おすすめのIaaS|サービスの選び方・比較ポイントも解説

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  • IaaSは、事業者のタイプ・機能と自社ニーズの相性・料金を重視して選ぶ
  • 既存環境との互換性やセキュリティ対策、稼働の安定性なども確認する
  • トライアル枠を設けているIaaSも多いため、本格導入前にテスト運用する

IaaSを活用すれば、ネットワークやサーバーなどのインフラ基盤を自社の要件に合わせて自由に構築できます。しかし、サービスによって運用に必要な技術レベルやできることは様々です。この記事では、おすすめのIaaSや選ぶ際の比較ポイントなどを解説します。

目次

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  1. IaaSで自社に合ったインフラ基盤を構築しよう
  2. IaaSは事業者のタイプ・機能の強み・費用対効果で選ぶ
  3. IaaSの選び方で重要な3つのポイント
  4. IaaSのその他の比較ポイント
  5. IaaSのおすすめサービス
  6. IaaSの導入フローと注意点
  7. まとめ

IaaSで自社に合ったインフラ基盤を構築しよう

IaaS(Infrastructure as a Service)とは、サーバーやネットワークなどのインフラをインターネット経由で利用できるクラウドサービスです。物理的な設備を自社で購入・設置・管理する必要がなく、必要な時に必要なだけのリソースを利用できるのが特徴です。

初期投資や維持費を大幅に抑えられることに加え、物理的なサーバーの保守・管理は、プロバイダ(サービス提供者)に任せられる点が大きなメリットです。また、自社に設備を置かないため、災害時でも業務を継続しやすい利点もあります。

IaaSとは?概要からメリット・デメリットまで分かりやすく解説

IaaSとは、ネットワークやサーバ(ストレージ・CPU・メモリ)などのインフラ機能だけを利用するクラウドサービスを指します。この記事では、IaaSの機能や導入のメリット・デメリット、サービスを選定する際の比較ポイントについても詳しく解説していきます。

IaaSは事業者のタイプ・機能の強み・費用対効果で選ぶ

IaaSのサービスを選ぶ際には、サービス提供元の種類・機能性・料金を確認することが重要です。また、サービスを比較する際には、互換性やセキュリティ対策など注目すべきポイントもあります。次の章でそれぞれのポイントを詳しく解説します。

【重要なポイント3つ】

  1. 外資系か国産か
  2. 各機能が自社ニーズに合っているか
  3. 料金と費用対効果をチェック

【その他の比較ポイント】

  1. 既存環境との互換性があるか
  2. セキュリティ対策は十分か
  3. 安定して稼働するか
  4. 担当者が運用しやすいか

IaaSの選び方で重要な3つのポイント

IaaSサービスは、選び方を誤ると企業の規模やニーズに合わず、十分な効果が得られなくなる可能性があります。ここでは、IaaSのサービス選びで重要な3つのポイントについて解説します。

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外資系か国産か

IaaSのサービスは、大きく分けて外資系サービスと国産サービスの2種類に分けられます。グローバルに事業展開する企業は外資系サービス、国内法規制を重視する企業は国産サービスがおすすめですが、自社の方針や環境に合わせて選ぶことが重要です。

外資系サービス

外資系IaaSは、世界中にデータセンターを持っており、複数の地域にまたがるサービスを提供しています。データのバックアップや災害対策に強く、安定的に継続利用できる点に優れています。

また、拡張性の高いインフラを提供しており、リソースを迅速に増減できます。例えば、サーバーへのアクセスが急に増加しても、より高性能なサーバーへの切り替えや仮想マシンの追加により、過負荷のリスクを抑えられます。

さらに、外資系サービスの中には、データ解析・AI・機械学習などの先端技術を利用できるものもあります。例えば、データ解析の機能を活用すれば、顧客の購買パターンを分析して、マーケティング施策に役立てることが可能です。

費用面では、外資系サービスは基本的に従量課金制で、使用した分だけ支払う仕組みになっています。初期投資を抑えたい成長段階の企業にとっても経済的な選択肢です。

国産サービス

国産IaaSは、日本国内のデータセンターを利用して提供されています。そのため、日本の法令に基づくデータ保護や、コンプライアンス要件に適合しやすい利点があります。国内にデータセンターがあるため、通信の遅延が少なく、安定的な稼働にも期待できます。

データセンターを全国に分散配置することで、災害時のリスクを抑えているサービスも多いです。日本語でのサポートや、日本の商習慣に即した契約や運用ができる点も大きなメリットです。

費用面では、国産サービスは従量課金制が多いですが、リーズナブルな価格設定の固定料金プランが用意されている場合もあります。リソースのカスタマイズも柔軟性が高く、リソースの追加やシステムの変更などにも迅速に対応できます。

各機能が自社ニーズに合っているか

IaaSの代表的な機能について下の表にまとめますが、これらの機能はサービスによって強みが異なります。例えば、仮想サーバーについて、あるサービスでは拡張性が高く、あるサービスではデータ処理が速いなどの違いが見られます。

そのため、複数のサービスを比較しながら、自社のニーズに適した機能を備えたサービスを選択することが重要です。

機能概要
仮想サーバー物理サーバーを仮想的に分割し、柔軟なリソース利用を提供
ストレージクラウド上でデータを保存・管理し、容量を柔軟に拡張可能
ネットワーキング仮想サーバーとストレージを安全に接続し、通信を管理
オートスケーリング需要に応じてリソースを自動的に増減し、効率的な運用を実現

料金と費用対効果をチェック

IaaSには主に月額固定制と従量課金制の2つの料金体系があり、企業の利用状況に応じてどちらが適しているかを考慮する必要があります。

月額固定性は、毎月決まった料金でインフラを利用できます。初期費用が抑えられ、長期的に一定のコストを確保できるため、利用量が安定している企業に向いています。また、コスト予測がしやすく、予算の管理が容易です​。

従量課金制は、実際に使用したリソースの量に応じて料金が発生します。これにより、必要なリソースを最小限のコストで効率よく利用できるのがメリットです。ただし、アクセスの増加やリソースを多く使った場合には、予期せぬコストがかさむことがあります。

費用対効果を確認する際には、中長期的なコスト評価が大切です。短期的に従量課金制が安く見えても、長期的には使用量が増加する場合もあります。需要の変動が予測される場合は、月額固定制や従量課金制を組み合わせる方法も有効です。

また、従量課金制のサービスを選択する際は、課金の単位にも注意しましょう。時間単位の課金では、1時間ごとに利用料金が加算され、1時間未満でも1時間分の料金が発生することがあります。分単位や秒単位の課金では、細かい時間ごとに料金が計算されます。

IaaSのその他の比較ポイント

さまざまなIaaSの中から、自社に適したサービスを選ぶためには、各サービスの仕様について比較検討することが重要です。ここでは、IaaSのその他の比較ポイントを解説します。

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既存環境との互換性があるか

IaaSを選ぶ際、既存のシステム環境との互換性があるかを確認することが重要です。互換性があることを確認できれば、動作の不具合やデータ移行のトラブル防止に繋がります。

既存のシステムからIaaSへと移行する際は、自社の環境で使用しているソフトウェアやツールがクラウド環境でも動作するか検証しましょう。移行するデータ形式がクラウド環境に適合し、データの整合性を保てることも必須条件です。

また、既存システムとIaaSを連携する場合は、IaaSが提供するAPIと既存システムのAPIの互換性の確認が大切です。API以外にも、ネットワーク構成(IPアドレスの範囲・VPNの接続など)・データベース・ストレージなどの互換性を確かめる必要があります。

セキュリティ対策は十分か

クラウド環境ではデータがインターネットを介してやりとりされるため、適切なセキュリティ対策がないとデータ漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。これを防ぐためには、IaaSのセキュリティ機能を詳細に確認する必要があります。

例えば、クラウド上でやり取りされるデータや保存データは、暗号化が必須です。特に、ストレージ内のデータや通信中のデータが暗号化されることで、不正アクセスやデータ漏洩を防ぐことができます。

他にも、不正ログイン防止のためのアクセス制御・多要素認証や、DDoS攻撃(大量の通信でシステムをダウンさせる攻撃)からの防御機能などもセキュリティ強化に有効です。脆弱性スキャン・ログ管理・モニタリング機能なども、被害の予防に役立つ機能です。

安定して稼働するか

IaaSサービスは、障害が発生するとシステムが停止し、業務に大きな影響を与える可能性があります。そのため、障害リスクや一時停止を最小限に抑え、安定した稼働が担保されているかを確認することが必要です。

IaaSの稼働率は通常、「99.9%」や「99.99%」などのように表記され、この数値が高いほど、サービスが安定して提供されることを示します。例えば、「月間稼働率99.995%」では、1ヶ月にわずか129.6秒間しかダウンタイムが許されません。

また、安定した稼働を確保するためには、ネットワークやサーバーの冗長化が重要です。冗長化とは、システムの各部分に予備を設けることで、一部の障害が発生しても予備の部分が機能し、サービスを継続できる仕組みです。

国産のIaaSでは、SLA(Service Level Agreement)が定められています。SLAとは、サービス提供者と利用者の間で結ばれるサービス品質を保証する契約で、稼働率・障害対応のルール・サービス停止時の補償などが明文化されています。

IaaSを選ぶ際にはこれらの要素を確認し、障害発生のリスクや対策・障害発生時の対応などについて把握しておきましょう。

担当者が運用しやすいか

IaaSは、サーバー・ネットワーク・ストレージなどのインフラを自社で設定・管理する必要があり、運用には高度なインフラ知識が求められます。

例えば、OSのアップデート・パッチの適用・ネットワーク設定・ファイアウォールの設定変更など、システム管理者が行う作業は多岐にわたります。特に多機能なサービスほど、高度な知識が必要です。

そのため、運用担当者にとって設定・管理しやすいサービスを選ぶことが重要です。例えば、運用のための機能として、リアルタイム監視・アラート機能などが備わっていると、障害発生時の早期対応が可能です。

また、サポート体制の確認が大切で、サービスによっては専門知識をカバーするためのマニュアル・トレーニングの提供・ヘルプデスクなどを利用できる場合があります。

さらに、担当者にとってリソースの拡張に関する操作が容易であることを確認しておきましょう。これにより、拡張が必要な場面でスムーズに対応することができます。

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IaaSの導入フローと注意点

IaaSの効果を最大限引き出すためには、計画的に導入を進めることが大切です。ここでは、IaaSの導入フロー・注意点を解説します。

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1. 機能要件を洗い出す

IaaSを導入する際には、目的に合った機能要件を事前に洗い出してサービスを選ぶことが重要です。目的と必要な機能が明確ではない場合、過剰な機能、または機能不足のサービスを導入してしまうリスクが高まります。

また、高度な機能があるIaaSを導入する場合、それに応じた運用スキルが必要です。自社のIT担当者が扱える範囲の機能を選ばないと、運用が複雑化し、かえって管理が困難になります​。

機能要件を洗い出すステップは、まず、IaaSを導入する目的を明確にします。例えば、災害対策としてデータのバックアップを確保したいのか、大規模なデータ処理のためにリソースを拡張したいのか、企業のニーズに応じて要件が変わります​。

次に、必要なリソース(CPU・メモリ・ストレージ・ネットワークなど)を特定します。ビジネスの成長やシステムの規模に応じて、拡張性も考慮しながら適切な容量を選定することが重要です。

すべての機能を導入することは難しいため、目的に直結する機能に優先順位をつけます。これらのステップに従うことで、効率的なサービス選択が可能になります。

2. テスト運用を行う

IaaSはさまざまなサービスがあり、機能や使いやすさが異なります。多くのサービスでトライアル枠が提供されているため、テスト運用を通じて、自社システムとの相性やパフォーマンスが十分かどうかを事前に確認しましょう。

テスト運用により、システム導入後のトラブルやコストの浪費を防ぐことができます。その際には、どの程度のスケールアップが可能か、負荷がかかる場面でどのように対応できるか、本番稼働を想定したテストを行うことが推奨されます。

また、運用管理のしやすさやサポートの質を確かめておくことも大切です。担当者が無理なく運用でき、トラブル発生時に迅速なサポートが受けられるか見極めるようにしましょう。

3. 定期的なメンテナンスを実施する

IaaSはインフラをクラウド上で提供するサービスですが、自社で構築したシステム部分に関しては、基本的に自社が責任を持ってメンテナンスを行わなければなりません。

必要なメンテナンスとして、リソースの使用状況の監視・パフォーマンスの最適化・障害防止などが挙げられます。

メンテナンスを行う際は、定期的なメンテナンススケジュールを設定し、サービスで提供されるモニタリングツールを活用することが推奨されます。計画的かつ継続的にシステムの安定性とセキュリティ性を維持することが大切です。

まとめ

IaaSは、企業が必要なインフラをクラウド上で利用できる柔軟性とコスト効率の高いサービスです。物理的な設備を持たずに、インターネットを通じて必要なリソースを自由に拡張・縮小できるため、初期投資や維持管理の負担を大幅に軽減できます。

IaaSを選ぶ際には、サービス提供元の種類(外資系か国産か)・機能性・料金体系を見極めることが鍵です。外資系サービスはグローバルな拡張性と最新技術に強みがあり、国産サービスは国内法規への対応や低遅延の通信が特徴です。

IaaSの導入では、機能要件の明確化・テスト運用・定期的なメンテナンスなどの実施により、安定したシステム運用が実現します。本記事の内容を参考に、自社に必要なリソースを確保し、ビジネス目標の達成を目指しましょう。

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