シンギュラリティとは?言葉の意味や未来予想をわかりやすく解説

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  • シンギュラリティとは、人工知能(AI)が人間の知能を超える転換点のことである
  • 2045年に起こると予想している人もいるが、起こらないという説もある
  • シンギュラリティが起こると多くの職業がAIに置き換わると予想されている

シンギュラリティとは「人工知能(AI)と人間の知能が融合する時点」と定義されており、2045年に起こるとも言われています。本記事では、シンギュラリティの意味や社会的影響、シンギュラリティ後の未来予想などをわかりやすく解説します。

目次

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  1. シンギュラリティの意味とは
  2. シンギュラリティはいつ起こるのか
  3. シンギュラリティの根拠とされる2つの法則
  4. シンギュラリティは起こらないという説も
  5. シンギュラリティが起こるとどうなるのか
  6. 今こそAIをビジネスにどう活用するかを考えるとき
  7. まとめ

シンギュラリティの意味とは

シンギュラリティとは、人工知能(AI)が人間の知能を超える転換点を指す言葉です。語源はラテン語の「singularis(単数形の)」に由来しており、数学では「特異点」と訳されることから「技術的特異点」とも呼ばれています。

AIはインプットされた膨大なデータから法則性を見つけて学び、日々急激な進化を続けています。このことから「いずれAIが人間の知能を超える転換点が来てもおかしくない」という見方があるのです。

シンギュラリティが起こるとAIは加速度的に進化し、現在人間が行っている多くの仕事が、AIやロボットで代用可能になるなど、人間の生活に大きな変化が起こると考えられています。

シンギュラリティの定義

シンギュラリティという言葉が広まるきっかけを作った米国の発明家レイ・カーツワイル博士によると、シンギュラリティは「人工知能が人間の知能と融合する地点」と定義されています。

つまり、AI技術が人間の脳と同レベルに進化するシンギュラリティを境に、将来的にはAIが人間の脳の働きを越えていく可能性もあると考えられているのです。

シンギュラリティはいつ起こるのか

米国の発明家レイ・カーツワイル博士は、2045年にシンギュラリティが起こると予測しています。2045年である根拠は後述しますが、一般的にこの説が多くの人に知られていることから「2045年問題」とも言われます。

一方、オックスフォード大学のスチュアート・アームストロング博士は、2012年のシンギュラリティ・サミットにおいて、その時期を2040年と予測しました。

さらには、2030年や2025年には起こるのではないかという有識者もいるなど、時期予測に関してはさまざまな見解があります。

プレ・シンギュラリティとは

プレ・シンギュラリティとは、シンギュラリティの前に起こるとされる社会や人間の在り方に関する変化のことです。「前特異点」とも呼ばれ、科学技術の進化により、人間の生活や社会の構造が劇的に変化する時期とされています。

具体的には、エネルギーや生活必需品などが無償で提供されるようになり労働や貨幣が不要になる、人間が不老になる、などの変化が起こると考えられています。

プレ・シンギュラリティやシンギュラリティは決して遠い未来の想像ではありません。わずか数年後にもその予兆とみられる変化が起こりうるのではないかと見解を述べる研究者も存在します。

シンギュラリティの根拠とされる2つの法則

多くの人が危機感を示しているシンギュラリティですが、本当に起こるものなのでしょうか。ここでは、シンギュラリティの根拠とも言われる2つの法則について解説します。

ムーアの法則

ムーアの法則とは、Intel社の設立者であるゴードン・ムーア氏が提唱した半導体技術の原則であり、「トランジスタの集積率は、約18~24ヶ月ごとに倍増する」という経験則です。

この法則に沿って進化が続けば、2045年には人間の能力を超える集積回路が誕生することも、十分考えられると言われています。

収穫加速の法則

収穫加速の法則は、レイ・カーツワイル博士が「ムーアの法則の延長線上にある法則」として提唱した概念であり、「技術進歩における性能は、直線的ではなく指数関数的に上昇する」といった内容です。

つまり、技術の発展はさらなる発展を促進するため、進化は指数関数的に加速し、人類史上例のないスピードで変化が起こることを意味しています。このことから、シンギュラリティは高い確率で起こるのではないかと考えられているのです。

シンギュラリティは起こらないという説も

一方で、「シンギュラリティは来ない」「シンギュラリティはありえない」とする説もあります。スタンフォード大学のジェリー・カプラン教授は「AIは人間のように目的や欲求を持たず、自発的に考えない」ことを指摘しています。

そのため、AIは蓄積された知識から対応策を出すことはできても、それにより周囲に及ぼす影響までは考えられないため、AIは人間を補佐するためのものにとどまるとの考えを示しています。

また、ジェリー・カプラン教授は、AIが過度に脅威の対象になっていることにも触れ「科学的な視点で制作されていないエンターテイメント作品の普及」なども、AIへの過大評価の原因のひとつになっていると述べています。

シンギュラリティが起こるとどうなるのか

実際にシンギュラリティが起こることで、社会生活にどのような変化が予想されるのでしょうか。以下に「仕事・職業」「社会保証制度」「身体」の3つについて起こり得る影響を、それぞれ解説していきます。

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多くの仕事・職業がAIに置き換わる

シンギュラリティが起こると、これまで人間がしてきた仕事・職業の一部が、AIに置き換わることが予想されています。場合によっては、人間が不要になる仕事も出てくるかもしれません。

例えば、AIが代行できる仕事として、事務職・調理師・販売員・工場作業者・オペレーターなど、形式化・機械化できる可能性がある職業が挙げられます。

一方、人間が引き続き担うとされる職業には、医師・保育士・カウンセラー・クリエイター・エンジニアなどがあります。心身に関わったり、コミュニケーションや創造性が求められたりする職業は、AIに置き換わる可能性は低いといわれています。

ベーシックインカムの導入

シンギュラリティが起こると、ベーシックインカムの導入が進むなど社会制度への影響が生じるともいわれています。ベーシックインカムとは「国民が最低限の生活を送るために、政府が全国民に一律・無条件に現金を給付する社会制度」です。

ベーシックインカムと生活保護との違いは、生活保護が「所得制限など一定の条件を満たした場合のみ現金を支給する」のに対して、ベーシックインカムは「無条件に全国民に対して現金を支給する」という点です。

シンギュラリティにより、AIに仕事を置き換えられた人達が生活保護を求めることも予想され、ベーシックインカムを導入せざるを得なくなるのではないかという懸念もあります。

体の一部が人工化される可能性も

シンギュラリティが急速に進むと、「体の一部を人工物で代替する」といった未来も予想されています。例えば、人間の脳を一部人工化することで、データの保存や消去、インストールが自在にできるようになるかもしれません。

また、すでに人工関節や人工心臓は医療現場で使われていますが、そのほかの臓器も人工物で代用できるようになれば、映画やアニメのように老いない体を手に入れることが現実となる可能性もあるのです。

今こそAIをビジネスにどう活用するかを考えるとき

もしも、シンギュラリティが起これば、AIに仕事を奪われてしまう可能性もゼロではありません。しかし、本来AIは人間をアシストするために、人間自身が開発したものであり、シンギュラリティの到来後すぐに人間を超える可能性は低いと言われています。

そのため、AIに仕事を奪われるかもしれないと過度に脅威を感じるよりも、AIをどう活用していくか考える方が大切です。

現在、AIの得意とするデータの集計・分析・計算・予測といった部分を任せることで、人間はクリエイティブな感性が必要な仕事に専念できます。シンギュラリティの懸念がある今こそ、AIを最大限に活用していく方法を模索し続けることが重要です。

まとめ

シンギュラリティとは「AIが人間の知能を超えて加速度的に進化するとされる転換点、および人間の生活に大きな変化が起こる」という概念で、一説では2045年にシンギュラリティが起こるとの予測もあります。

シンギュラリティが起こると、今まで人間が行ってきた仕事がAIやロボットで一部置き換わることや、べーシックインカムの導入が進む可能性があること、さらには体の一部を人工物で代替する未来も予想されています。

一方で、「シンギュラリティは起こらない」という声があるのも事実です。いずれにせよ、現時点ではAIによる支配を過度に恐れるのではなく、AIを効果的に活用する方法を模索し続けることが大切です。

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