脱炭素の意味とは?脱炭素がビジネスや企業に与える影響も解説

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  • 脱炭素とは、地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出量をなくす取り組みのこと
  • 日本の課題は、排出ガス量の多い火力発電や生産業での脱炭素化である
  • 脱炭素が企業に与える影響は大きく、ビジネス面でも製品やサービスの転換が必要である

脱炭素とは、地球温暖化の主な原因である二酸化炭素や温室効果ガスの排出量をなくす取り組みのことです。脱炭素化は地球と人類の未来を守る世界共通の認識でもあります。本記事では、脱炭素の意味や、脱炭素がビジネスや企業に与える影響を簡単にわかりやすく解説します。

目次

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  1. 脱炭素とは
  2. 脱炭素に向けた世界の目標
  3. 脱炭素における日本の課題
  4. 脱炭素に向けた日本の取り組み
  5. 脱炭素化が企業やビジネスに与える影響
  6. まとめ

脱炭素とは

脱炭素とは、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする取り組みのことをいいます。地球の平均気温の上昇を止めるためには、温室効果ガスの中でも、特にCO₂の排出量削減が重要です。

脱炭素に関連した言葉には、「カーボンニュートラル」、「パリ協定」、「SDGs」がありますが、それぞれの意味や脱炭素との違いを把握するのは難しいです。ここでは、それぞれの意味や違いについて詳しく解説します。

参考:国の取組 – 脱炭素ポータル|環境省

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カーボンニュートラルとの違いは

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの削減を目指した取り組みのことです。脱炭素とは同じ意味で用いられることもありますが、明確な意味は異なります。

脱炭素はCO₂の排出量を実質ゼロにすることを目標としていますが、カーボンニュートラルは森林が吸収できるCO₂の量と排出量を相殺し、ゼロにすることを目指しています。

全くCO₂を出さないことと森林の吸収率と相殺することでは、目標数値が大きく異なる場合があるため注意が必要です。

参考:カーボンニュートラルとは|環境省

パリ協定とは

パリ協定とは、1997年に定められた京都議定書の後継にあたるもので、地球温暖化対策のための条約です。2015年にパリで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で、世界の200か国が合意したことからパリ協定と呼ばれています。

地球の気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より低く保つこと、1.5℃に抑えることを目標としています。そして、気温の上昇を抑えるために温室効果ガスの排出量を減らし、カーボンニュートラルを目指すことが定められている条約です。

パリ協定は地球温暖化対策の条約で、脱酸素は地球温暖化の進行を止めるための手段という位置づけであるため、パリ協定とは意味が異なります。

参考:地球温暖化に係る新たな国際的枠組み|環境省

SDGsとは

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。地球上の人々が持続的に暮らすために、多角的な方面の課題を整理し、それぞれの将来的な目標を定めたものです。

2030年までに達成することを目標としており、17個の項目が掲げられています。たとえば、地球温暖化やエネルギー問題、貧困、紛争問題、経済成長などです。

脱炭素はSDGsで設定された項目の一部です。つまり、SDGsは広域な地球課題を解決するための取り組みであるため、意味合いが異なります。

参考:持続可能な開発目標(SDGs)の推進|環境省

脱炭素の重要性

脱炭素は、日本に限らず世界で取り組まれており、一刻も早い達成が求められています。なぜそこまで急に対応を求められているのか、疑問に思うことも多いはずです。以下では、脱炭素の重要性を解説します。

地球温暖化の影響

脱酸素が重要視されている主な理由は、地球温暖化の影響が深刻化しているためです。地球の平均気温は、産業革命以降で1度以上上昇しており、気候変動による異常気象や海面上昇などの問題を引き起こしています。

この状態が続くと、災害が多発したり人間が住む場所がなくなったりする恐れがあり、人々の暮らしに悪い影響を与えると予想されています。そのため、持続的な暮らしを守るためには、脱炭素化の実現が必要不可欠です。

資源がなくなる可能性

従来の消費スピードで化石燃料を使い続ければ、化石燃料を取り尽くしてしまい、エネルギー不足に陥る可能性があるため、脱炭素化する必要があります。

これまでは、化石燃料を用いてエネルギーを生み出すことが世界的な主流でした。しかし、石油・天然ガス・ウラン・石炭などの資源は有限です。

したがって、貴重な化石燃料の資源を守り、安定したエネルギーを供給するためにも、脱炭素化を進めて新たなエネルギーに転換する必要があります。

脱炭素に向けた世界の目標

脱炭素は日本に限らず、世界で推進されている取り組みです。そのため、毎年世界中の国の代表者を集めて気候変動に関する会議が行われています。その会議が「気候変動枠組条約締約国会議(COP)」です。

2021年に開催されたCOP26では、2015年に定められたパリ協定の、「気温上昇を1.5度に留めること」に関して各国からの合意が得られ話題となりました。

各国は気温上昇を1.5度に留めるという目標を踏まえて、具体的な目標年数や数値を掲げています。ここからは、その目標の内容を解説します。

目標
日本・2030年までに▲46.0%(2013年比)
・2050年カーボンニュートラル(法定化)
アメリカ・2030年までに▲50.0%〜52.0%(2005年比)
・2050年カーボンニュートラル(法定化)
中国・2030年までに排出量をピークアウトさせる
・2060年までにカーボンニュートラル
EU・2030年までに▲55.0%以上(1990年比)
・2050年までにカーボンニュートラル(法定化)
イギリス・2035年までに▲78.0%(1990年比)
・2050年までにカーボンニュートラル(法定化)

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CO₂排出量の削減

2020年のデータでは、年間のCO₂排出量が世界全体でおよそ314億トンあり、膨大な排出量となっていますが、2050年までに実質ゼロにすることが世界の目標として掲げられています。

排出量1位は中国で、314億トンのうち32.1%を占めています。2位はアメリカの13.6%、3位はインドの6.6%。日本は5位で3.2%です。

達成目標の年数は、2050年と定められていますが、異なる年数に設定している国もあり、削減する排出量も国ごとに異なります。それは、人口や経済成長の度合いが違うためです。各国が独自に目標を設定し、法律を整備して達成に向けて取り組んでいます。

参考:3-01 世界の二酸化炭素排出量(2020年)|全国地球温暖化防止活動推進センター

メタン排出量の削減 

温室効果ガス=CO₂と考えることが多いかもしれませんが、温室効果ガスにはいくつか種類があります。温室効果ガスのうち、CO₂の次に注目を集めているのがメタンです。

COP26では、2030年までに2020年比▲30.0%にすることを目標として掲げ、100以上の国・地域が合意しました。

メタンの排出量削減が求められている理由は、CO₂より20倍以上も温室効果が高いためです。よって、早急にメタンの排出量を削減することが求められています。

再生可能エネルギーの活用

パリ協定で掲げられたカーボンニュートラルを達成するためには、再生可能エネルギーの活用が欠かせません。

特に、石炭を利用した火力発電はCO₂の排出に大きく起因していると考えられているため、主要国では2030年代までに廃止することを目標に、段階的削減が求められています。また、化石燃料を守るためにも再生可能エネルギーの割合を増やす必要があります。

再生可能エネルギーとしては、以下のようなものが代表的です。

  1. 太陽光・太陽熱発電
  2. 風力発電
  3. 水力発電
  4. 地熱発電
  5. バイオマス発電

水素エネルギーの発展

水素エネルギーは使用時にCO₂を排出しないため、再生可能エネルギー同様、温室効果ガスを削減することに欠かせない新たなエネルギーです。化学反応を起こせば電気エネルギーになり、焼却すれば熱エネルギーにもなります。貯蔵も可能で汎用性が高いエネルギーです。

水素には3つの種類があり、中でも生産時に再生可能エネルギーを使い、CO₂を排出しない「グリーン水素」の活用が世界で進められています。

たとえば、EUでは2030年までに40GWと1000万トンを製造することが目標です。アメリカでは、2030年までに年間1000万トンが目標数値として掲げられています。また、製造や輸送にかかるコスト削減にも積極的です。

日本では、2030年までに300万トン、2040年までに1200万トンの供給を目標としており、電源構成の1%程度を水素やアンモニアでまかなうことを目指しています。

飛行機や車などの脱炭素化

CO₂の排出量において大部分を占めるのは、輸送部門からの排出で、飛行機・自動車・鉄道・船舶などが挙げられます。

飛行機や船舶は国同士を往来するため、国際機関が目標を定めており、飛行機における削減目標は国際民間航空機関が管轄しています。国際航空では、2050年までにCO₂の排出を実質ゼロにすることが目標です。

自動車に関しては、各国でEVの導入やバイオ燃料・水素を活用した、自動車の開発・販売が進められており、自動車メーカーも脱炭素化に向けて取り組みを強化しています。日本においては、2035年時点での新車販売を100%電動車にすることが目標です。

太陽光発電によるエネルギーの自家発電

脱炭素化への取り組みは、政府だけでなく企業や国民も取り組むべき目標です。なぜなら、CO₂排出量は企業や家庭で使うエネルギー量にも左右され、再生可能エネルギーに転換できればCO₂の排出が抑えられるためです。

日本では具体的に、2030年までに家庭からのCO₂排出量を、2013年比で66%削減することを目標にしています。

特に、企業や家庭で取り入れやすい太陽光発電の設置が推進されており、補助金がもらえる自治体もあります。そのため、家や工場の屋根、小中学校や空き地に太陽光パネルを設置する取り組みも進んでいます。

脱炭素における日本の課題

脱炭素に向けた取り組みは地球規模の目標であり、必ず実現させなければなりません。しかし、達成に向けた日本ではさまざまな課題・障壁があります。ここでは、日本における脱炭素化の課題と解決策について詳しく解説します。

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火力発電の脱炭素化

日本の一次エネルギー供給は、石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料を用いた火力発電が8割以上を占めており、火力発電の割合をどのように縮小させるかが大きな課題です。

特に、石炭の利用は2030年代までに廃止することが国際的に目標として定められています。よって、エネルギー転換が必須ですが、火力発電が占める割合が大きいこと、自然エネルギーでは安定した供給が難しい、設置する場所が十分ではないなどの障壁があります

これらの解決に向けて、火力発電に変わる発電方法が模索されており、貯蔵できる水素・アンモニア、排出されたCO₂を活用したカーボンリサイクル、合成メタンなどの開発・導入が進められています。

生産業の脱炭素化

脱炭素を実現するためには、企業から排出されるCO₂を削減することも必要ですが、生産業におけるCO₂排出量削減が課題となっています。生産業の中でも、燃料を焼却する機会が多い鉄工業・紙・パルプの製造、化学工場などの基礎素材産業における脱炭素化が課題です。

解決に向けて、従来の化石燃料を使った生産方法を根本的に変えることも検討されていますが、膨大なコストと時間がかかるため現実的ではありません。そのため、主に無駄なエネルギーを使わないようにする対策が取られています。

たとえば、エネルギー効率の高い設備に変えたり、ファンの回転数やボイラーの温度を見直したりするなどの対策方法です。

エネルギーの転換

日本では、2030年までに自然エネルギーを45%に引き上げることが目標として定められています。しかし、現在の再生可能エネルギーの発電量では、火力発電の代替は困難です。

2020年の時点で、再生可能エネルギーから供給された電力は19.8%です。世界で比べると、再生可能エネルギーでの発電電力量は世界第6位で、太陽光発電は3位と高い水準に思われます。しかし、火力発電を代用できるほどの発電量ではありません。

そのため、家庭や企業で太陽光発電による自家発電を推進していたり、水素やバイオマスなどの新たな発電方法の開発・導入が進められていたりします。

参考:日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」|経済産業省 資源エネルギー庁

脱炭素に向けた日本の取り組み

確実に脱炭素化するためには、家庭や企業・自治体の協力も必要です。そして、実行してもらうためには法律の整備やガイドラインを策定し、ルールや計画性を提示する必要があります。ここからは、脱炭素に向けて日本にはどのような取り組みがあるのかを解説します。

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地球温暖化対策への法の整備

地球温暖化対策推進法は1998年に成立した法律で、名前の通り地球温暖化を抑止するために定められたものです。COPの開催や温暖化対策の進捗状況に合わせて、何度も改正されました。

特に、2021年の改正では、COP26で宣言された2050年のカーボンニュートラルを踏まえた基本理念に変更され、大きく内容が変更されました。

具体的には、地域における再生可能エネルギーの活用推進や、企業の温室効果ガス排出量のデータ開示などが追加されています。

参考:地球温暖化対策推進法と地球温暖化対策計画|環境省

地域脱炭素ロードマップの策定

地域脱炭素ロードマップとは、2030年までに地域が集中して取り組む施策に関する具体的な計画を示すものです。そして、ロードマップに示されている脱炭素の対策として、脱炭素の先行地域「ゼロカーボンシティ」を作ることが記されています。

ゼロカーボンシティになるためには、「2050年までにCO₂排出実質ゼロを目指す」ことを自治体が表明しなければなりません。2024年3月時点では、1,078の自治体が表明しています。

ゼロカーボンシティになることで、自治体は環境省から支援が受けられたり、環境に配慮した地域として魅力が高められたりするため、地域活性化の効果も期待されている取り組みです。

参考:地方公共団体における2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明の状況|環境省

脱炭素化ガイドラインの策定

脱炭素化のガイドラインとは、企業や経営者に向けて環境省が作成したガイドラインです。企業において、投資家がESG投資の観点から投資先を選定する動きが主流になっていますが、大規模な企業に限らず中小企業にとっても脱炭素化は重要な投資の指標になります。

そのため、環境省は脱炭素化に関する知識や取り組むメリット、取り組みを推進する方法などをまとめたガイドラインを4つ作成しました。

①「中小規模事業者向けの脱炭素経営導入ハンドブック~これから脱炭素化へ取り組む事業者の皆様へ~Ver.1.0」

②「SBT等の達成に向けたGHG排出削減計画策定ガイドブック 2022年度版」

③「カーボンフットプリント ガイドライン」 

④「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド 2022年度版」

引用:企業の脱炭素経営への取組状況|環境省

参考:中小規模事業者のための 脱炭素経営ハンドブック|環境省

グリーンファイナンスの推進

グリーンファイナンスとは、グリーンプロジェクト(地球温暖化対策・再生可能エネルギー等の環境分野への取り組み)に特化した金融のことです。債権をグリーンボンド、借入をグリーンローンといいます。

グリーンファイナンスの推進により、企業が脱炭素経営に取り組みやすくなったり、融資後のレポーティングで取り組み内容が開示されるため、企業価値の向上も見込めたりします。

特に、債権を発行するグリーンボンドは、ESG投資の観点からも注目度の高い取り組みです。

参考:地域脱炭素投資促進ファンド事業の概要 – グリーンファイナンス|環境省

参考:グリーンボンド等促進体制整備支援事業|環境省

カーボンプライシングの検討

カーボンプライシング(炭素の価格設定)とは、炭素の排出に対して価格を設定することで、どのように価格を設定するかを検討するという意味です。

脱炭素化は地球温暖化対策に限らず、日本の労働人口減少や地方創生などの課題を解決するためにも必要不可欠です。脱炭素化を実現するためには、国民や企業の行動を変える必要がありますが、行動を変えるきっかけがなければ実現は難しいでしょう。

そこで、カーボンプライシングを導入し、国民や企業の行動の変化を誘発しようと試みています。環境省では各所の専門家を集め、カーボンプライシングのあり方や活用方法、排出量に対して炭素税を課すかなどの検討会を実施しています。

参考:カーボンプライシングのあり方に関する検討会|環境省

国際協調への参加

脱炭素化を世界で達成するために、国と国同士で協力し合うことも推進されており、二国間クレジット制度という制度が設けられています

二国間クレジット制度とは、日本と途上国が協力し、日本の脱炭素技術を普及させ、パートナー国のCO₂排出量を削減することを目的とした制度です。

2023年4月の時点で26か国と署名が交わされ、モンゴル・ケニア・ベトナム・メキシコなどにおいて、CO₂排出量削減の取り組みが進められています。

参考:二国間クレジット制度(JCM)|外務省

脱炭素化が企業やビジネスに与える影響

脱炭素化は企業の協力なくして達成はできません。また、企業も脱炭素化が進む社会の中で、環境に配慮したビジネスや業務ができなければ、投資対象として選択されない可能性があるため、脱炭素化はビジネスとも密接に関係しています。

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国際イニシアティブへの参画

国際イニシアティブとは、企業における脱炭素化へ向けた活動を意味します。企業が取り組む脱炭素化の活動は1つとは限りません。つまり、国際イニシアティブにはいくつもの種類が存在します。

国際イニシアティブに取り組んでいることを表明することは、ESG投資の重要な指標となり、企業価値にも大きく影響します。ここでは、国際イニシアティブの種類について解説します。

参考:脱炭素経営の広がり|環境省

参考:企業の脱炭素経営の促進|環境省

RE100

RE100は「Renewable Energy 100%」の略称で、企業が自社で使用する電力の100%を再生可能エネルギーでまかなうことを意味する、国際イニシアティブです。2050年までに達成することが求められています。

2023年3月時点で世界の403社が参加しており、うち78社が日本企業です。日本の場合、参加するためには電力消費量が50GWh以上であることが条件です。

SBTやTCFD

SBTは「Scienced Based Targets」の略称で、パリ協定と整合した温室効果ガス排出削減目標を意味する国際イニシアティブです。つまり、地球の気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より低く保つこと、1.5℃に抑える努力をすることを目標としています。

CO₂排出量の削減に取り組み、地球温暖化対策を推進していることをアピールできるイニシアティブです。TCFDは「Task Force on Climate-related Financial Disclosure」の略称で、気候関連財務情報開示タスクフォースという意味の国際イニシアティブです。

企業の気候変動に関する取り組みや影響の情報をまとめて開示し、投資家が気候変動に取り組む企業を取捨選択できるようにすることを目的としています。

再生可能エネルギー発電設備の導入

脱炭素化に向けて、再生可能エネルギーによる自家発電を導入する企業が増加しています。

企業では、従業員が働くオフィス・製品を製造する工場で膨大なエネルギーを毎日消費しており、その量は企業の規模が大きいほど増える傾向です。

したがって、多くの企業では、自社で使う分のエネルギーを自ら作り出そうとする動きが進んでいます。たとえば、工場の屋根に太陽光パネルを設置したり、空き地を購入して太陽光パネルや風力発電機を設置したりするなど、さまざまな取り組みが行われています。

業務環境の見直しによる節電

従業員が働くオフィスでは、照明やコピー機・パソコン・空調など、さまざまな場面でエネルギーが使われています。そのため、働く環境を変えたりエネルギー効率が高い機械に切り替えたりする、業務環境の見直しが求められています

たとえば、クールビズを実施して、低すぎるエアコンの設定温度を見直している企業があります。その他にも、働き方改革でテレワークを増やしたり、残業時間を削減したりしてオフィス自体の利用を減らし、節電するといった方法も取られています。

サービスや製品の見直し

企業が消費者に提供するサービスや製品も、環境に配慮したものが開発・販売されている傾向にあります。なぜなら、自動車のようにCO₂を排出することがわかっていても、利用者が乗る回数を減らすことは難しいケースがあるためです。

また、BtoBのビジネス形態においても、企業の中には環境に配慮したサービス・製品を展開している企業でなければ、取引先として取引しないと公言している企業もあります

脱炭素化への取り組みは、消費者・取引先・投資家に影響を与える企業価値であるため、サービスや製品自体を見直すことが求められています

まとめ

脱炭素は、地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出量をなくす取り組みのことです。COP26の開催以降、世界で脱炭素化に向けた取り組みが加速化しており、日本においても再生可能エネルギーの活用や、水素を活用した新エネルギーの開発が進められています。

政府主導で推進されている取り組みですが、脱炭素化を実現するためには、社会全体で行動を変えなければなりません。ビジネスにおいても、環境対策が企業価値に大きく影響するため、今後の企業では脱炭素化を強く意識し、積極的に取り組む必要があります。

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