CRMを活用した広告戦略とは?アドレサブル広告の活用事例も紹介
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- 広告は顧客の興味・関心などを引き出すこと、CRMは顧客との関係構築が目的である
- CRMを広告戦略に用いることで、リピート購入の促進やプロモーション展開ができる
- CRMを用いた広告戦略を成功させるためには、体制を整えるなどの注意ポイントがある
広告とCRMには、それぞれの役割と目的があり、CRMを広告戦略に活用することで、休眠顧客の掘り起こしや、既存顧客へのプロモーション展開などが可能になります。本記事では、CRMを用いた広告戦略でできること・対応する広告媒体の他、課題や成功ポイントも解説します。
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広告の役割と目的
広告の役割には主に、情報の伝達・商品の説明・社会的な機能の三つがあります。情報の伝達は、自社の商品・サービスを人々に広く伝えることを目的としています。
また、商品・サービスの対象者や価格などの詳細な説明を行うことは、お客が購入を検討する際の判断材料となります。
さらに、広告には商品・サービスの販売促進のみに留まらず、社会的なメッセージを発信しているものもあります。お客に社会問題を提示することで、問題意識を起こし高める狙いがあります。
社会問題に対する企業の考えや取り組みに共感したのをきっかけに、そのブランドの愛顧者となるケースも見られます。
広告の活用例
広告は、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の4大マスメディアを通して、また駅やデパートの掲示板など、あらゆる場所で古くから親しまれてきました。
なかでもテレビ広告は、画像の動き・音声から視覚と聴覚の両方に訴えるものとして、また全国各地へ広く放送されることから、多大な影響力を持っています。
ネットの普及に伴い、SNSをはじめとするWeb上でデジタル広告を目にする機会も増えてきました。デジタル広告は、テレビ広告同様動きのあるものも多く、更に広範囲を対象としていることから、近年急速に広まっています。
CRMの役割と目的
CRMは、Customer Relationship Management(顧客関係管理)の略で、自社と顧客との間で良好な関係を築き、相互利益を生み出すことを目的とした経営手法です。
具体的には、顧客ごとの性質を捉えニーズを理解した上で、それぞれに合ったサービスを提供するものです。1990年代後半から徐々に広まってきたこの手法は、今やビジネスに欠かせない存在といっても過言ではありません。
情報システムの進化に伴い、顧客関係管理を手助けをするCRMツールも誕生しました。CRMツールは、年齢や性別・購入履歴などの顧客の情報を一元管理できるシステムです。
このCRMツールを活用することで、部署をまたいでの情報共有がしやすくなるなど、業務の効率化が期待できます。また、顧客の情報整理や分析もよりスムーズに行えるようになるため、効果的な経営戦略にも繋がります。
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CRMの役割と目的
CRMの活用例
CRMの活用例として、代表的なものに案内メール・葉書、またクーポンの送付などが挙げられます。主に、既存顧客のリピートや興味を持ってくれそうな新規顧客の開拓を目的としたものです。
案内メールや葉書を送る際は、登録した顧客データを分析することで、どのような案内が効果的か内容を検討します。
また、クーポンの配布には、顧客にお得感を与えたり、購入意欲を高めたりする効果があります。クーポンには有効期限を設けている企業も多いです。期限を定めることで、顧客の確保や顧客へのサービスを集中的に行うことができるからです。
CRMの代表的な機能
CRMの代表的な機能である顧客情報管理機能や顧客分析機能、プロモーション管理機能について、詳しく解説します。
顧客情報管理機能
顧客情報管理機能とは、顧客の氏名・住所・年齢・性別などの基本的な情報に加えて、購入履歴などのデータを蓄積・管理するシステムです。
経営の戦略を立てるにも、まずはデータがないことには始まりません。そういった意味で、顧客情報の管理はCRMの基礎ともいえる重要な役割を担っています。
顧客分析機能
顧客分析機能とは、情報管理機能によって蓄積されたデータから顧客の性質や趣向を分析するシステムです。自社における顧客の特徴やニーズを理解することで、それらに合った経営戦略を立てることが可能になります。
また、顧客情報の分析と顧客への理解は、ライバル企業との差別化を図り、自社のオリジナル商品・サービスを生み出すための大切な要素でもあります。
プロモーション管理機能
プロモーション管理機能とは、顧客の購買意欲を高め、販売を促進(Promotion)するための管理システムです。
例えば、商品サンプルの配布や割引券の発行・店頭でのキャンペーンや実演販売など、プロモーション管理機能は自社の商品・サービスをより多くの方に購入してもらうのに効果的なアピール方法を模索します。
CRMを用いた広告とは
CRMを用いた広告と聞いてまず思い浮かべるのは、X(旧ツイッター)やブログをはじめとしたSNSでの配信という方も多いのではないでしょうか。
SNSなどの媒体で配信される、CRMを用いた広告にはアドレサブル広告とDMP広告の二種類があります。この内アドレサブル広告は、自社の顧客データからユーザーを特定し、その上で各々に合った情報を届けるものです。
一方、DMP(Data Management Platform)広告は、Web上のさまざまなサーバーに蓄積されているデータを統合し分析することでターゲットへの効果的なアプローチを狙うものです。
また、SNSの広告媒体では、広告配信のためのターゲットリストを作ることも可能です。自社の顧客データをアップロードし、広告媒体が保有する情報と照らし合わせることで、より成約性の高い相手へ広告を配信することができるのです。
CRMを広告戦略に使うと可能になること
CRMを広告戦略に使うとどのようなことが可能になるのか、休眠顧客の掘り起こしや既存顧客のリピート購入など、CRMを使った広告戦略でできることを詳しく解説します。
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CRMを広告戦略に使うと可能になること
休眠顧客の掘り起こしができる
CRMのデータを広告戦略に用いると、休眠顧客の掘り起こしができるようになります。顧客のなかには、過去に自社の商品・サービスを購入してくれたことはあるものの、ここしばらくは注文がないといった方もいます。
CRMデータを活用して、そういった顧客へ向けて改めて商品をアピールしたり、新たなサービスの案内を送ったりするのも効果的です。休眠状態にあった顧客に、商品を再び注文・購入するきっかけを与えることができます。
既存顧客のリピート購入を促進できる
CRMによる広告戦略では、既存顧客のリピート購入を促進することも可能です。自社の商品・サービスを一度購入してくれた顧客のなかから、継続的に購入してくれる、いわゆるお得意様を生み出すことは、企業の利益を上げるのに欠かせない要素です。
CRMデータを元に、定期購入してくれる顧客へ向けてクーポンを発行したり、現在購入の商品と併用することで更なる効果が期待できるセット商品の案内を送ったりすることで、既存顧客の定着を図ることができます。
また、商品の購入やサービスの利用でたまるポイント制を導入したり、複数回購入の顧客に限定して割引券を配付したりと、お得感や特別感を出すことで顧客のリピート率が高まります。
新規顧客へのプロモーションができる
企業の収益を上げ安定させるには、過去に商品を購入してくれたことのある顧客はもちろん、新規顧客へのプロモーションも大切です。訪問や電話、チラシやメールなどあらゆる方法で、商品・サービスを積極的に宣伝していきましょう。
また、アンケートをとってニーズを調査したり、興味や反応を示してくれた相手にサンプルを提供したりなども効果的です。このように、見込み顧客との間に自社との接点をを持たせることは、新規顧客を開拓する上で重要な要素です。
CRMが広告戦略にもたらすメリット
上記のように、CRMを広告戦略に使うとさまざまなことが可能になります。ここでは、CRMが広告戦略にどのようなメリットをもたらすのかを見ていきましょう。
独自性を打ち出せる
顧客の行動履歴や購買データを詳細に分析できるCRMを活用すれば、顧客一人ひとりの好みやニーズに合った広告を提供できます。その他大勢に向けた広告を発信する企業が多い中、明確にターゲットを絞った広告は独自性があり、より効果的です。
また、顧客は自分が欲しかった的確な情報を受け取ることで、製品やブランドへの愛着が湧き、忠誠心も高まります。このような顧客はいずれリピーターやロイヤルカスタマーとなり、売上に大きく貢献してくれるかもしれません。
コストを抑えて高い効果を得られる
効果的な広告戦略を実行するには、過去のデータや結果の分析がたいへん重要です。通常は、複数のツールを用いて膨大なデータを管理・分析しなければなりませんが、CRM機能を活用すれば、より簡単に正確な分析が可能になります。
その結果、人的・時間的コストを抑えながら、ターゲットを絞った効率的な広告戦略が目指せます。さらに、ピンポイントに的確な広告を提供できるので、多くの広告費をかける必要もなくなります。
データ分析にかかる手間や時間、不特定多数に向けた非効率な広告費を抑えて、より効果的な広告戦略を行うのにCRMは欠かせない存在と言えます。
CRMを活用した広告戦略の方法
CRMを活用した広告について、メールを連動させた広告の配信・ユーザーの状況による広告の分別・リピート顧客へのフォロー広告など、それぞれの広告戦略の方法を詳しく解説します。
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CRMを活用した広告戦略の方法
メールを連動させた広告配信
メールでの広告配信は、紙媒体よりも低コスト・高スピードで多くの方へ商品・サービスをアピールできる手段として、急速に増えてきました。
特にアピールしたい点をメールの件名に凝縮することで、受信者の興味を引き出しましょう。これは顧客である受信者にとっても、必要な情報とそうでないものが一目で分かるという利点があります。
また、広告メールを送った相手の反応を分析することで、顧客の要望を理解し定期的な購入に繋げることも可能になります。
このように、CRMを活用しメールを連動させた広告配信を行うことは、少ない費用で多大な効果が期待できるのです。
ユーザーの状況によって広告を分ける
同じ内容の広告を画一的に送るだけでなく、ユーザーの状況によって広告を分けるのも有効な手段です。CRMを活用することで、この広告戦略が可能になります。
広告を目にするユーザーにとっても、ミスマッチ広告が減り、自身にとって興味のあるものや必要性の高い情報を効率的に得ることができるため、購入へと繋げやすくなります。
リピート顧客へのフォロー広告
商品・サービスを継続して購入してくれるリピート顧客を得るには、販売だけでなくその後のフォロー広告を入れることも大切な要素です。
提供した商品やサービスに問題がなかったかなどを調査し、改善点や要望を汲み取ったり、利用状況を確認し、商品の効果的な活用を促したりすることで、顧客との関係を深めます。
質問や相談をしてきた顧客には、特に丁寧な対応を心掛けましょう。顧客に良い印象を与えることができれば、顧客自らが親しい人へ宣伝してくれたり、ネット上に評価の高い口コミを入れてくれたりする可能性が高まります。
既存顧客へキャンペーン展開
既存顧客に対して定期的なキャンペーンを展開していくことも、売り上げを伸ばすのに効果的といわれています。
商品・サービスを更に理解してもらうためのパフォーマンスや、割引券の配付やポイントアップデイの制定など、また購入したくなるようなキャンペーンを開催することで、既存顧客の定着を図ります。
アドレサブル広告に対応する広告媒体
顧客データからユーザーを特定し、各々に合った情報を届けるアドレサブル広告は、多くの企業で活用されています。
アドレサブル広告に対応する媒体には、Googleをはじめ、Yahoo・Twitter・Facebookなどさまざまなものがあります。それぞれの広告媒体について、詳しく解説します。
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アドレサブル広告に対応する広告媒体
Google広告
Googleは、アメリカ合衆国発祥の世界的に有名な企業です。今や、インターネットに関する製品・サービスを提供する代表格とも言われています。
これまで、調べたいことがあれば辞書をひくのが一般的でしたが、インターネットの普及に伴い、分からないことがあればGoogleで検索するなど、多くの人にとってGoogleは身近な存在となってきました。
Google広告は、AIによって、検索をはじめYouTubeやDiscoverなどのさまざまな広告タイプのなかからより効果的なものをピックアップして作成されます。
Yahoo!ディスプレイ広告
Yahoo!JAPAN(ヤフー株式会社)は、日本の有名な企業です。Yahoo!とソフトバンクとの合併により1996年に誕生しました。
日本で初のポータルサイトとして、またGoogleと並ぶ二大インターネット産業として、国内を中心に多くの方に親しまれています。
Yahoo!ディスプレイ広告は、Yahoo!のトップページをはじめ、広告掲載枠のあるWebサイトに、宣伝用の画像や動画を表示・アピールするものです。
商品・サービスの内容を掲載面に沿って動的に表示する動的ディスプレイ広告の他にも、商品の説明やURLなどを表示するテキスト広告、一定の画像・動画を表示するバナー広告など、さまざまなタイプがあり、作成する際に選ぶことができます。
X(旧Twitter)広告
X(旧Twitter)は、アメリカ合衆国のX Corpが運営するWebサービスで、2006年に開始されました。パソコンやスマートフォンから、自身のアカウントを取得することで、X上にコメントを投稿できるようになります。
これらのコメントは、ツイート(つぶやき)と呼ばれ、一回の投稿が140字以内との気軽さも相俟って勢いよく世界に広まり、現在多くの人が利用しています。
そのX上に広告を載せることで、商品・サービスの認知や企業の公式サイトへの誘導を効率的に行うことができます。
また、Xにはリポスト(旧リツイート)と呼ばれる拡散機能があり、これによって広告の内容がXの利用者へ広く伝わることが多いのも、大きな利点です。
Facebookカスタムオーディエンス
Facebookは、アメリカ合衆国のカリフォルニア州に本拠地を置くソーシャル・ネットワーキング・サービスです。2004年の創業当初は、利用者がハーバード大学の学生に限定されていました。
その後、Facebookは他大学の学生や高校生にも徐々に開放されるようになり、現在は13歳以上であれば誰もが利用できるサービスとして、広く知られています。
Facebookの広告・カスタムオーディエンスは、自社の商品・サービスに何らかの接点を持つユーザーを対象に広告配信を行える機能です。接点の例としては、企業の公式サイトへのアクセスやアプリのダウンロード、資料の請求などが挙げられます。
このようなユーザー向けに改めて商品・サービスの紹介を行うことで、成約へと導きます。また、類似オーディエンスとの組み合わせにより、ターゲットを更に広げられることも、Facebook広告の大きな特長です。
Instagram広告
Instagramは、アメリカ合衆国のメタ・プラットフォームズ所有のソーシャル・ネットワーキング・サービスです。写真や動画を気軽に投稿できることで人気を集めています。Instagram広告には一日約100円という低価格から始められるメリットがあります。
また、InstagramはFacebookと経営グループが同じであることから、Instagramへの投稿とFacebookへの投稿を連動させることも可能です。Facebook同様、ターゲティングや類似オーディエンスの機能にも優れています。
CRMを活用した広告戦略を実施する際の課題
CRMを活用した広告戦略を実施するにあたって課題となることがいくつかあります。現状では、CRMを導入したものの思うような成果が得られない企業も少なくありません。
達成の妨げとなっている要因として、顧客データの不足やデータ入力の負荷、タイムリーさに欠けるといった声があります。このことからも分かるように、顧客データの量と質・適切な管理は、広告戦略を行う上で重要なキーを握っています。
また、導入コストとの兼ね合いや、データが不必要に外部へ漏れたりしないようセキュリティ対策をとることも大切な課題といえます。
CRMを使った広告戦略を成功させるポイント
CRMを使った広告戦略を成功させるには、目標の設定やデータの優先順位付け、運営ルールの整備などが重要です。これらのポイントについて、それぞれ詳しく解説します。
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CRMを使った広告戦略を成功させるポイント
目的・目標を設定する
CRMを使った広告戦略を成功させるには、まず第一に目的・目標の設定が大切です。CRMの目的は、顧客との関係を深めニーズに合った商品・サービスを提供することで利益を上げるものです。これを達成するための具体的な目標を掲げましょう。
例えば、いつまでに新規顧客をどれくらい増やすかや、既存顧客のリピート率をどのようにして上げるかなどです。目標を設定したら従業員へ共有することも、企業全体の士気を高めるのに欠かせないポイントです。
データに優先順位を付ける
CRMを使った広告戦略でより効果を上げるには、たくさんの顧客データのなかから必要度の高いものを優先してピックアップしていくことも大切です。
年齢や性別によってターゲットを絞ったり、月ごとに販売に力を入れたい地域を限定したりなど、販売する商品・サービスの内容に合わせて優先順位を付けることで、CRMデータをより効果的に利用できます。
運用ルールや体制を整える
広告戦略を成功させるには、CRM導入の体制を整え、長期に渡って安定した運用を行うことが大切です。CRMデータをスムーズに活用できるよう、運用ルールを決めておきましょう。
例えば、CRMデータの入力を行う際、従業員によってやり方が異なっていると、正確な分析ができにくくなってしまいます。そういったことを避けるためにも、きちんとマニュアルを設定しておく必要があります。
まとめ
CRM(顧客関係管理)は、顧客のニーズを理解しそれぞれに合った商品・サービスを提供することで、顧客との相互利益を図る経営手法です。一方、広告は自社の商品・サービスを広く伝え、販売を促進していくことを目的としています。
これまで主要であったテレビ・ラジオなどのマスメディア広告に加えて、近年SNSなどのデジタル広告を目にすることが多くなりました。これらの広告戦略に、CRMを活用する企業が増えています。
CRMデータを元に宣伝を行うことによって、新規顧客の獲得や既存顧客のリピートに繋がりやすくなるためです。また、バラバラになりがちな顧客情報もまとめて管理できるCRMツールも注目されています。
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