DXの資格とは?種類・メリット・取得を推進する際のポイントも解説

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  • DXには、DX検定やデジタルトランスフォーメーション検定などの専門的な資格がある
  • DXコンサルタントを目指す場合、DXに関連する資格を持ち合わせていると有利である
  • 社内でDXの資格取得を推進する際は、適正な人材と目的に合った資格を選ぶことが重要

DXには「DX検定」や「デジタルトランスフォーメーション検定」「+DX認定資格」といった、専門的な知識を問う資格があります。本記事では、社内のDX推進に役立つ資格について詳しく紹介しながら、取得するメリットや注意したいポイントについて解説します。

目次

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  1. DXの資格とは
  2. DXに関するITスキルを問う資格
  3. DX資格の取得が必要とされる背景
  4. DXの資格を取得するメリット
  5. 社内でDXの資格取得を推進する際のポイント
  6. まとめ

DXの資格とは

DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略で、企業のデジタル化を推進することを指します。DXのスキルを問う資格には以下の3つがあります。

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DX検定

DX検定とは、日本イノベーション融合学会が実施するDXに関する知識を測定する試験です。DX検定は、DXの基礎知識・戦略立案・人材育成・組織変革・技術活用まで、幅広い分野をカバーして実施されています。

また、DXプロフェッショナルレベル・DXエキスパートレベル・DXスタンダードレベルの3つに分かれており、試験のスコアに応じて認定が行われます。試験は1,000点満点で、合格や不合格といった概念はありません。

  1. スコア800以上…DXプロフェッショナル レベル
  2. スコア700以上…DXエキスパート レベル
  3. スコア600以上…DXスタンダード レベル

こんな人におすすめ

DX検定は、合格することでDXに関する知識とスキルを持っていると証明できます。また、DX検定に合格すればDXを推進する企業や組織から高い評価を得られるため、そのような企業や組織で働きたいと考えている方におすすめです。

そして、DXの分野でキャリアアップしたい方にも向いている資格でもあることから、今後転職や就職を考えているなら取得しておいて損はないでしょう。

デジタルトランスフォーメーション検定

デジタルトランスフォーメーション検定は、一般財団法人 全日本情報学習振興協会が認定する資格です。DXの基礎知識はもちろん、DX人材に必要な人工知能(AI)やloTなどに関する幅広い知識が求められます。

これからDX化を展開していく企業や団体、DXを推進する部署や責任者などをターゲットとした認定資格です。クラウドコンピューティングなど、エンジニアの仕事に関する分野も多く出題されます。

また、デジタルトランスフォーメーション検定には、「DX推進アドバイザー認定資格」と「DXオフィサー認定資格」の2種類が存在します。DX推進アドバイザーは比較的誰でも受験できる基礎的な試験ですが、DXオフィサーはより深い知識が必要になります。

こんな人におすすめ

デジタルトランスフォーメーション検定は、DX検定と同様に、DXに関わる仕事に就きたい方や担当部署の方におすすめの資格です。DXを推進する企業や組織で働きたい方はもちろん、DX化の部署に配属されたばかりでスキルアップを目指している方にも向いています。

試験は、就業先や自宅からインターネットを介し、Webサイトで受験可能です。気軽にどこからでも受けられるため、フリーランスやテレワークの方にもおすすめの資格となります。段階的に、まずはDX推進アドバイザーから取得してみましょう。

+DX認定資格

+DX認定資格は、IoT検定を実施するIoT検定制度委員会が運営している資格です。DX化の基礎知識だけでなく、AIやloTなど幅広い知識が求められます。そして、DX推進の調整に関する知識、DXの継続性・可変性に対して柔軟に対応する知識なども必要です。

+DX認定資格はIoT検定制度委員会が運営している資格であり、特にAIやloTに関する知識に力を入れています。受験資格は設けられておらず、誰でも受験可能な資格であり、自宅からでも受験できるため、気軽に受けられるのも大きな特徴です。

こんな人におすすめ

+DX認定資格はDX推進担当者に必須といえる資格です。そのため、現在DX推進担当者として業務を行っている方はもちろん、これから担当者として活躍したい方にも向いています。また、loTに関わるITエンジニアの方にもおすすめの資格です。

合格者にはブロックチェーン証明書で認定書が発行されるため、DX推進メンバーとして最前線で働きたいと考えている方は、受験を検討するのがおすすめです。

DXに関するITスキルを問う資格

DXに関する資格の中には、DXのスキルを直接問うものではないものの、所持しているとDX推進で役立つ資格もあります。以下で、DXに関するITスキルを問う資格を10個解説します。

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ITストラテジスト試験

ITストラテジスト試験は、ITを活用して企業経営を変革する戦略立案・推進能力を認定する国家資格で、情報処理推進機構が実施しています。DX化の中でも、特にITを活用した競争力の強化や事業拡大に関する知識に特化した試験です。

ITストラテジスト試験は高度IT人材試験の区分にあたり、上級レベルの資格となります。試験は複数回にわたって行われ、選択式と記述式の試験が用意されています。

DX推進のためにはIT技術が必須要素であり、ITストラテジスト試験は、特にIT技術を用いたDX推進の基本戦略を担当する方に向いています。非常に難易度の高い資格であるため、スキルアップやキャリアアップを目指している方にもおすすめです。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャー試験は、情報処理技術者試験に区分される国家資格です。情報処理技術者試験の高度区分に属する資格であり、先述したITストラテジスト(ST)より、さらに2段階もレベルが高い認定資格となっています。

合格するためには、プロジェクトマネジメントに関するスキルと知識が必要であるため、独学での合格は難しいでしょう。試験に合格すると、プロジェクトマネジメントの知識とスキルを保有していることを証明できます。

プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトの計画・実行・管理・完了までを責任もって行う職種です。プロジェクトの遂行には欠かせない職種であり、資格を持っていることで転職や就職にも有利に働きます。

ITコーディネータ

ITコーディネータは、特定非営利活動法人ITコーディネータ協会が実施する資格試験です。経済産業省が推進する資格とされており、合格することでITや会社経営に精通したプロフェッショナルであることを証明できます。

ITコーディネータ検定試験と専門スキル特別認定試験の2種類があり、専門スキル特別認定試験はより難易度の高い資格となります。

ITコーディネータは、経営戦略とIT戦略を連携させ、ITを活用して企業の経営革新を実現するスペシャリストです。資格を取得することで、ITコーディネータとしての知識とスキルを認定され、IT関連の企業への転職やキャリアアップに有利になるでしょう。

AWS認定

AWS認定とは、「Amazon Web Services(AWS)」を活用したビジネスの構築や運用に必要なスキルを認定する資格です。AWSとは、Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスで、人工知能などの幅広いサービスを提供しています。

AWS認定は、AWSの利用者やパートナー企業に向けて提供されており、AWSに関する知識やスキルを身につけた人材を認定するものです。資格を取得することで、AWSに関するスキルを身につけることができ、AWSを活用したビジネスの構築や運用に貢献します。

AI実装検定

AI実装検定は、AIの基礎知識・機械学習・ディープラーニング・自然言語処理・画像認識・音声認識・ロボット制御など、AIの実装に必要な技術を測定する試験です。今後、評価されやすいとされている、AIに造詣が深い人材になるための重要な資格となります。

B級・A級・S級の3レベルが用意されており、S級が最も難易度の高いレベルです。S級はAIの最難関資格と言われており、AIの実装力だけでなく画像処理をメインとした実践的な力や応用的な実装能力も求められます。

Python3エンジニア認定試験

Python3エンジニア認定試験は、プログラミングの基礎とも言えるPython3の知識を問う資格です。一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施する民間資格試験であり、Python3の基礎的知識や文法などが問われます。

初心者向けの資格として知られており、合格率が約7割と高めなのが特徴です。試験は随時受けられるようになっており、インターネットを介して自宅で受験できます。出題された問題のうち、正解率が70%を超えると合格です。

データスペシャリスト試験

データスペシャリスト試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する、データベースの設計・開発・運用・管理・セキュリティ・データ分析など、データに関する幅広い知識とスキルを認定する試験です。

パフォーマンスの高いデータベースシステムの構築などを行う方、高度IT人材として確立した専門分野を持つ方のための資格となります。IT系資格でもトップクラスの難易度であり、合格のためには専門知識やITに関する高度な技術が必要です。

情報技術者試験

情報技術者試験とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する、情報技術に関する国家資格です。情報技術分野の技術者として認定されるための試験であり、基本情報技術者試験と応用情報技術者試験の2種類に分けられます。

基本情報技術者試験は基礎的な知識のあるITエンジニア、応用情報技術者試験はスキルアップを目指す方におすすめです。応用情報技術者試験に合格すると、技術的な問題に対して、自身で考案した解決方法を提案できるレベルであることを証明できます。

CIWJavaScriptSpecialist

CIW JavaScript Specialistはプログラミングの基礎であり、フロントエンドエンジニアなどが多く使う、JavaScriptのスキルを問う資格試験です。Webサービス開発においては、JavaScriptの需要が高まっており、ITエンジニアは取得しておいて損はないでしょう。

また、JavaScriptに関する基本的な知識だけでなく、ライブラリやフレームワークに関する知識も求められます。ライブラリやフレームワークを上手く活用できると開発がスピーディーになるため、資格を持っていることで技術力が高いことをアピールできます。

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は、インフラエンジニアにおすすめな資格です。ネットワークやセキュリティなどを構築するスキルは、DX推進の基盤となります。そのため、ネットワークスペシャリストの資格があることでDX化においても役立つでしょう。

試験の内容としては、システム基盤の企画・要件定義・運用・保守などが挙げられます。ネットワークに関する幅広い知識が求められるため、難易度はやや高めです。また、資格を取得すれば状況に応じて柔軟な対応ができることを証明できます。

DX資格の取得が必要とされる背景

ここまでさまざまなDX資格を解説してきましたが、DX資格の取得が必要とされる背景には、2025年の崖やDX人材の不足などの問題があります。ここでは、DX資格の取得が必要とされる背景を解説します。

2025年の崖

「2025年の崖」は経済産業省の「DXレポート」で定義された言葉です。DXレポートによると、企業が今後競争力を維持・強化していくためにはDX化が不可欠ですが、企業で古くから活用されているレガシーシステムがDX化の推進を阻害しているとされます。

このレガシーシステムが抱える問題を解決できない場合、DX化が実現されないばかりか、2025年以降には年間最大12兆円の経済損失が発生すると予測されているのです。レガシーシステムの刷新に伴う業務改革は企業全体で取り組む必要があり、資格取得が促されます。

参考:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~|経済産業省

DX人材の不足

DX人材とは、DXを推進していくための考え方やスキルを持つ人材のことです。前述した「2025年の崖」に加えてDX人材の不足も、企業のDX化の実現を妨げる要因になるとされています。

DX人材の不足を招いている要因は、日本の人口減少に伴う労働者減少や、急速に拡大するDX人材へのニーズなどです。このような人手不足の解消にはDX人材の育成が重要であり、DX資格の取得も有益な育成手段となります。

参考:デジタル人材の育成|経済産業省

DXの資格を取得するメリット

DXの資格には、さまざまな種類があります。取得する資格によって必要なスキルが異なりますが、どの資格も取得することで多くのメリットを得られるでしょう。ここでは、DXの資格を取得するメリットを4つ紹介します。

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DXコンサルタントとして活躍できる

DXに関する資格を取得すれば、DXコンサルタントとして活躍できる可能性があります。DXは、デジタル技術を活用して企業のビジネスモデルや組織、プロセスを変革することを指し、DXコンサルタントとは、企業のDX化を支援するコンサルタントです。

DXコンサルタントは企業のDX化を成功させるために、経営戦略の策定や組織体制の構築、システム導入や人材育成などの支援を行います。DXコンサルタントは幅広い知識や技術を必要とするため、資格を持っていると信頼度の向上に貢献します。

また、資格の保有によりスキルや技術があることの証明となるため、業務内容に適した資格を取得すれば、大きな仕事を任せて貰える可能性も高まるでしょう。

デジタル化に対応した経営判断が可能

DXの資格を取得した人材が社内にいることで、社内業務におけるさまざまな面でデジタル化に対応できます。例えば、人事労務や経理、営業活動など、複数の業務に関してDX化の推進を実現することが可能です。

そして、変化・競争の激しい情報社会において、市場の動きや顧客ニーズを迅速に分析しながら、経営判断を早めることにも貢献します。つまり、知識だけでなく実践的な能力を持ち合わせていることで、具体的なDXに向けた取り組みを行えます

社内のコミュニケーション強化に貢献

DXの推進、資格取得に向けた取り組みには、1人の従業員だけでなく多くの人材が関わることになります。そして、社内全体が一丸となって取り組む必要があり、情報共有を透明化することで、効果的なDXを実現できます。

また、こうした取り組みを行うことにより、社内のコミュニケーションが強化され、部署間などにおける隔たりをなくし、情報共有が円滑化されます。その結果、トラブル時にも迅速な対応がしやすくなったり、収益向上にもつなげやすくなったりします。

キャリアアップ時の就職・転職に役立つ

資格を持っていることで、DXコンサルタントへの転職や就職、キャリアアップなどを狙うこともできるでしょう。そのため、自身のレベルに合わせて、やりたい仕事の方向性に適した資格を取得することが大切です。

また、就職をする際にもDXに関する資格は役立ちます。特に、AIエンジニアやUXデザイナーを目指している場合には、積極的にDXに関する資格を取得するのがおすすめです。

社内でDXの資格取得を推進する際のポイント

社内でDXの資格取得を推進するためには、適正がある人材に受験させたり、目的に合った資格を選んだりする必要があります。ここでは、社内でDXの資格取得を推進する際のポイントを5つ紹介します。

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適性がある人材に受験させる

DXに関する資格の多くは、専門的な知識や技術が必要になります。そのため、適性がある人材に受験させることが重要なポイントです。適性のない社員に受けさせても、時間と費用の無駄になってしまう可能性があるでしょう。

誰にどの試験を受けさせるのかをよく考え、効率よく資格が取得できる流れを作るのがおすすめです。例えば、ITの知識が少ない従業員に対して、プログラミング言語やAIに関する資格を受けさせても合格率は低いでしょう。

よって、それぞれの従業員の適性を見極めながら、適切な資格を受験させるようにしましょう。その際は、従業員自身の希望などを聞いておくことも大切です。

DX推進・資格取得の目的を明確にする

社内でDXの資格取得を推進する際のポイントとしては、DX推進・資格取得の目的を明確にすることも挙げられます。なぜDX推進が必要なのか、何のために資格を取るのかを明確にすることで、資格取得に対するモチベーションが向上するでしょう。

受験して合格するのが第一目標であるため、従業員のモチベーションを保ちながら、学習をサポートすることも重要です。よって、資格を取得したら従業員がどんなメリットを得られるのかを明確にし、モチベーションを保つようにしましょう。

目的に合った資格を選ぶ

DX推進の目的を明確にするのはもちろん、その目的に合った資格を選ぶことも大切です。DX推進のリーダーが欲しいのか、プログラミングができる技術者が欲しいのかなど、目的を明確にした上で取得させる資格を検討してみましょう。

例えば、プログラミングができる技術者が欲しいなら「Python3エンジニア認定試験」、AI実装に関するプロフェッショナルが欲しいなら「AI実装検定」がおすすめです。

サポート体制を整える

従業員に資格取得を勧める場合には、サポート体制を整える必要があります。例えば、受験費用の補助を行うと、従業員の資格取得に対するハードルが下がるでしょう。受験費用は割と高額であるため、複数の資格を受験する場合は特に手厚いサポートが必要です。

また、試験に合格した場合はインセンティブをつけるなどの体制も検討しましょう。合格すれば自身にもメリットがあると認識すれば、従業員のモチベーションが大きく向上します。

研修を行う

社内でDXの資格取得を推進する際のポイントとして、社内研修を行うことも挙げられます。資格取得を目的とした研修を行うことで、合格に向けた対策が可能です。複数人で同時に受験する場合はグループ研修を行えば、お互いに刺激し合いながら勉強を進められます。

また、研修の実施によって社内のDX化も進めやすくなります。なお、研修では資格取得に向けた知識や技術をつけるためだけでなく、DX化に関する情報の周知も可能です。

まとめ

近年では、企業のDX推進が進められており、DXコンサルタントを用意する企業も増えてきました。DX推進のためには専門的な知識や技術が求められるため、社内の人材に資格を取得して貰うことも重要なポイントです。

DXに関する資格には、DX検定・デジタルトランスフォーメーション検定・+DX認定資格など多くの種類があり、目的のものを選んで受験する必要があります。本記事を参考にしながら、社内におけるDXの資格取得を推進してみましょう。

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