AI(人工知能)とは?意味やビジネスにおける活用メリットを解説

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  • AI(人工知能)とは、人間の思考プロセスを再現するコンピュータプログラムである
  • AIには、機械学習やディープラーニングといった技術が使われており、種類も複数ある
  • AIをビジネスで活用するメリットは、業務の自動化や生産性の向上など多岐に渡る

AI(人工知能)とは、人間の思考プロセスを再現するコンピュータプログラムを指します。AIは機械学習の技術で成り立っており、種類も複数あります。本記事では、「そもそもAIとは何なのか」という所から、AIの基礎知識やビジネスでの活用について分かりやすく解説します。

目次

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  1. AI(人工知能)とは
  2. AIの歴史と変遷
  3. AIとアルゴリズム・機械学習・ディープラーニングの関係
  4. AIの種類
  5. ビジネスの分野で広がるAIの活用
  6. ビジネスにおけるAI活用のメリット
  7. ビジネスにおけるAI活用のデメリット
  8. AIのレベルを知り適材適所で活用する
  9. まとめ

AI(人工知能)とは

AI(人工知能)とは、人間の思考プロセスを再現するコンピュータプログラムのことです。AIの技術はさまざまな分野で活用されており、特にビジネスにおけるメリットは、業務の自動化や生産性向上など多岐に渡ります。

AIは「機械学習」や「ディープラーニング」といった技術で成り立っており、その技術は日々進化しています。AIの活用の幅は広がり続けており、AIを使ったサービスも増えていて私たちの身近なものになりつつあります。

そんなAIについて理解を深めるために、まずはその意味や定義、通常のコンピュータとの違いを確認していきましょう。

AIの意味と定義

「AIとは何の略なのか、どのような意味があるのか」といった部分からよくわからない方もいるでしょう。Aiは英語の「Artificial Intelligence」の略で、広義では人間の思考プロセスを再現するコンピュータプログラムを指します。日本語では「人工知能」と訳されます。

AIは膨大なデータを学習することで、それらのパターンや特徴を見つけ出します。人間と同じようにものごとを学習し、自ら認識・判断・予測などができるという意味で、「Intelligence:知能」という言葉が名前についています。

しかし、AIに明確な定義はなく、企業や研究者によって定義付けが異なります。AIの生みの親、ジョン・マッカーシー教授は「知的な機械、特に知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と定義づけていますが、そもそも「知能」や「知性」についての明確な定義がないため、AIの定義も曖昧です。

AIと通常のコンピュータの違い

AIと通常のコンピュータの違いは、問題解決までのアプローチの方法にあります。AIは、膨大なデータを基に機械自身が学習し、問題を解決します。一方、通常のコンピュータは、問題解決までの手順がプログラムされており、そのプログラムに沿って問題を解決します。

AIは未知の事象に対しても、状況に応じた判断・対応ができますが、通常のコンピュータは、プログラムにない事象には対応できません。簡単に言うと、「コンピュータ自身で考えて答えを出す力があるかないか」という違いです。

更に言うなら、AIは人間の予測を超える結果を出す可能性がありますが、通常のコンピュータは、プログラムの範囲内でしか結果を出すことはできません。

AIの歴史と変遷

AIには60年以上の歴史があり、その間に3度のAIブームが起きています。ここからは、AIの歴史と変遷について解説していきます。

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第1次AIブーム(1960年代)

AIの歴史は、1956年のダートマス会議において、アメリカの計算機学者ジョン・マッカーシーが初めてその技術に言及したことに始まります。

その翌年の1957年、ニューラルネットワークの一種である「パーセプトロン」が考案されました。パーセプトロンは、人間の脳神経回路を模した学習モデルとして注目を集め、第1次AIブームを巻き起こします。

第1次AIブームでは、コンピュータによる「推論」と「探索」の研究がメインに行われました。「推論」とは、既知の知識を基に未知の事象を予測して解決に導くこと、「探索」とは、与えられたデータの中から必要な情報を探し出すことを指します。

「推論」と「探索」により、コンピュータは、特定の問題に対する答えを導き出せるようになりました。しかし、1970年代に入り、パーセプトロンはルールと目的が決まっている問題(トイ・プロブレム)しか解けないことが判明し、AIは冬の時代に突入します。

第2次AIブーム(1980年代)

1980年代に入ると、コンピュータによる「知識」の研究がメインとなり、「エキスパートシステム」が誕生しました。エキスパートシステムにより、コンピュータは「知識表現」が可能になり、第2次AIブームが到来します。

エキスパートシステムとは、大量にインプットされた専門分野の知識を基に、問題を解決するプログラムのことです。

エキスパートシステムは、専門家の意思決定フローを模倣・再現し、一定のルールに基づく推論の結果として、最適解を見つけ出します。

エキスパートシステムの技術は、医療分野において病気の診断などに活用されましたが、知識を大量にインプットする作業に莫大なコストと時間がかかることに限界が見え始め、再び冬の時代を迎えます。

第3次AIブーム(2000年代~)

2000年代に入ると、インターネットの普及などによって大量のデータ(ビッグデータ)が利用可能になったことを受け、AI自らが自己学習する「機械学習」が実現します。これが、第3次AIブームの始まりです。

さらに2006年に機械学習の一種である「ディープラーニング」が登場したことをきっかけに、2010年代にはさらにAIへの期待が高まり、第3次AIブームに拍車がかかります。

ディープラーニングによってAIはより複雑な判断ができるようになり、画像認識、音声認識、自然言語処理などの分野で飛躍的な進化を遂げました。

第3次ブームでは、機械学習の実用化の研究がメインとなり、その研究は現在も続いています。2019年以降は、「CNN」「GAN」「BERT」「GPT-3」「GPT-4」といったAIモデルが立て続けに発表され、第4次AIブームの始まりだとする声も聞こえています。

AIとアルゴリズム・機械学習・ディープラーニングの関係

「AI」とともによく聞かれるのが、「アルゴリズム」「機械学習」「ディープラーニング(深層学習)」といった言葉です。これらは、AIの仕組みを理解する上で非常に重要な要素です。それぞれどのような意味や役割を持っているのか、解説していきます。

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AIとアルゴリズム・機械学習・ディープラーニングの関係

  1. アルゴリズムとは
  2. 機械学習とは
  3. ディープラーニング(深層学習)とは

アルゴリズムとは

アルゴリズムとは、コンピュータが計算によって特定の課題・目的を達成するための作業手順のことです。コンピュータにおける「算法」とも言えるでしょう。

AIはデータを分析して答えを導き出すために、事前に大量のデータを取り込んでその傾向や特徴を学習します。その際、データの学習方法を提示するのがアルゴリズムです。アルゴリズムをもとに掴んだデータの傾向や特徴は、「学習済みモデル」として構築されます。

アルゴリズムはAIを動かすためのベースであり、アルゴリズムの開発はAIの進化に繋がります。AIにおけるアルゴリズムの種類は多数あり、前項「AIの歴史と変遷」で触れた「ニューラルネットワーク」「エキスパートシステム」などもアルゴリズムの一種です。

機械学習とは

機械学習とは、AIがアルゴリズムをもとにデータを学習する方法のことを指します。データの構造とパターンを学習することで、AIはさまざまな判断ができるようになります。

機械学習には、大きく分けて「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つのアルゴリズムが使われます。

教師あり学習

教師あり学習とは、教師となるデータを基に学習していく手法で、情報(例題)と正しい判断(模範解答)からなるデータセットを基にモデルを形成します

教師データを基にルールやパターンを学習することで、未知の情報に対しても、これまでの学習内容を土台にして認識・予測することができるようになります。天気予報や売上予測などに使われています。

教師あり学習の中にも、いくつかのアルゴリズムが存在します。以下の表で、その代表例を紹介します。

線形回帰・線形関数を用いて、直線で分類可能なデータ群の境界線を見つける手法
・「回帰」は過去のデータに基づいて予測をする意
ランダムフォレスト・複数のモデル(決定木と呼ばれる)を用意して予測を行い、多数決で最終予測値を決定する手法
・複数のモデルを組み合わせる「アンサンブル学習」を用いた手法
サポートベクターマシン・2つのクラスのデータ群を分割する境界(2次元なら線、3次元なら平面、n次元なら超平面)を決定する手法
・「分類」と「回帰」どちらにも適用できる
ナイーブベイズ・確率論の定理「ベイズの定理」を基にした手法
・与えられたデータから全ての推定の確率を算出し、最も確率の高い結果を出力する

教師なし学習

教師なし学習とは、正解のデータは与えず、機械自身がデータの共通点を見つけてグループ分けしたり、データの特徴や規則性を抽出したりする学習方法ですアルゴリズムをもとに機械が自動的にパターンを見つけ出し、予測モデルを形成します。

教師なし学習にも、以下のように複数のアルゴリズムがあり、AIの学習目的に合わせて選択されます。

クラスタリング・似ているデータを集め、データの特徴を見極めてグループ分けする手法
・「階層的クラスタリング」「非階層的クラスタリング」の2種類がある
樹形図・似ているものを順に並べてグループ化し、最終的に枝分かれしたチャートの形にする手法
・「階層クラスタリング」の一種
アソシエーション分析・事象や項目間の関係性を分析する手法
・ECサイトなどのレコメンデーションなどによく利用される

強化学習

強化学習とは、設定された目標を達成するために機械自身が置かれた状況の中で試行錯誤を繰り返し、望ましい行動に対して報酬を与えることで最適解を見つけ出していく手法です

コンピュータはどのような行動が最大の報酬を生み出すかを発見するため、さまざまなシナリオを試行して行動パターンを構築します。強化学習の手法は、囲碁や将棋のAIソフトなどに活用されており、近年大きな注目を集めています。

ディープラーニング(深層学習)とは

ディープラーニングとは、人間の脳の仕組みを模した「ニューラルネットワーク」を多層化することで精度を向上させている手法で、機械学習の一種です。ニューラルネットワークを構成する「入力層」「中間層」「出力層」のうち、中間層が深くなっています。

ディープラーニングでは、機械自身が大量のデータを学習し、データの中から特徴を見つけ出します。従来の機械学習と異なるのは、学習時に人間が介入する部分が少ないことです。

例えば画像を識別する従来の学習では、用意されたデータセットについて「色に着目する」といった指示をあらかじめ与えておくことで、正確に学習を進めることができます。対してディープラーニングでは、どこに着目すべきかもコンピュータ自身が見つけ出すことができます。

ディープラーニングの誕生により、AIは急速な進歩を遂げました。精度が大きく向上したことで、これまでは難しかった画像・自然言語・音声分野の学習ができるようになり、人間が分類や構造化できていないビッグデータも自動で分析できるようになっています

AIの種類

AIには、特定の問題のみを解決する「弱いAI」と、人間のように自ら判断できる「強いAI」の2種類があります。ここでは、弱いAIの「特化型人工知能」、強いAIの「汎用人工知能」「人工超知能」について解説していきます。

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AIの種類特徴
特化型人工知能音声認識や自動運転車に用いられる
汎用人工知能会話をするロボットのように自己制御や自己理解を行う
人工超知能未開発ではあるが人間の知能を超える知能

特化型人工知能

「特化型人工知能」とは、限定された分野・領域に特化したAIのことです。特化型人工知能は、個別の課題・タスクに特化して能力を発揮するため、「弱いAI」とも呼ばれています。

特化型人工知能は、自動運転システム・画像認識・音声認識・天気予測システムなどの分野で活用されています。

具体的には、Siri・Alexaなどのスマートデバイス、コールセンターの自動応答やチャットボット、メールのスパムフィルター、囲碁・将棋のAIソフトなどが挙げられます。

特化型人工知能は「弱いAI」ではありますが、個別のタスクを専門に処理するという点で、人間の予測を上回る能力を発揮することもあります。

汎用人工知能

汎用人工知能とは、人間と同じような思考回路を持ち、自律的制御・自己理解を行うAIのことです。汎用人工知能は、多岐に渡る領域で多彩な問題を解決するため、「強いAI」とも呼ばれています。

汎用人工知能は、想定外の事象に対しても自ら対応できる解決力を有し、人間の知能と同じような高いレベルで機能します。

汎用人工知能はまだ完全な形では実現化されていませんが、それに似た特徴を持つAIは登場し始めており、近い将来、ヒト型アンドロイドや会話するロボットなどへの活用が期待されています。

近年注目を集める「生成AI」

近年では、ディープラーニングの技術をもとに構築された「生成AI(ジェネレーティブAI)」に注目が集まっています。生成AIは、学習したデータをもとに新しくクリエイティブな成果物を生み出せるのが特徴です

「AIの歴史と変遷」で触れた「BERT」「GPT-3」「GPT-4」といったモデルは自然言語処理ができる生成AIモデルです。テキストの生成によって、チャット形式での人間との自然な会話や人間と同等レベルのアイデア創出を実現しています。

テキスト生成以外にも、画像生成、動画生成、音声生成などができるAIが登場しており、実際に活用が広がっています。

人工超知能

人工超知能とは、人間の頭脳を上回る知性を獲得したAIのことです。人工超知能の実現は、遠い未来の話だと思われていましたが、AIの急速な進歩により、近い未来に実現されると推測する研究者もいます。

しかし、人工超知能が実現した場合、AIは人間を脅かす存在になり得るため、開発を制限すべきだとする「AI脅威論」を唱える人も少なくありません。AIがこのまま進化を続ければ、AIによる人種差別やディープフェイクの悪用、軍事利用といった問題が懸念されます。

人工超知能の誕生は人類にメリットをもたらす反面、脅威となる恐れもあるため、これを適切に管理・制御する存在が必要であると考えられます。

ビジネスの分野で広がるAIの活用

AIの技術は、近年ビジネスの分野で広く活用されています。業界・業種を問わず、AIは企業にさまざまな利益をもたらすとされています。

ビジネスにAIを活用する場合、その活用方法には大きく2通りが考えられます。AIそのものを自社のサービスとして提供する方法と、AIを用いて業務を行う方法です。

AIをサービスとして提供するケースでは、上記で解説した生成AIサービスの展開や自社のWebサイトにAIサービスを組み込む、といったビジネスが考えられます。

また、AIを業務に用いるケースでは、バックオフィス業務の自動化や事業のためのデータ分析などが挙げられます。特にこういった活用方法は幅広い業界・業種で応用可能です。

ビジネスにおけるAI活用のメリット

ビジネスにおけるAI活用は、企業や従業員、さらには顧客にまでさまざまなメリットをもたらします。ここからは、ビジネスにAIを導入するメリットについて、具体例を交えながら解説していきます。

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業務の自動化

ビジネスにAIを導入することにより、これまで人が行ってきた業務をAIに任せることができます。AIによる業務の自動化が実現されれば、人手不足の解消や人件費削減に繋がります。

データの入力・集計といった単純作業をはじめ、コールセンターのオペレーション、株式の自動売買、医療分野の自動分析、システムの異常検知など、さまざまな分野でAIの活用が始まっています。

一般的に身体を酷使する仕事とされ、担い手の確保に課題が多い農業・建設業・介護・医療現場などにAIを導入すれば、人手不足の解消も期待できます。

ヒューマンエラー・人的ミスの削減

人の手による作業は、ミスを完全に回避することはできません。AIによる異常検知を導入すれば、ヒューマンエラーや人的ミスの削減に繋がります。

ヒューマンエラーや人的ミスは、単純作業や繰り返し作業で発生しやすく、注意散漫や思い込みが原因となるケースが多く見られます。

例えば経理業務にAIを導入すれば、入力・計算ミスといったヒューマンエラーを回避することができるほか、不正行為などのトラブル防止に役立ちます。

また、製造現場の検品作業にAIの画像認識を導入すれば、人的ミスを回避することができ、生産性向上にも繋がります。

従業員の負担・リスクの軽減

ビジネスにAIを導入することは、従業員の負担やリスク軽減にも繋がります。例えば、人事評価や経理業務をAIで自動化すれば、従業員の精神的負担を軽減することができます。

AIは計測値を機械学習することにより、機械の故障・劣化を自動で検知します。そのため、製造業にAIを導入すれば、機械の不具合による事故を未然に防ぐことができます。

製造現場では、機械の事故に人間が巻き込まれる可能性もあります。AIの導入により、従業員の安全性が高められれば、会社全体のリスク軽減にも繋がります。

効率的なデータ収集・高精度な分析の実現 

AIは、膨大なデータを基に分析・予測を行うことを得意としています。精度の高い分析や予測を行うには膨大なデータが必要となりますが、人の手で収集・分類・分析するには時間と手間がかかります。

AIを活用すれば、人が行うより効率的にデータを収集・分類できるだけでなく、収集したデータを基に高精度な分析を行うことができます。

例として、顧客管理にAIを導入すれば複数のチャネルから顧客データを収集できるため、分析による意思決定の改善や早い段階でのリード客の獲得に繋がります。

顧客満足度の向上

AIは顧客に提供するサービスのサポートや自動化もできるため、り質の高いサービス提供に繋げることができます。その結果、顧客満足度が向上し、企業のブランド力を高めることに繋がります。

カスタマーサポートの現場にAIを導入すれば、ある程度まではAIが自動で応答してくれるため、電話口で顧客を待たせることもありません。また、有人対応を好まない顧客に対しては、チャットボットの利用を促すことで顧客の利便性を高めることができます。

接客現場にAIを活用すれば、経験が浅い従業員でもAIのサポートを受けて一定のレベルで顧客対応ができるため、顧客満足度の向上や属人化防止に繋がります

人間が入れない領域での活動

危険を伴う作業や、災害現場など、人間が立ち入ることができない領域では、AIを導入することにより、さまざまなリスク・事故を回避することができます。

災害現場にAIを搭載したドローンを使用すれば、人間が事故に巻き込まれることを回避しつつ、現在の状況やその後のリスクを把握したり、遠隔操作で的確な対応が行えたりします。

感染リスクのある医療現場では、最初にAI診断を実施することで、感染リスクを最小限に抑えることができます。

ビジネスにおけるAI活用のデメリット

以上のようにAIには多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも指摘されています。AIを導入する際は、以下の事項についても把握しておく必要があります。

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雇用の減少

AIが人間の仕事を行うようになれば、人間の仕事がなくなり、社会全体で雇用が減少する可能性があります。人手不足の解消も、行き過ぎれば失業者の増加に繋がります。

AIの導入で雇用が減少することが懸念されている分野としては、運送業や製造業、塾やスクールなどの教育現場、バックオフィス業務などが挙げられます。

一方で個人のセンスや感性が必要とされるクリエイティブな仕事については、AIより人間が有利であると推測されるため、今後も人間が行うことになると考えられます。

情報漏洩のリスク

AIは、ネットワークを介して膨大なデータをやり取りするため、情報漏洩のリスクが高まります。AIサービスを利用する際に入力したユーザーの情報がAIに学習され、それによって重要なデータが流出するといった懸念があります。

また、AIの性能を悪用してサイバー攻撃の手口を編み出したり、攻撃を仕掛けたりする事例が発生する可能性もあります。
AIにおけるセキュリティ対策は各開発者によって行われていますが、ユーザー側も運用体制を整備し、セキュリティ意識を高める取り組みを実施する必要があります。

高度なリスクマネジメントが必要

AIはコンピュータプログラムのため、システムに問題が起きると、正常に機能できなくなります。加えて、AIは通常のコンピュータプログラムよりも高度な仕様です。そのため、複数のAIを導入している企業は、システム障害に備えた高度なリスクマネジメントが必要です。

AIのトラブルによる損害を最小限に抑えるためにも、事前に想定されるリスクを洗い出し、対処法を確認しておきましょう。

社内でAIに対応する人材を確保できなければ、AIのリスクマネジメントを行うサービスの利用も検討してみましょう。

責任の所在が不明確

AIを搭載した機器がトラブルを起こした場合、責任は所有者か製造者が負うことになりますが、どちらに責任の所在があるのか不明確になる場合もあります。

所有者が責任を負う可能性がある場合は、所有者に「不法行為責任」があると認められた場合です。不法行為責任は、以下の3つの要件を満たしている場合に認められます。

  1. 侵害行為に故意または過失があること
  2. 損害が発生していること
  3. 侵害行為と損害との間に因果関係があること

製造者が責任を負う可能性がある場合は、「製造物責任」が認められた場合です。製造物責任は、以下の3つの要件を満たしている場合に認められます。

  1. 製造物に欠陥があること
  2. 他人に損害が発生したこと
  3. 製造物の欠陥と損害との間に因果関係があること

しかし実際には、AIによる自動運転車の事故など、責任の所在がはっきりしないのではないか、と懸念される状況が多々あります

思考のブラックボックス化

人間が物事を分析・判断する場合、問題解決に至るまでの思考プロセスはその人自身が記憶していますが、AIは問題解決に至るまでのスピードが非常に速いうえにそのプロセスの記録が残らないため、思考プロセスがブラックボックス化してしまう可能性があります。

例えば、将棋の対局の場合、人間は時間をかけて次の一手を導き出しますが、AIは数秒で解答に辿りつきます。AIが人間に勝利した場合、人間がAIの思考プロセスを解明できない場合もあります。

AIにトラブルが発生した場合、トラブルに至るまでのAIの処理プロセスがブラックボックス化されてしまうと、原因を究明することが難しくなります。このような問題に備えて、近年、AIの異常の原因を可視化できるサービスも提供されています。

コストがかかる

AIの導入により、人件費削減やコスト削減が期待できますが、導入にはそれなりのコストがかかります。システム開発費や運用・管理費用をはじめ、膨大なデータを収集するための費用も必要となります。

AIの導入にはコストだけでなく、実際に運用できるまでに時間と手間もかかるケースが多いため、費用対効果を考えてから導入を検討しましょう。

AIのレベルを知り適材適所で活用する

AIは「単純な制御プログラム」「古典的なAI」「機械学習によるAI」「深層学習によるAI」の4つのレベルに分類することができます。

AIを導入する際は、それぞれの機能・特徴を理解し、適材適所で活用しなければ、AIの能力を最大限に発揮することができません。下の表を参考に、具体的な活用方法を確認しておきましょう。

レベル特徴活用例
単純な制御プログラムあらかじめ設定されたことを行う・自動温度調整がついた冷蔵庫、エアコン
・自動翻訳機
・医療画像診断
・自動改札
古典的なAI事前に大量の知識を取り込み、それをもとに判断する・お掃除ロボット
・チャットボット
・将棋のプログラム
機械学習によるAI用意された判断軸(サンプル)をもとに、パターンやルールを学習する・検索エンジン
・レジの商品自動識別
・需要予測
深層学習によるAI学習に必要な判断軸をも自らの力で構築する・自動運転車
・ヒト型アンドロイド

まとめ

AIとは、人間の思考プロセスを再現するコンピュータプログラムのことです。AIは機械学習によって成り立っており、さまざまなアルゴリズムによって学習手法が確立されています。

AIはビジネスにも活用でき、業務の自動化・ヒューマンエラーの削減・生産性の向上といったメリットがあります。雇用の減少・情報漏洩といった課題やデメリットも懸念されていますが、AIが今後さらに進化することに変わりはなく、企業での活用も普及していくと考えられます。

さまざまな製品・サービスにAIが使われるようになり、私たちに身近な存在になりつつあるAIですが、これから先さらに多くの場面で活用されるようになるでしょう。

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