フィンテックとは|言葉の意味とサービス分野・今後の展開を解説

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  • 情報通信技術の進歩や金融サービスの分権化に伴ってフィンテックが広がっている
  • フィンテックのサービスには、キャッシュレス決済やクラウドファンディングなどがある
  • フィンテックを支えるテクノロジーには、ブロックチェーンやIoTなどがある

フィンテックは、金融サービスと情報技術を結び付け、さまざまな動きを起こしており、ビジネスの世界に影響を与えています。本記事では、フィンテックが広がる理由や、サービス分野の他、フィンテックを支えるテクノロジーや今後の展望についても解説します。

目次

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  1. フィンテックとは
  2. フィンテックが広がる理由
  3. フィンテックのサービス分野
  4. フィンテックを支えるテクノロジー
  5. フィンテックがもたらすメリット
  6. フィンテックの課題
  7. フィンテックの今後
  8. まとめ

フィンテックとは

フィンテックとは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語です。アメリカでは2000年代前半から使われている言葉で、近年では日本をはじめとして世界各国で利用されています。

フィンテックは金融機関とIT企業が連携してサービス提供することが多く、代表的なものにはスマホ決済や仮想通貨などが挙げられます。特に、キャッシュレス社会は先進国に広く普及しており、ビジネスだけでなく日常生活にも欠かせない存在です。

フィンテック企業とは

フィンテック企業には明確な定義は無いものの、銀行や証券などの金融サービスにおいて、先進テクノロジーで技術革新をもたらすベンチャー企業を指します。オンライン上で銀行取引を行い、業務の効率化を図れるのが特徴です。

フィンテック企業はシステムの自動化により、従来の金融機関より人件費が削減できるため低コストで運用できます。また、ビジネス的なメリットだけでなく、消費者の手数料を安く設定できるのも魅力です。

しかし、オンライン上で取引を行うため、情報漏洩やサイバー攻撃などセキュリティ上のリスクが存在します。そのため、フィンテック企業は対策を万全にしておく必要があります。

フィンテックが広がる理由

近年の情報通信技術は大幅に進歩しており、金融サービスでのクラウドやAIを使用したシステムでもフィンテックが活用されています。また、ビジネスだけでなく日常生活においてもグローバル化が進んでいます。

特にフィンテックの中でも大きく浸透しているのがキャッシュレス決済で、スマホアプリやクレジットカードでの支払いが先進国では主流になりつつあります。

日本も例外ではなく、フィンテックによるサービスで人員削減やコストカットなどが期待できるため、金融サービスを中心にさまざまなビジネスで注目されています。

フィンテックのサービス分野

フィンテックのサービスとして、代表的なものはキャッシュレス決済や仮想通貨などが挙げられますが、他にも個人財務管理やクラウドファンディングなどもあります。ここでは、フィンテックのサービス分野を12種解説します。

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キャッシュレス決済・送金

キャッシュレス決済は、現金不要でカードやスマホアプリで買い物などの支払いができるサービスです。事前に現金チャージや引き落とし口座登録をしておけば、QRコードやバーコードを読み取るだけで支払いが完了します。

スマホアプリを使用した各種pay決済の他にも、クレジットカード決済や電子マネーなどのコンタクトレス決済フィンテックを利用したサービスです。

個人財務管理

個人財務管理のPMF(Personal Financial Management)でもフィンテックが利用されています。簡単に言えば家計簿アプリのようなサービスであり、銀行口座やクレジットカード・スマホ決済と連携してアプリで収支管理ができます。

カード・口座情報で収支や支出が自動的に記録され、買い物したレシートを撮影すれば金額や品目も自動で入力されます。手書きや自分で入力して家計簿を付ける手間を削減できるため、金銭の管理が苦手な方にもおすすめです。

送金・お金の受け取り

フィンテックのサービスには、同じ決済アプリを利用するユーザー同士なら、手数料無料で送金・受け取りができるサービスもあります。家族や友人間などの個人間で送金できるだけでなく、アプリを使えば離れた場所にいる相手にも1円単位で送金・受け取りが可能です。

例えば、子供用として管理しやすいように決済アプリでお小遣いを渡したり、食事の際の割り勘などにも使用できたりするため利便性に優れています。また、近年では各銀行のスマホアプリで送金できるサービスもあります

仮想通貨

仮想通貨とは、インターネット上でお金として流通し、商品の購入やサービスの決済に利用できるデジタル通貨です。円だけでなく、ドル・ユーロ・人民元などの通貨と交換が可能で、特定の国家が価値を補償していないのが特徴です。

仮想通貨関連サービスの企業もフィンテックの一部であり、仮想通貨の売買や保管などのサービスを提供しています。

投資・資産運用

フィンテックは、個人の投資や資産運用の効率化としても使用されています。有名なのはAIを活用したロボアドバイザーで、投資配分の提案や資産運用の助言をしてくれます。資産運用の知識が無くても投資を始められるため、初心者でも取り組みやすくなっています。

現代では、フィンテックによるWebやアプリで手軽に投資ができるサービスが増えており、投資や資産運用における分析が可能です。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、個人や企業がWeb上で目的達成のための資金援助を募り、共感したユーザーから資金を受け取るシステムです。寄付型・購入型などの種類があり、不特定多数の人から支援者を集めるシステムのため、手軽に資金調達ができるのが特徴です。

寄付型は支援者が寄付するのみであり、特にリターンは発生しないシステムです。購入型は支援者に資金提供してもらう見返りに、商品やサービスなどでリターンを渡します。また、支援者が出資をして、利益の一部を受け取れる資金調達型システムもあります。

融資

従来までの融資やローンサービスは、金融機関や消費者金融が行ってきましたが、フィンテックの活用も進んでいます。住宅ローンや車の購入などの審査・限度額などの手続きがオンライン上で行えるため、顧客が金融機関に出向かなくても融資を受けられます。

フィンテックを利用した融資は金融機関での融資と異なり、インターネット上での業績や実績など取引履歴を重視して審査が行われます。その他にも、審査にAIを取り入れてローンの限度額や貸付利率などを測定する機能も取り入れています。

オンライン上で融資やローンの手続きが完了するため、煩わしい資料の用意や対面でのやり取りを必要とせず、スムーズに取引を完結できます。

保険

保険業界のフィンテックは、保険(Insurance)と技術(Technology)を組み合わせた言葉で、インシュアテック(InsurTech)とも呼ばれています。保険も金融サービスに含まれてはいるものの、フィンテックを活用すればよりスムーズに保険へと加入できます。

代表的なものには、従来の保険より割安で加入できるインターネット専門の保険会社が挙げられます。従来の保険加入は電話や書類での手続きが必要でしたが、スマホがあれば手軽に加入できるのが魅力です。

保険業界のフィンテックは、AIを活用して業務の効率化を図っているのが特徴で、中にはブロックチェーン技術で複数の保険を管理できるサービスもあります。

会計・財務

近年は、企業の会計処理や財務業務の支援をするサービスにもフィンテックが取り入れられています。従来の会計・財務処理は主に手作業で行われており、マニュアルが多く処理が複雑であることから、手間と時間がかかるだけでなくミスも起きやすいのが課題でした。

しかし、会計・財務業務にフィンテックを活用すれば、給与計算や経理計算など一部の業務は自動で行えるようになり、人的ミスの軽減と業務の効率化が図れます。また、クラウド上で情報共有すれば、支店や支社と連携が取りやすくなってスムーズに業務を遂行できます。

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングとは、融資型のクラウドファンディングを指します。資金運用をしたい個人投資家と、資金調達をしたい法人事業を結びつけるオンラインサービスであり、投資家の募集や借り手の審査・貸付などの手続きをフィンテックで行います。

投資は1万円程の少額からスタートできるため、初めての投資や個人での資産運用としても注目されています。なお、借り手となる法人事業主は、返済金だけでなく分配金を投資家に支払う必要があり、さらにサービス利用の手数料も支払わなくてはなりません。

金融情報

金融情報は、金融市場や経済情勢の判断などに必要なデータや、株価の市場価値・物価指数などの経済統計におけるさまざまな種類があり、情報量は膨大になります。そのため、手作業で情報を集めて分析するには、多大な時間と労力がかかってしまいます。

その点、フィンテックを活用すれば膨大な情報やニュースを集めて分析し、効率的に経済情報や物価指数などの必要な情報を得られます。中には、投資家や経営者のための金融情報の収集・分析を行うサービスを実施しているフィンテック企業もあります。

セキュリティ

オンラインでの金融取引では、ハッキングやフィッシング攻撃対策・不正アクセスなどにしっかり対応することが重要です。したがって、金融サービスの取引に欠かせないセキュリティ対策にも、フィンテックが活用されています

フィンテックは生体認証システムやデータの暗号化など、不正ログインを防止しながらデータベースを保護するサービスを提供しており、セキュリティ対策の強化が可能です。

また、企業間の取引だけでなく、デジタル決済やオンライン送金などの個人の金融取引にも広く活用されています。

フィンテックを支えるテクノロジー

フィンテックは、ブロックチェーンやIoTなどさまざまな最新テクノロジーが使われています。ここでは、フィンテックを支えるテクノロジーについて解説します。

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フィンテックを支えるテクノロジー

  1. ブロックチェーン
  2. IoT
  3. AI
  4. API
  5. 生体認証

ブロックチェーン

ブロックチェーンとは、パソコンなどネットワーク上の端末を対等な関係でデータを共有し、中央管理者を通さずにシステムを維持する仕組みです。

従来はクライアントサーバというシステムで、中央サーバーがシステム全体を管理していました。しかし、ブロックチェーンでは、端末同士でダイレクトに情報を送受信してデータを管理できるため、大幅なコスト削減が可能です。

また、従来のクライアントサーバーでは、中央サーバーのトラブルなどで情報漏洩やシステムダウンが発生するリスクがありました。しかし、ブロックチェーンなら正常に動く端末同士で運用できるため、サーバーダウンが起こりにくく安定して使えます。

IoT

IoTとは「Internet of Things」を略した用語で、家電用品や自動車など日常生活で使用する物がインターネットにつながるシステムを指します。

IoTによって身の回りのものがインターネットにつながると、膨大な量の情報が蓄積されていきます。その情報はデータとして収集され、顧客の使用頻度や商品の使い方などを判断し、今後の商品開発や新たなサービス展開に役立てることができます

従来のビッグデータは、ECサイトの購入履歴や店舗・企業での販売管理データなどがメインであり、データ量が少なく多様性に欠けているのが課題でした。IoTは膨大な量の情報を自動で入手できるため、情報量が多いほど予測の精度が上がっていくのがメリットです。

AI

AIと呼ばれる人工知能は、人間の認識や推論などをコンピューターで行うテクノロジーで、さまざまな分野で活躍しています。IoTの普及で収集されるデータが大幅に増えたことにより、ビッグデータの分析・管理は人の手だけでは不可能になっています。

その際に役立つのがAI技術であり、人間では手が回らない量のデータを分析・処理し、新たな規則性などの発見ができます。フィンテック業界では、ロボバイザーやチャットボットなどのサービスが代表的です

API

APIとは「Application Programming Interface」の略です。パソコンなどの端末内やインターネット上のアプリケーションソフトと、外部のアプリケーションを連携させるシステムを指します。

例えば、Googleなどのアカウントを使用し、他のアプリでGoogleを経由してログインするシステムもAPIです。APIによって、アプリごとに新規登録する手間がかからないため、ユーザーの負担を減らすことができます。

また、企業としてはユーザーを獲得しやすくなり、認証管理の負担軽減と保護コストの削減にもつながるため、多くのメリットを享受できます。

生体認証

生体認証とは、指紋や静脈などの身体的特徴を感知して本人認証を行うシステムです。従来は暗証番号やパスワードによる認証が主流でしたが、生体認証は安全性が高く個人情報の漏洩やスキミング防止に役立ちます。

生体認証は身近なものでスマホの起動に取り入れられており、企業では会社への入場・入室やパソコンのログインなどに採用されています。また、中国などの海外では、顔認証による生体認証が普及して網膜認証も取り入れられており、精度が高い本人確認が可能です。

フィンテックがもたらすメリット

フィンテックによって、企業と消費者はさまざまなメリットを得られます。ここでは、2点に絞ってフィンテックがもたらすメリットについて解説します。

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自動化・効率化によるコスト削減

フィンテックを利用することで、金融における書類による手続きをデジタル化でき、サービスの自動化や効率化に繋がります。例えば、スマートフォンを利用してクレジットカードの決済ができたり、AI技術によって個々に適切なローンの提案を行えたりします。

このように、銀行窓口に出向く手間の削減によって人件費をカットでき、消費者が負担しなければならない利用料や手数料の低コスト化にも繋がります。

金融サービスの多様化

フィンテックの普及によって、他業種やベンチャー企業も金融サービスに参入しやすくなりました。これにより、銀行やクレジットカード会社など、従来の金融機関による常識にとらわれない独自の金融サービスの開発・提供が進んでいます。

新たな価値観による金融サービスによって、市場における競争力が高まり、リーディングカンパニーとして企業を成長させることにも期待できます。また、金融サービスの多様化は、消費者は自分の目的に合わせてサービスを利用でき、選択肢が広がりやすくなります。

フィンテックの課題

フィンテックは人々の生活における利便性を高めるものですが、便利であるが故に課題もいくつか存在します。ここでは、代表的な課題について解説します。

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法整備と法改正への対応

フィンテックに関わる最先端の技術は、日本国内だけでなく世界各国で誕生します。そのため、国ごとに定められた法整備と法改正への対応が常に求められます

また、日本は他国と比べて対応の遅さが問題となることも多く、フィンテックの進化スピードに対応できるかも大きな課題となっています。

高度なセキュリティ対策

新しいテクノロジー・技術の発展により、サイバー攻撃も多様化しています。また、フィンテックはインターネットを介して利用するため、金銭における厳重なセキュリティ対策が重要です。

しかし、フィンテックに対応したセキュリティ対策は困難であることが多く、情報漏洩や不正ログインなどにつながりやすいです。サービスの提供元や利用者は危険を回避するためにも、セキュリティ対策を重視しなければなりません

フィンテックの今後

フィンテックという言葉自体はここ数年で注目されるようになりましたが、金融機関とITを結合したサービスは以前から提供されてきました

金融機関において、ATMを利用することで窓口に並ばずに入出金できるようになったように、現在はネットバンキングでオンライン上での取引が可能になり、金融サービスのIT化は進化し続けています。

また、新型感染症の影響で対面での現金のやり取りを嫌う消費者が増えたことで、キャッシュレス決済などフィンテックを活用したサービスは加速・進化を続け、より便利なサービスが増えることが予想されます。

そして、フィンテック企業が増えると企業同士の競争が激化し、価格の低下やサービスの向上が見込まれるため、大きな市場の成長にも期待できます。

まとめ

キャッシュレス決済の普及から、フィンテックは金融サービスを始めさまざまな企業で取り入れられています。従来の金融サービスと違い、オンライン上でサービスを受けられるため、企業側はデータ管理が楽になり、顧客側も手軽に取引ができて利便性が高まります。

フィンテックはキャッシュレス決済の他にも、個人財務管理・仮想通貨・融資・保険など多くの分野で活用されており、IoTやブロックチェーンなどの最先端技術によって支えられています。

オンライン上の取引は今後も成長し続けていくことが予想されるため、フィンテックの進化過程にも注目していきましょう。

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