なるので、正確な金額を確認しましょう。
返信用封筒を用意する
申請書とともに、返送用の封筒を用意します。返信用封筒には、自分の住所と氏名を明記し、郵便料金の切手を貼り付けます。
申請書と返信用封筒を郵送する
用意した申請書と返信用封筒を同封し、法務局の指定する郵送先に郵送します。封筒には「履歴事項全部証明書の交付申請書在中」と書くことで、処理の優先度を高めることができます。
履歴事項全部証明書の受取り
法務局が申請書を受け取り、手続きが完了すると、指定した返信用封筒に履歴事項全部証明書が郵送されます。到着まで数日から数週間かかる場合があります。
以上が郵送で履歴事項全部証明書を取得する手順です。申請書と返信用封筒の記入や準備、収入印紙の貼付けには注意を払い、正確な情報と必要な手数料を提出するようにしましょう。
オンラインで履歴事項全部証明書を取得する手順
オンラインで履歴事項全部証明書を取得する手順は以下の通りです。
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オンラインで履歴事項全部証明書を取得する手順
申請システムにログイン
法務局のサイトにアクセスし、登記・供託オンライン申請システムにログインします。
利用者登録
個人情報や連絡先を入力し、IDとパスワードを設定して利用者登録を行います。
請求したい情報を入力
ログイン後、メニューから「商業・法人登記(会社・法人)」の「登記事項証明書の交付請求」を選択します。
必要な情報を入力
会社の登記番号や名称など、正確な情報を入力します。
手数料の支払い
インターネットバンキングやクレジットカードなどの指定された方法で支払います。
受け取り
申請が完了すると、指定した方法で履歴事項全部証明書を受け取ります。オンラインでのダウンロードや郵送が選択できます。
以上がオンラインでの履歴事項全部証明書の取得手順です。ウェブサイトの案内に従い、正確な情報の入力と手数料の支払いを行うことでスムーズに申請できます。
履歴事項全部証明書の取得可能な日時と手数料
ここでは、証明書の取得可能な日時と手数料について解説します。法務局の受付時間は以下の表の通りですが、土曜日、日曜日、国民の祝日 、年末年始期間については、休日となっています。手数料は、取得方法によって異なるので、以下の表で確認してください。
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取得方法 | 手数料 | 受付時間 |
---|---|---|
法務局の窓口で登記事項証明書の交付 | 600円 | 午前8時30分〜午後5時15分 |
オンラインで請求し、証明書を郵送にて取得 | 500円 | 午前8時30分〜午後9時 |
オンラインで請求し、証明書を法務局で取得 | 480円 | 午前8時30分〜午後9時 |
書面、郵送で証明書を請求 | 600円 |
法務局の窓口で登記事項証明書の交付
法務局の窓口での登記事項証明書の交付は、平日の午前8時30分から午後5時15分までの営業時間内に受け付けられます。交付は平日に限られ、土日・祝日および年末年始は除かれます。
受付時間内に法務局の窓口を訪れ、交付申請書と手数料(収入印紙600円)を提出することで、履歴事項全部証明書を受け取ることができます。
ただし、窓口の混雑や地域によっては待ち時間が発生する場合があります。そのため、事前に法務局のウェブサイトやお問い合わせ先で詳細な情報を確認しましょう。
オンラインで請求し、証明書を郵送にて取得
オンラインで請求し、証明書を郵送で取得する場合、申請は平日の午前8時30分から午後9時まで受け付けられます。手続きはインターネット上で行われ、指定した送付先に履歴事項全部証明書が郵送されます。
手数料はオンラインでの請求の場合、500円となります。申請後は数日で証明書が郵送されますが、到着までに時間がかかる場合もあります。
オンラインで請求し、証明書を法務局で取得
オンラインで請求し、証明書を法務局で取得する場合、申請は平日の午前8時30分から午後9時まで受け付けられます。手続きはインターネット上で行われ、指定した法務局の窓口で証明書を受け取ることができます。
手数料はオンラインでの請求の場合、480円となります。証明書の受け取りは窓口受け取りとなり、申請後の数日で受け取りが可能です。
書面、郵送で証明書を請求
郵送による書面だけで証明書を請求したい場合は、登記事項証明書の交付申請書に必要事項を記入し、法務局に申請します。受付時間は、それぞれの郵送状況や法務局によって異なります。
手数料は1通600円となり、オンラインで申請するよりも100円高くなります。また、1通の枚数が50枚を超える場合には、 以後50枚ごとに100円加算されるため、提出する収入印紙の合計金額には注意が必要です。
履歴事項全部証明書を取得する際の注意事項
履歴事項全部証明書の取得に際しては、注意事項に留意することが重要です。証明書の正確性や手続きの円滑な進行を確保するために、以下のポイントに注意しましょう。
個人事業主は履歴事項全部証明書を発行できない
履歴事項全部証明書は、会社に関する情報を含んでおり、会社の登記情報や経歴などが記載されています。しかし、個人事業主は法人としての会社を設立していないため、会社に関する情報を持っていません。
そのため、個人事業主は履歴事項全部証明書を取得することはできません。履歴事項全部証明書は、融資や契約などで会社の信頼性や実績を示すために利用されますが、個人事業主は自身の経歴や業績を別の形で証明する必要があります。
代わりに、個人事業主は個人の経歴書や所得証明書、確定申告書などを提出することで、自身の信頼性や実績を示すことができます。これらの書類は、個人事業主が事業を行っている期間や収益、顧客の評価などを示す重要な情報となります。
履歴事項全部証明書は代行でも取得可能
履歴事項全部証明書は、手数料を支払えば自分以外の人間でも取得することができます。そのため、多忙な場合や取得に不安がある場合は、代行サービスや司法・行政書士の活用がおすすめです。ここでは、これら2点について解説します。
取得代行サービス
履歴事項全部証明書は、取得代行サービスを活用することで発行できます。具体的には、オンライン上で必要事項を記入することで、PDF形式で取得できるケースが多いです。
そのため、多忙により法務局に出向く時間がない場合は、このような代行サービスの活用がおすすめです。また、サービスによっては、履歴事項全部証明書だけでなく会社の登記変更などに必要なその他の書類の取得や、登記申請まで代行してくれる場合もあります。
ただし、代行サービスを利用する場合は、申請費用以外にもサービスの利用料を支払う必要があります。コストをなるべく抑えたい場合は、代行サービスの利用を慎重に検討しましょう。
司法書士・行政書士
司法書士や行政書士に依頼することで、申請書類の作成から代行ができ、履歴事項全部証明書を確実に取得できます。また、司法書士の場合は、登記のサポートも依頼できるため、履歴事項全部証明書の取得や登記について不安がある場合におすすめです。
ただし、プロである専門家への依頼は、実費の他に専門家報酬として費用が発生します。登記の申請も同時に依頼したい場合は、見積もりや打ち合わせが必要になるケースもあり、依頼内容によってはコストパフォーマンスが低いと感じることもあるでしょう。
司法書士や行政書士に依頼する際は、自分で取得できないか、代行サービスを活用すべきかなどを考えた上で検討しましょう。
まとめ
履歴事項全部証明書は、会社や法人に関する情報を含んだ公的な書類です。この証明書には、会社の登記情報や経営者の氏名、資本金などが記載されています。融資や補助金の申請、事業用の契約など、会社に関わる様々な場面で必要となります。
取得方法は、法務局の窓口での申請やオンラインでの請求があります。履歴事項全部証明書は、会社の信頼性を証明する重要な文書として利用されます。必要な場面で適切に提出することで、融資や契約などの手続きが円滑に進みます。
実際に履歴事項全部証明書を取得する際には、自社が求める取得方法に基づき、申請書の内容と返信用封筒の記入や準備、収入印紙の貼付けなどには十分注意しましょう。本記事の内容を参考に、過不足のないように申請・取得しましょう。