フレームワークとは|ビジネスで活用する必要性と種類を解説

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  • フレームワークを使用すると、思考を整理したりアイデアを出したりしやすくなる
  • フレームワークには、それぞれ得意とするものがあり、目的に応じて使用するのがよい
  • フレームワークを使用する際は、仮説と改善を繰り返し行うことが大切である

フレームワークとは、目標達成や課題解決に役立つ思考の枠組みで、ビジネスで使用すると思考を共有しやすくなるといったメリットがあります。本記事では、フレームワークの意味と、ビジネスでの必要性・できることの他、役立つフレームワークの種類を解説します。

目次

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  1. フレームワークとは
  2. ビジネスにおけるフレームワークの必要性
  3. ビジネスでフレームワークを活用するメリット
  4. フレームワークの種類一覧
  5. フレームワークを使用する際のポイント
  6. まとめ

フレームワークとは

フレームワークとは英語で「枠組み」「骨組み」「構造」を指します。一般的に浸透しているフレームワークは、ビジネスシーンでの思考法や問題解決の方法として注目されることが多いでしょう。

企業や従業員は様々な課題を抱えますが、その誰もが同じスピードで解決できるとは限りません。そこでフレームワークを用いれば、あらかじめ作られた枠組みに課題を当てはめて整理し、スピーディに最善策を見出すことが可能です。

なお、ビジネス用語として知られているフレームワークですが、IT業界では異なる意味を持つフレームワークが存在します。この記事ではビジネス用語としてのフレームワークについて解説しますが、用途の違いを理解するためIT用語としての意味についても解説します。

IT業界におけるフレームワークの意味

IT業界での「フレームワーク」は、アプリケーション開発時にプログラムの土台として機能するツールのことを意味します。「ソフトウェアフレームワーク」「アプリケーションフレームワーク」とも呼ばれます。

フレームワークにはアプリケーションに必須な処理機能が枠組みとしてあらかじめプログラミングされており、そこにその他の機能を追加していく形で開発を進めます。アプリケーションの開発が効率的になることが大きなメリットです。

ライブラリとの違い

開発を効率化する点では「ライブラリ」もフレームワークとよく似ています。ライブラリもプログラミング作業の簡略化のために、あらかじめパッケージ化されたプログラムですが、土台ではなく部分的に差し込む形で使用します。

よく使われる機能がライブラリとして用意されており、必要なライブラリを任意のタイミングで差し込むことでアプリケーション開発を効率化できます。

ビジネスにおけるフレームワークの必要性

フレームワークは専門家が研究を重ねた結果の思考ツールで、うまく活用すれば業務の効率化や生産性の向上に役立ちます。客観的且つ正確な分析により、最短ルートで最善策を見出して課題解決につなげられるためです。

例えば、課題を解決するためには多くの場合、試行錯誤の時間が必要で考えが上手くまとまらないこともありますが、フレームワークを用いれば、用意された思考の枠組みに当てはめて考えていくことができるため、課題解決にかかる時間を短縮できます。

またフレームワークでは、課題の本質に近づける枠組みがあらかじめ作られていることで、ベテランでも初心者でも思考を共有しやすいです。そのため、「論理的な思考」を実践しやすく、チームとしての方向性もブレずに課題解決に辿り着くことができます。

ビジネスでフレームワークを活用するメリット

ビジネスシーンでのフレームワークの活用は、幅広い面でメリットを感じられます。従業員が効果的に活用すれば、企業の発展にもつながるでしょう。ここでは、具体的にどのようなメリットを得られるのか、解説します。

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思考の整理ができる

フレームワークを使うことで、思考をわかりやすく整理できます。図式のフレームワークを活用すれば、考えている内容や各要素の関係性を視覚的に表現できるためです。

例えば、「ロジックツリー」のように課題の構成要素を細分化していくフレームワークを使えば、課題の全体像を捉えやすくなります。要素を可視化することで、入り組んだ情報の中から課題の本質をみつけやすくなるでしょう。

思考を整理できると、問題解決や目標達成に向けて取り組むべきことが明確に見えてきます。最短ルートで目的を達成でき、業務効率を上げることが可能です。また、情報の取捨選択ができるため余計な情報に振り回されず、思考力も上がることが期待できます。

誰でもロジカルシンキングができる

フレームワークを用いた思考方法を「フレームワーク思考」と呼ぶこともありますが、これは「ロジカルシンキング=論理的思考」と言い換えることもできます。ロジカルシンキングは客観的な事実に基づいた問題解決のために、必要不可欠な要素です。

フレームワークの活用によって誰でもロジカルシンキングが可能になり、独りよがりの思考を抑制できます。あらかじめ設計された枠組みに課題や問題の情報を落とし込むことで客観的に分析・思考ができるためです。

例えば、課題について網羅的に思考できる「MECE」は、自分の希望ではなく「客観的に見てどうか」という視点で答えを自然に導き出すことができます。

フレームワーク自体がロジカルな設計であるため、ロジカルシンキングが難しいと感じる人でも、論理的・客観的な情報分析が可能です。

アイデアが出しやすくなる

思考を発展させられるフレームワークを活用すれば、有益なアイデアを出しやすくなります。まとまらない考えを書き出して可視化することで、思わぬ発想につながることがあるためです。

例えば、「マインドマップ」は中心となる課題や概念から関連する物事や言葉、イメージを自由に枝分かれして細分化させていきます。情報を出し切って思考を可視化することで、考慮するべき情報の漏れがなくなり、内容の充実したアイデアの発案につながるでしょう。

スピーディーに目標を設定・達成できる

ビジネスにおいて具体的な目標を設定するには、さまざまな観点から多角的に自社の状況や自社の製品・サービスを分析しなければなりません。また、目標を達成するためにはきちんと手順を踏んで行動する必要があります。

思考や行動の土台となる共通のフレームワークがあれば、企業もしくはチームとして方向性がブレずに目標の設定・達成ができます。全員が同じ思考法で現状と目標を捉えることで認識の齟齬がなくなり、やるべきことにスピーディーに取り組むことができます。

「PDCA」や「OODA」といった目標達成のためのフレームワークがありますが、こうしたフレームワークを用いることで手順がはっきりするので、先行きが不透明な場合やノウハウがない場合でも行動に迷わないというメリットもあります。

効果的な事業分析ができる

フレームワークは事業分析にも活用できます。業績が伸び悩むときや客観的に分析したい際に便利です。課題の洗い出しや改善策を立案するために、フレームワークを複数利用した多角的な分析を行うのがおすすめです。

例えば、自社の内部環境と外部環境を分析する「SWOT分析」では、自社の立ち位置を知った上で問題点を明らかにし、具体的な行動策を立てることが可能です。また「3C分析」では、顧客・市場、競合、自社の3つを軸にして市場環境を分析できます。

社会を取り巻く環境の変化が激しい中で企業が柔軟に対応するためには、事業分析が必要不可欠です。

経営戦略を立てやすくなる

フレームワークは経営戦略・事業計画の立案にも役立ちます。事業の進行状況や市場の変化を適切に把握し、有効な事業展開を計画しやすくなるためです。

フレームワークの例としては「STP分析」が挙げられます。STP分析は、市場の全体像を把握してターゲットとする市場を決め、競合他社との位置関係を決めるという分析方法です。こうしたフレームワークを使うことで、俯瞰しながら経営戦略を考えやすくなるでしょう。

フレームワークの種類一覧

フレームワークには様々な種類があり、目的や状況により選択すべき手法が異なります。ここでは、目的別にフレームワークの種類を解説します。

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思考整理に役立つフレームワーク

思考整理に効果的なフレームワークには、「PDCA」「5W1H」「ロジックツリー」などがあります。

PDCAは効果測定を行いながら施策の精度を高めていくために有効なフレームワークです。情報を要素に分ける5W1Hと合わせて活用すれば、具体的な行動策や抜け・漏れの少ない改善策の考案が可能です。

ロジックツリーでは、大きな事象から情報や要素を枝分かれするように書き出し、分解していきます。問題を可視化し、入り組んだ情報を整理することが可能です。

フレームワーク概要活用シーン
5W1H①When(いつ)②Where(どこで)③Who(誰が)④What(何を)⑤Why(なぜ)⑥How(どのように)」に物事の情報を細部化する・施策内容の整理
・思考の抜けや漏れの防止
ロジックツリー大まかな事柄から枝分かれさせるように構成要素を書き出して細分化する・課題を取り巻く要素の可視化
・各要素の関係性の整理
・根本的な課題の発見

ロジカルシンキング・分析に役立つフレームワーク

「2軸図」や「MECE(ミーシー)」はロジカルシンキングや分析に役立つフレームワークです。2軸図はグラフなどにも利用されることが多いですが、縦軸と横軸を設定して対象のポジショニングを可視化できます。

ロジカルシンキングの基本とされるMECEは「漏れなく、ダブりもない」という意味で、特定の事象に関する要素を網羅しながら重複箇所を洗い出し、それが論理的であるかを判断します。

フレームワーク概要活用シーン
2軸図・2本の線を引いた図表を用い、問題を可視化する
〈マトリクスタイプ〉
・左上を起点として縦軸と横軸を作る
〈4象限タイプ〉
・縦軸と横軸が中心で交わるよう線を引く
〈グラフタイプ〉
・左下を起点として縦軸と横軸を作る
・自社や商品などの位置づけ
・競合の位置づけによる市場全体の傾向把握
・物事の推移や変化の把握
MECE物事の要素について重複や抜け・漏れがないか確認する・情報の分類や整理
・意見やアイデアが論理的であるかの判断

アイデアを出すときに役立つフレームワーク

「マインドマップ」や「マンダラート」のように自由闊達に思考を書き出せるフレームワークは、アイデアを必要とするときに最適です。また、「連想マトリクス」は変数の組み合わせによる新しい発想の創出が可能になります。

フレームワーク概要活用シーン
マインドマップあるテーマを中心に据え、関連要素を放射状に分岐させていく・構成要素の可視化
・思考の整理
・発想を広げる
マンダラート3×3マス目を作り、真ん中のマスにメインテーマを、マス目一つ一つにアイデアを書き込む・アイデアの整理や拡大
・思考を深める
連想マトリクス2つの変数を縦軸・横軸に設定して、それぞれを掛け合わせる・短時間でのアイデアの創出
・アイデアの大量生産
・既存にないものの洗い出し

目標の設定や達成に役立つフレームワーク

目標の設定や達成には、「PDCA」「OODA(ウーダ)」「As is/To be」といったフレームワークが役立ちます。

フレームワークに沿って考えたり行動したりすることでスムーズに目標の設定・達成ができるようになり、事業の成長スピードを速めることができます。

フレームワーク概要活用シーン
PDCA①Plan(計画)②Do(実行)③Check(評価)④Action(改善)の手順を繰り返すことで施策の精度を高める・継続した品質管理や業務管理
・目標の進捗管理や対応策の考案
OODA①Observe(観察)②Orient(方向づけ)③Decide(意思決定)④Act(行動)の手順を繰り返して迅速な意思決定に繋げる・判断が難しい場合の意思決定
・変化の激しい環境での意思決定
As is/To be①As is(現状)②To be(あるべき姿)の間のギャップを可視化しする・現状の問題の把握
・目標やゴールの明確化

事業分析に役立つフレームワーク

事業分析のためのフレームワークは、「3C分析」や「4P分析」「PEST分析」「SWOT分析」のように多角的な視点で自社を分析できるものが多いです。

事業を取り巻く環境は事業発展に大きく影響するため、複数のフレームワークを組み合わせた分析が効果的と言えるでしょう。

フレームワーク概要活用シーン
3C分析①自社(Company)②顧客(Customer)③競合(Competitor)の3つを分析して成功要因を導き出す・外部環境と自社の現状把握
・自社の優位性を築く戦略の立案
4P分析①商品(Product)②価格(Price)③販促(Promotion)④場所・流通(Place)の観点からマーケティング背略を分析する・自社のマーケティング戦略立案と評価
・他社のマーケティング戦略の評価
PEST分析①政治的要因(Politics)②経済的要因(Economy)③社会的要因(Society)④技術的要因(Technology)から企業や市場が置かれる環境を分析する・自社が抱える課題の把握
・市場の変化や顧客動向の予測
SWOT分析①Strength(強み)②Weakness(弱み)③Opportunity(機会)④Threat(脅威)の4要素で内部と外部の要因を分析する・内部と外部それぞれのプラス面とマイナス面を洗い出す
バリューチェーン一連の企業活動の流れにおいて、付加価値となる強みと改善すべき弱みを洗い出す・自社の優位性と劣位性の可視化
・経営戦略や事業戦略の改善

経営戦略や事業計画に役立つフレームワーク

経営戦略や事業計画には「STP分析」や「AARRR」モデルが効果的です。市場状況の細分化や自社製品の段階ごとの状況を客観的に分析することで、効果的に事業計画を進めることが可能です。

フレームワーク概要活用シーン
STP分析①セグメント(Segmentation) ②ターゲット(Targeting)③位置取り(Positioning)をもとに市場を細分化して狙う市場を定め、自社の位置づけを決める・競合他社との差別化
・マーケティング戦略の策定
AARRRモデル事業の成長を五段階に分け、各段階の現状を数値化して課題を抽出する・段階ごとの目標設定
・成長戦略の策定

フレームワークを使用する際のポイント

フレームワークの効果を最大限に発揮するためには、いくつかポイントを押さえておく必要があります。ここでは、フレームワークを使用する際のポイントを解説します。

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目的にあったフレームワークを選ぶ

目的により適切なフレームワークは異なるため、目的と合ったものを選びましょう。自分たちが目指すところとフレームワークの手法がマッチしていなければ、解決法は見出せません

例えば、事業計画を立てたいときにロジックツリーだけ使用しても、市場環境や顧客ニーズの分析結果が含まれない頼りない計画になってしまいます。解決したい問題や課題を明確にし、それに合ったフレームワーク選びをすることが必要不可欠です。

時間を設定する

フレームワークは本来、効率的に有益な思考結果を導き出すためのものです。思考にかかる時間を簡略化することが、フレームワークの目的の一つなのです。

アイデアが止まらなくなったり分析にのめり込んだりすると、つい時間を忘れがちですが、あまりに多くの時間をかけては本末転倒になってしまいます。必要に応じて時間設定をして、その時間内で終わらせられるような配分でフレームワークを実践しましょう。

検証と改善を繰り返す

状況は変化を続けるため、フレームワークを利用した分析はその都度行う必要があります。フレームワークによって導き出した答えを実行に移したら検証を行い、状況が変化したら改めて分析をすることが大切です。

定期的に分析を行うことで、今の状況を的確に把握でき、環境変化への柔軟な対応も可能になります。

まとめ

フレームワークを使えば、あらかじめ作成された枠組みにテーマや課題を当てはめることで思考の整理や情報の分析がしやすくなります

経験年数や性格に関わらずロジカルシンキングや情報の分析ができたり、多角的な分析による企業の経営戦略に活かせたりと、ビジネスシーンでも大きく役立ちます。自社が直面している課題を客観的に分析した上で最適な解決策を導き出すことができます。

ただし、フレームワークは様々な方法があるため、目的に合ったフレームワークを選んで実施することが大切です。フレームワークを有効活用し、従業員の思考力の醸成や企業の発展につなげましょう。

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