CRMでリードナーチャリングを効率化|活用方法やメリットを解説
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- ナーチャリングとは、潜在層へのアプローチを行い、自社の顧客へと育成することを言う
- リードナーチャリングにCRMを活用すると顧客フェーズの可視化や見込み客抽出が可能
- リードナーチャリングにCRMを活用する際は、施策継続やスコアリング精査が重要
ナーチャリングとは、潜在層へのアプローチで自社の顧客へと育成することを指し、リードナーチャリングとも呼ばれています。本記事では、CRMとリードナーチャリングの関係や、CRMを活用したリードナーチャリングを行う方法や成功させるコツなどを解説しています。
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ナーチャリング・リードナーチャリングとは
ナーチャリングとは、潜在的な顧客層に対してさまざまなアプローチを行い、将来的に自社の顧客へと育成することを指します。具体的な施策を示しているわけではなく、顧客を育成するといった概念を指しています。
また、リードナーチャリングのリードとは、「きっかけ」や「糸口」を意味する「リード(lead)」のことで、ビジネス用語で「見込み客」を指します。この見込み客に対して段階的なアプローチを行い、客の購買意欲を高めていくことをリードナーチャリングと呼んでいます。
具体的には、見込み客に対して、メールマガジンの送付や、セミナーの開催などが挙げられます。さらにメールマガジンやセミナーをきっかけに、自社サイトへアクセスしたかどうかなどの情報を収集・蓄積して管理することが、次の有効な営業活動につながります。
リードナーチャリングが必要とされる理由
ここからは、リードナーチャリングが必要とされる理由として、購買プロセスの大きな変化や優良顧客の重要性、見込み客の育成などの観点から解説します。
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リードナーチャリングが必要とされる理由
購買プロセスの大きな変化
現在のインターネットやスマートフォンなどの普及に伴い、顧客が商品を購入するまでのプロセスが大きく変化しています。これまでの購買プロセスにおける顧客の行動は、「AIDMAの法則」により行われ、購入に移るまでの時間は比較的短いスパンでした。
AIDMAとは、下記の単語の頭文字を取ったものです。
- Attention(認識)
- Interest(興味)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(購買)
AIDMAの法則における購買プロセスでは、顧客が商品を認識し、興味を持ち、購入への欲求が生じ、商品を覚え、そして購買をしていきます。現在では、これに代わり「AISCEAS」が、購入モデルといわれています。
AISCEASモデルは下記の単語の頭文字を取ったものです。
- Attention (認識)
- Interest(興味)
- Search(検索)
- Comparison(比較)
- Examination(検討)
- Action(購買)
- Share(共有)
AISCEASでは、興味の後に検索が入り、欲求に代わり比較と検討が追加され、記憶が抜けて、最後に共有が追加されています。このように、現在では購入に至るプロセスが長期化・複雑化しており、顧客育成がより大事になっています。
優良顧客の重要性
企業にとって、定期的に繰り返し商品を購入してくれる優良顧客を増やすことが重要視されています。優良顧客は利益貢献度が高い上に、口コミで商品を広めることで新規顧客獲得に寄与してくれるため、見込み客へのリードナーチャリングにもつながります。
また、優良顧客を対象としてナーチャリングを行うことも重要です。優良顧客をさらにレベルアップさせ、ほかの商品とセットで購入したり、高額商品を購入してくれる顧客へと育成したりするプロセスが大事になります。
このナーチャリングにより、自社の業績への貢献度がさらに高い優良顧客へと育成することができます。さらに、自社商品のファンになってもらい、できるだけ長く自社の顧客として継続してもらい、他社に流れないように、種々の対策や工夫が重要になります。
見込み客の育成
現代は、ネットワークを介して多くの情報を容易に収集し閲覧できる時代になっています。このような状況下で、消費者側も、収集した情報を基に時間をかけて比較・検討してから商品を購入するといった傾向になっています。
そのため、自社商品を購入してくれそうな見込み客(リード)に対して、計画性のあるナーチャリングによってタイミングよくアプローチすることが必要です。その結果、自社商品への関心度を高める効果が期待でき、新規の顧客となってくれる可能性も出てきます。
従来のように、消費者全体を対象とした画一的な広告や宣伝だけではなく、見込み客を絞って、個々に対応する計画的な営業活動として、ナーチャリングを行うのが効果的な時代になってきています。
リードナーチャリングを行う方法
リードナーチャリングを効果的に行うためには、いくつかの手法やステップがあります。ここでは、リードナーチャリングを行う代表的な方法を解説します。
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リードナーチャリングを行う方法
メルマガの配信
メルマガは、代表的なリードナーチャリングの手法です。見込み客やメルマガ登録者に対して定期的にメールで情報を配信します。メルマガは、過去の閲覧率などによらずに一斉に配信するのが特徴となっています。
メルマガは多くの人の目に触れるため、コンテンツの内容としては、キャンペーンのお知らせやイベント情報、また、人気の商品やおすすめ商品の紹介など、読む人が興味を持ちやすく、会社に対しての好感度が高まるような内容が多くなります。
さらに、見込み客のプロフィールやこれまでのアクションなどによってグルーピングする「セグメントメール」や、過去のセミナーやイベントの参加者に絞って、開催を知らせる案内メールなどもあります。
ステップメール
ステップメールは、段階的にリードとの関係を築くための手法です。最初のメールでは興味を引く情報を提供し、次のメールで詳細な内容や特典を伝え、最終的には具体的な行動を促す内容を送ります。
ステップメールは、段階ごとにリードとのコミュニケーションを深められることがメリットです。自動化も容易で、リードの反応に合わせて適切なメッセージを送ることができます。
重要なのは興味を引く内容やリードのニーズに合った情報を提供することです。これによって、効果的なリードナーチャリングが可能となり、顧客の育成につながります。
Webコンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ターゲットとなるユーザーに対して有益で魅力のあるコンテンツなどをWebを介して送信することにより、見込み客を育成し、商品やサービスの購入につなげるマーケティング手法のことを指します。
コンテンツの内容としては、ブログやコラム記事、商品の実績や事例紹介ページ、写真や動画、プレスリリース、SNS投稿などとなっています。これらの情報を、顧客の購買検討プロセスにおいてステップ毎に発信し、問い合わせや売上の増加を目指しています。
この手法の利点としては、一度作成したWebページや記事、写真・動画などが長期に渡って使用でき、広告費などと比較するとコストが抑制できる点です。また、商品の押し売り的な姿勢ではなく、顧客価値を重視した姿勢により好感度が上がり、販売に繋がります。
リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、過去に、自社のWebサイトを訪問や閲覧した人に向けて、その人が閲覧した別のサイト上で同じ商品の広告を配信し表示する手法です。その人を再び標的(リターゲット)にして広告を配信する、追跡型広告とも呼ばれています。
この手法で対象となる人は、一般的なユーザーよりもターゲットとして絞り込まれている有望な見込み客と考えられます。そこで、この顧客を特定して再度アプローチして広告することにより、商品販売に結び付く、費用対効果の高い手法として注目されています。
セミナー・イベントの開催
リードナーチャリングには、セミナーやイベントの開催が向いているといわれています。その理由として、見込み客(リード)と直接会えることでコミュニケーションが取りやすく、相手の反応が分かりやすい点が挙げられています。
セミナーや展示会などのイベントでは、自社製品や自社のサービスに興味のある顧客に、直接商品の説明などを行えるため、効果的にリードナーチャリングができます。また、興味を示した顧客に対して、丁寧にフォローを行い商品販売や契約に結び付けやすいです。
最近では、教室でのセミナーのほかに、オンライン・セミナーも多くなり、遠方の見込み客の参加も可能となっています。また、話し手の一方向のトークだけではなく、聴き手の質問に答えたりアンケートを行う、双方向のオンラインセミナーの開催も多くなっています。
CRMとリードナーチャリングの関係
CRMを活用することで、ターゲットに合った個別のアプローチが可能となり、ナーチャリングやリードナーチャリングを通じて、顧客との信頼関係を築き、購買意欲を促進できます。ここではCRMとナーチャリング・リードナーチャリングの関係について解説します。
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CRMとリードナーチャリングの関係
CRMとは
CRMとは、顧客のさまざまな情報をデータベース化して一元管理することで、顧客との関係性を良好にして維持し、満足度をアップさせるといったアプローチやその目的達成のために開発されたツールを指します。
IT化が急速に進んでいる現在では、顧客との関係性やコミュニケーションが複雑化しているため、CRMのような顧客の情報を蓄積し把握できるデータベースの役割が重要になってきています。
顧客情報を一元管理することで、誰もがどこでもリアルタイムでアクセスが可能になります。その結果、顧客に対する対応のミスや漏れ、遅れなどが回避できるようになります。
さらに、CRMに搭載されている配信機能により、対象となる顧客を選び、メールマガジンやステップメールなどの情報発信を行えるため、商品購買に結び付けるアプローチが効率的に行えます。
CRMとナーチャリングの違いとは
ナーチャリング(Nurturing)とは、本来、「養育」や「育成」といった意味がありますが、ビジネス用語としては「顧客育成」の意味があります。潜在的な見込客に対してさまざまなアプローチを行い、将来的に自社の顧客へと育成することを指します。
CRMとナーチャリングでは目的や役割が異なります。CRMは、顧客との関係性を強化しリピート購入などの継続を目的とする具体的な施策を立てるためのシステムや戦略のことを指し、ナーチャリングは、潜在的な見込み客を育成して顧客とするアプローチを指します。
CRMとリードナーチャリングの関係
リードナーチャリングで対象となる見込み客を効果的にフォローする場合は、CRMツールに搭載された機能が有効になります。CRMでは、顧客ごとのプロフィールやメルマガの配信状況、イベント・セミナーへの参加などの情報をデータベース上で一元管理します。
CRMで管理されている情報は、商談記録や活動履歴、案件情報、顧客情報、受注予実管理としてすぐに反映されます。これらの情報は、スマートフォンやタブレットなどからアクセスできるため、外出先でいつでも検索でき、効果的な営業活動に生かせます。
集積された見込み客データに対しては、顧客抽出機能により、複雑な条件設定の検索により該当顧客を抽出して、グラフを出力するなど可視化も可能となります。そのため、CRMは、リードナーチャリングのフォロー段階で役立つツールとなります。
CRMをリードナーチャリングに活用するメリット
CRMはリードの情報を一元化し、それをもとに個別に合わせたメッセージを送ることができるため、顧客の関心に合わせた的確なアプローチができます。そして、リードの行動履歴をトラッキングし、そのタイミングで自動的にフォローアップすることができます。
つまり、CRMをリードナーチャリングに活用することで、リードの関心に応じて迅速かつ効果的に対応することができるため、顧客との継続的な関係構築に繋げることができます。
CRMをリードナーチャリングに活用する方法
ここからは、CRMをリードナーチャリングに活用する方法として、顧客管理機能による購買フェーズの可視化と顧客抽出機能による見込み客の抽出について解説します。
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CRMをリードナーチャリングに活用する方法
顧客管理機能購買フェーズの可視化
見込み客(リード)の確保ができた後に、メールの送信や電話などに対する反応が少ない場合は、自社に対して興味が薄い、または親和性が低い状況にもかかわらずアプローチしてしまっている可能性が高いです。
このような場合には、顧客情報のリストから個々の状況を確認するのが効果的ですが、数あるリストを目視でフォローしていくのは手間のかかる作業となり、時間がかかってしまうだけでなく、見逃しも発生しやすいです。
CRMを活用すれば、顧客情報をベースに自動でフィルタリングをかけることや、タグ付けやグラフ表示により顧客の状況を可視化できるため、欲しい情報が迅速に見られます。そして、その後の最適なフォローやアクションに結び付けられます。
顧客抽出機能による見込み客の抽出
CRMにおける顧客抽出機能により、これまで獲得した見込み客(リード)の情報を収集・整理し、商品やサービスなどに対して興味や関心を示したレベルに応じて抽出して分類できます。
そして、抽出したリードの属性に基づいて、ナーチャリングのアプローチを適切かつ迅速に開始できるようになります。また、優先的に営業のアプローチを行うことにより、商品の販売や成約に結びつく効果的な営業活動が可能となります。
リードナーチャリングのCRM活用を成功させるコツ
ここからは、リードナーチャリングにおけるCRM活用を成功させるコツとして、長期的な計画立案・施策継続や見込み客・既存顧客対応の運用者の選定、顧客情報のスコアリング基準の精査について、解説します。
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リードナーチャリングのCRM活用を成功させるコツ
長期的な計画立案・施策継続
リードナーチャリングの段階では、短期間の営業活動で効果が出ることは少なく、長期的な視点で計画立案することが重要になります。リードナーチャリングは、まだ購買意欲が低い見込み顧客を対象に行う施策で、じっくり育成して購買意欲を高めていきます。
その方法として、自社のWEBメディアやSNS、WEBによる広告、メルマガなどを使用して、徐々に認知度を上げたり、顧客の興味や関心につなげ、自社商品やサービスを選択してもらえるような施策を積み上げていきます。
その結果、最初のリード獲得から商品の購入に至るまでは、一定の期間が必要となります。短期的な効果は見込めないことを事前に認識し、試行錯誤を繰り返しながら長期的な計画を立案し、施策を継続させていくことが大事になります。
見込み客・既存顧客対応の運用者を選定
リードナーチャリングの段階では、実施すべき施策や管理する情報などが多いため、見込み顧客(リード)に対応する担当者と、既存顧客に対応する担当者を別々に設定することが効果的です。
それぞれの運用者を別々に決めることにより、集中してアプローチできるようになり、労力を減らすことができます。また、CRMを単体システムとして運用するだけではなく、関連するシステムを連携させることで、より効果が期待できます。
例として、SFA(営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)などの営業・マーケティング施策を自動化できるツールを導入し、連携することにより、さらに効率的にリードナーチャリングが実施できるようになります。
顧客情報のスコアリング基準を精査
見込み客(リード)の情報に基づき、見込み度合いに応じて点数付け(スコアリング)を行う方法があります。顧客の興味関心度の測定に注目し、確度の高いリードを判別するアプローチです。ただし、注意点として、スコアリングの基準はしっかり精査することが大事です。
顧客の興味関心度を測る行動の例として、案内メールを開封し、記載されたリンクをクリックしたり、自社のWebサイトにアクセスし、料金ページを確認したりすることが挙げられます。また、SNSで投稿した自社のサービス案内に反応する、といったこともあります。
一定スコア以上のリードをランク付けして優先順位をつけ、優先的に営業のアプローチを行うことにより、商品の販売や成約に結びつく効果的な営業活動が可能となります。
まとめ
リードナーチャリングで対象となる見込み客を効果的にフォローする際には、CRMツールに用意された機能が有効です。CRMでは、顧客ごとの情報やメルマガの配信、イベント・セミナーへの参加などの情報をデータベース上で一元管理します。
そして、これらの情報は、ネットを介してスマートフォンやタブレットなどからアクセスできるため、外出先でいつでも検索でき、効果的な営業活動に生かせます。今後、ナーチャリングを行う際には、新規顧客の獲得のために、CRMツールの利用を検討してください。
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