ピアボーナスとは?注目されている理由やメリット、選び方を解説

Check!

  • ピアボーナスとは、社員同士で報酬を送り合うことができる制度・仕組みである
  • ピアボーナスの導入で、社内の組織力や従業員のモチベーション向上に期待できる
  • ピアボーナス導入の際は、自社の導入目的や従業員が使いやすいかを確認する

ピアボーナスとは、社員同士で報酬を送り合うことができる制度です。アメリカでは主流になりつつあり、Googleが評価指標に導入していることでも注目されています。本記事では、ピアボーナスのメリット・デメリット、ピアボーナスツールの選び方などを解説しています。

目次

開く

閉じる

  1. ピアボーナスとは?
  2. ピアボーナスツールの主な機能
  3. ピアボーナスのメリット
  4. ピアボーナスのデメリット
  5. ピアボーナスツール導入企業のありがちな失敗例
  6. ピアボーナスツールの選び方
  7. まとめ

ピアボーナスとは?

ピアボーナスとは、従業員同士がお互いに少額の報酬を送り合うことができる人事評価制度のことです。「peer」は仲間、「bonus」は特別手当という意味があり、送られた報酬を金銭やギフトカードなどに交換できるため「第三の給料」ともいわれています。

ピアボーナスは、アメリカの大企業「Google」が発祥といわれており、アメリカでは盛んに導入されている制度です。近年では働き方改革などによる職場環境の見直しから、日本でも導入する企業が増えています。

ピアボーナスシステムの導入によって、従業員のモチベーションアップやコミュニケーションの活性化などのさまざまな効果が期待できます。

これらの効果は人材の離職率低下などに効果のある施策で、現代社会に求められる雇用形態の多様化や組織改革などに対応する役割を担っています

ピアボーナスが注目されている理由

ピアボーナスが注目されている理由は、企業の問題を解決できる可能性があるためです。ピアボーナスの導入によって、コミュニケーション不足の解消や人事評価の仕組み改善などに繋がり、組織改善や離職率の低下が期待できます。

テレワークでのコミュニケーション不足を解消できる

ピアボーナスは従業員同士で報酬を送り合うことで、テレワークによる従業員同士のコミュニケーション不足の解消に効果的です。

働き方の多様化によって、テレワークを導入している企業が増えています。しかし、従業員同士が直接顔を合わせる機会が減少してしまい、コミュニケーション不足が懸念されているのが現状です。

しかし、従業員同士で報酬や賞賛を贈り合うことで、コミュニケーションが発生する機会を増やせます。従業員の良い行動の賞賛や成果として送るポジティブなものなので、送り手と受け取り手同士の印象が良くなり、コミュニケーションの円滑化に繋がります。

結果的に職場環境が改善し、離職率の低下などに繋がるため、今注目されている人事評価の制度です。

数字に残らない部分も評価できる

ピアボーナスは、数字や表彰などでは現れない部分を評価できるため、従業員のモチベーションアップに繋がります。従来の人事評価制度では、直属の上司の評価や売上など業績に係るもので評価されるものがほとんどで、処遇などに満足していない従業員が多いです。

しかし、ピアボーナスの導入によって実際に一緒に働く同僚から評価されるため、普段表面化しにくい部分が評価されるようになります。報酬を受け取ることで同僚から評価される人として可視化されるため、人事評価の改善や組織自体の意識の向上が期待できるでしょう。

ピアボーナスと社内SNSの違い

ピアボーナスと社内SNSはどちらも、社内のコミュニケーションを活性化することを目的としたツールであるため、似ていると感じる方もいるでしょう。両者の明確な違いは報酬が発生するかどうかです。

ピアボーナスは、その内容や送られた回数が人事評価や組織改善などに活用され、報酬を受け取れます。一方で、社内SNSでも社員間で賞賛を送りあうことはできますが、報酬は発生せず、人事評価や組織改善などにも影響を与えないのが一般的です。

ピアボーナスツールの主な機能

ピアボーナスツールは、アプリやチャットなどを使ってボーナスを送受信できるツールですが、導入したことのない人にとっては具体的にどのような仕組みなのかイメージできない部分もあるでしょう。ここでは、システムの主な機能と具体的な内容について解説します。

\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/

機能主な内容
ポイントの送信・報酬やポイントの送受信
・送受信を賛同する拍手機能
・報酬を交換する機能
送受信内容と件数の管理・過去の報酬の送受信の内容
・件数の閲覧
・報酬の送受信数がランキング形式やグラフでの表示
・報酬の送受信を社内の掲示板やタイムラインで共有
社内全体の利用状況の管理・利用状況確認機能
・社内の利用状態の集計
・報酬のルールやポイントの上限の管理

ポイントの送信

スマートフォン・PCのアプリやチャットツールを使って、従業員同士で簡単に報酬の送受信ができます。

報酬の送信時には、感謝の言葉などのコメントを添えることができ、コミュニケーションの活性化やチーム強化に役立ちます。報酬のポイントは現金やギフトカードなどに交換が可能です。

一部のツールには、報酬のやり取りに賛同する拍手機能が搭載されており、ポジティブなコミュニケーションの機会を増やすことができます。社内に共有する際にハッシュタグ機能を使用することで、企業理念や行動規範と紐づけることも可能です。

送受信内容と件数の管理

ピアボーナスツールでは、過去の報酬の送受信内容と件数を閲覧することができます。蓄積された報酬や賞賛が社員の自信となり、社員のエンゲージメントを高める効果が期待できます。

また、報酬の送受信数がランキング形式やグラフで表示できるツールもあり、頑張りを可視化することでさらなるモチベーションアップを促せます。

報酬や賞賛のメッセージを全社員に共有する掲示板やタイムラインで共有すれば、従業員の所属意識を向上させたり、送り合いを促進させたりすることができ、ピアボーナスの円滑な運用に役立つでしょう。

社内全体の利用状況の管理

経営陣側は、システム上で社内全体の送受信の内容や利用状況のデータの確認が可能です。面倒な集計などをシステム上で行ってくれるため、内容確認や集計にかかる処理の時間を大幅に削減することができます。

社内全体の利用状況を確認し、利用頻度が低い従業員の意見の聞き取りなどを行うことで、運用が形骸化をするのを防ぐことができます。社内の利用状況が分かれば、今まで見えなかった仲間同士の評価を把握することができ、人事評価の効率化にも役立つでしょう。

また、報酬のルールやポイントの上限の管理も可能です。実際にGoogle社が取り入れた例では「一度報酬を送った相手には6ヶ月間は送れない」などのルールがあります。このような報酬の管理によって、ピアボーナスの人事評価に偏りが出るのを避けることができます

ピアボーナスのメリット

ピアボーナスのシステム導入には多くのメリットがあります。システム導入によって職場環境が改善され、離職率の低下や社内全体の組織力向上などが期待できます。

\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/

従業員同士のコミュニケーション活発化

ピアボーナスは、従業員同士が報酬を送り合うことで、送った回数分コミュニケーションも増えて活性化します。所属する部署だけでなく、交流がない他の部署にも送り合うことができるため、互いの部署の仕事内容や役割などを認識する機会にもなるのがメリットです。

従業員のちょっとした気遣いなどポジティブな行動を評価できるため、互いに良い印象を与えられるのもピアボーナスの魅力です。賞賛の内容が社内で共有できれば、そのやり取りを見たほかの社員とのコミュニケーションのきっかけとなり、社内の繋がりを強化できます。

人材の離職を防ぐ

ピアボーナスの導入により、人材の離職を防ぐ効果が期待できます。従来の人事評価は、売上や成果などの目で見て分かる数字や直属の上司による評価で行われる場合がほとんどです。

しかし、自分の努力が評価されない企業は従業員の満足度が下がってしまい、離職率の低下に繋がる恐れがあります。

ピアボーナス導入は、こうした数字では表せない部分や業績には直接繋がらない部分も漏れなく評価できるため従業員の満足度が上がり、離職率の低下を防ぐことが可能になるでしょう。

従業員のモチベーション向上

ピアボーナスの導入により、従業員のモチベーションの向上が期待できます。金銭的な報酬や仲間から評価されることによって従業員の自信へと繋がり、仕事への意欲が高まります。

また、人事評価の権限の一部を従業員が持つことが可能になるので、仕事へのやりがいに繋がるのもメリットです。過去の報酬の受け取り履歴なども確認できるため、中長期的な意欲の向上に繋がります。

賞賛文化が社内に根付く

ピアボーナスによって従業員同士が褒め合うことで、社内に賞賛文化が根付きます。それによって社内の雰囲気が明るくなり、従業員同士を尊重し合う関係性を築くことができます。

互いに尊重し褒め合える文化が根付けば、仕事への充実感や仲間への愛着が深まります。その結果、従業員のモチベーションアップや離職率の低下に繋げることも可能です。

社内全体の組織力向上

ピアボーナスのシステム上では、賞賛や報酬のやり取りが確認できます。そのため、他部署の従業員やその業務内容、自部署との関係が可視化できるようになり、部署を超えた関係性の構築や部署間での連携がスムーズに取れるようになります。

会社の規模が大きくなると、タテワリ化によって部署間の連携がスムーズに取れない場合も多いです。ピアボーナスによって他部署の役割や業務内容に関心を持つことで、タテワリ化が解消され、社内全体の組織力や団結力の向上に繋がることが期待できます。

ピアボーナスのデメリット

以上のようにピアボーナスのシステム導入には多くのメリットがありますが、一方でシステム導入の仕方によってデメリットが発生するケースもあります。ピアボーナスの導入を検討する際は、以下の事項に注意しましょう。

\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/

効果が見えるまで時間がかかる

ピアボーナスはシステムを導入してから、効果が見えるまで時間がかかるのがデメリットです。ピアボーナスはまだ世間に浸透していない制度のため、従業員全員がツールを使いこなせるまで時間がかかります

ピアボーナスのシステムを導入する際は、ピアボーナスの仕組み、システムの使い方、導入する背景、メリットなどを従業員へ周知して、理解を深めることが大切です。ピアボーナスの仕組みが理解できていないと、利用者が偏ってしまう恐れがあるでしょう。

効果的にピアボーナスの導入するためには、社員が利用しやすいピアボーナスのツールの選定し、利用の少ない部署などにはサポート体制を強化するなどの努力が必要になります。

導入にコストがかかる

ピアボーナスの導入にコストがかかることはもちろん、報酬が金銭の場合は原資を用意しなければなりません。まず、ピアボーナスシステム導入の初期費用、利用料などの運用のコストがかかります。

また、ピアボーナスへの報酬は、従業員が多い企業ほど福利厚生費の費用が多くかかります。インセンティブの設定額によってどのくらいのコストがかかるのか、コスト分の効果が得られるのかをよく検討する必要があります。

ピアボーナスのメリットは多様にありますが、コスト以上の効果が出なければ意味がありません。自社にとって今導入する必要があるのか、慎重に判断しましょう。

評価に固執した従業員が現れる可能性がある

ピアボーナスの報酬を得たいがために、評価に固執した従業員が現れる可能性があります。少額の報酬でも多くの人から受け取ることができれば、それなりの報酬になることが要因です。

そのため、報酬や評価を気にして業務に集中しない、評価されないからといって意欲をなくしてしまう社員が出てくる可能性があります。

このようなことを回避するためには、推奨される送り方などのガイドラインを設置し、適切に運用されるように努めなければなりません

導入後に形骸化する恐れがある

ピアボーナス導入後に形骸化する恐れがあるのもデメリットです。ピアボーナス導入後すぐに従業員に丸投げしてしまうと、社内に浸透せず形骸化してしまうリスクがあります。

ツールの操作が難しく利用者が偏ったり、そもそもピアボーナスの目的や導入背景が理解できていなかったりすることが形骸化する要因です。

形骸化を防ぐためには、適切な利用を促す体制の整備や運用後の利用履歴チェックなどを行い、社員全員が利用しやすい仕組み作りをしなければなりません。

ピアボーナスツール導入企業のありがちな失敗例

ピアボーナスを導入するにはある程度のコストがかかるため、失敗をしたくないという方も多いでしょう。ここでは、ピアボーナスツール導入企業にありがちな失敗例を解説します。システムを導入する際は、以下の事例に注意する必要があります。

\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/

財源を確保できず従業員から不満が出た

1つ目の失敗事例はピアボーナスの財源を確保できず、従業員から不満が出たケースです。ピアボーナスの報酬を社員が負担しなければならなくなると、少額であっても社員の負担や不満に繋がります。

このような失敗を防ぐためには、企業でどのくらいの財源をまかなえるか慎重に判断し、社員の負担にならない仕組みを機能させることが大切です。必要な財源が十分にない場合は、今すぐ導入すべきなのか慎重に検討する必要があります。

ピアボーナス運用チームを設けず利用率が下がった

2つ目の失敗事例は、ピアボーナス運用チームを設けず利用者が下がったケースです。運用チームを設置せずに導入した場合、導入目的や利用方法を十分に理解できない社員が増え、利用者が偏ってしまう恐れがあります。

ピアボーナスのシステムを企業に円滑に導入するためには、専門の運用チームを設け、導入時に社内に浸透させるようなメッセージを送ったり、企画を行ったりすることが必要になるでしょう。導入後も運用チームで利用状況を確認し、課題改善に取り組むことも重要です。

明確な運用ルールを設けておらず効果を得られなかった

3つ目の失敗事例は、明確な運用ルールを設けなかったために、運用が曖昧になり、狙った効果を得られなかったケースです。明確なルールがなければ、特定の相手とのみ相互で送りあうなど、組織全体としてのコミュニケーションに繋がらない場合もあります。

このような失敗事例を解決するためには、明確な運用ルールを策定しなければなりません。例えば、同じ相手には一定期間送れないようにしたり、相互で送りあうことができないようにしたりするなど、組織全体で交流が生まれるような工夫が必要です。

ピアボーナスツールの選び方

ピアボーナスは多様なツールがあるため、どのツールを選定すればよいかわからないという方も多いでしょう。ここでは、ピアボーナスツールの選び方のポイントについて解説していきます。

\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/

導入目的を明確にしておく

ピアボーナスのツールを選ぶ前に、自社の導入目的を明確にしておきましょう。自社の課題を解決したいといった目的をはっきりさせることで、何のために使っているのか分からなくなるという失敗を未然に防ぐことができます。

導入目的が明確になれば、課題解決のために必要な機能が備わっているツールを選びやすくなります。自社の課題を的確に解決するためには、ピアボーナスを導入する目的の洗い出しと、目的達成のためにどのような機能が必要なのか確認しましょう。

従業員が使いやすいか

従業員にとって使いやすいツールを選ぶのも重要なポイントです。承認までのプロセスや操作方法が複雑だと、利用しない社員も増えてくるでしょう。経営陣にとって魅力的な機能でも、全従業員がシステムを使いこなせなければ、ピアボーナス導入の意味がありません。

全従業員がツールを使えるように、操作が複雑ではないかを確認することが大切です。サービスの種類によっては、無料トライアルなどが用意されているものもあるので、実際にどのように利用するのか運用チームで活用してみるとよいでしょう。

チャットツールと連携できるか

社内で利用されているチャットツールと連携できるものを選べば、ツールの形骸化を防げます。使い慣れたチャットツールと連携すれば、従業員が気軽に利用できたり、賞賛や感謝のコメントを全従業員で閲覧できたり、スムーズなピアボーナスツールの導入が実現します。

具体的には、ビジネスチャットツールと連携できるシステムがあります。こうしたツールと連携できれば、出先などでもスマートフォンから操作できるので便利です。

サポートが充実しているか

システム元のサポート体制が充実していれば、安心して導入することができます。ツールを選定する際に、トラブルや疑問点に対してどれくらいサポートをしてくれるのか確認しておきましょう。

また、各ツールのサポートの対応時間の確認も必要です。自社の勤務時間や土日のサポート対応時間を確認し、勤務時間にいつでもサポートが受けられるシステムを選ぶと安心です。

まとめ

ピアボーナスシステムは従業員同士が報酬や賞賛を送り合うことができ、コミュニケーションの活性化や従業員のモチベーション向上などによって、組織力の向上や離職率の低下に繋がる便利なシステムです。

ただし、ピアボーナスシステムは多種多様な種類があるため、自社に合ったものを慎重に選ぶ必要があります。また、円滑な運用に向けて運用チームを設けたり、ガイドラインを設置したりするなど、スムーズに導入できるような準備が必要です。

社内の課題解決にピアボーナスの導入を検討する際は、この記事を参考に使用するシステムの選定・準備を行い、従業員のモチベーションや社内全体の組織力向上といったメリットを実感できる環境づくりを行いましょう。

Share

top