CRMとLTVの関係性とは|LTVの計算方法とポイントを解説

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  • CRMにおける顧客との関係構築の成果を、LTVを指標にして確認することができる
  • LTVを計算することで、顧客満足度を上げたり、営業コストを抑えたりできる
  • LTVを高めるためには、単価を上げたり、利用頻度を高める等のポイントがある。

既存顧客との関係性や維持・拡大が必要な企業において、CRMとLTVの理解が役立ちます。本記事では、CRMとLTVの関係性と、LTVが注目される理由について解説し、LTVの算出でできること・計算方法・LTVを高めるためのポイントを紹介します。

目次

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  1. CRMとLTVの関係性
  2. LTVが注目される理由
  3. LTVを算出することでできること
  4. LTVの計算方法
  5. LTVを高めるためのポイント
  6. まとめ

CRMとLTVの関係性

CRMは顧客関係管理を意味し、顧客情報の収集・管理・分析を行い、顧客との関係を強化する効果的な手段です。一方、LTVはLife Time Valueの頭文字を取ったもので、顧客が長期的に企業にもたらす価値を表す指標です。

ここでは、まず2つの言葉の意味を解説したうえで、両者にどのような関係性があるのかを詳しく説明します。

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CRMとは

CRMはCustomer Relationship Managementの頭文字を取ったもので、顧客関係管理を意味します。企業が顧客との関係を強化し、効果的なマーケティングや販売活動を行うためのツールとして注目を集めています。

顧客情報を一元管理し、個別のニーズに合わせたサービスや提案を行えるので顧客満足度の向上に効果を発揮してくれます。顧客のデータをさまざまな分野に応用して利用できるため、営業活動の効率化や営業支援などにも役立ちます。

LTVとは

LTVとは顧客生涯価値を意味し、顧客が企業にもたらす経済的な価値を指します。顧客が商品やサービスを継続的に購入し、企業への収益を長期的にもたらすかどうかを示す指標としても使われます。

LTVは顧客の購買回数・購入金額・リピート率などのデータを基に算出されるため、顧客の将来的な支出額を予測できます。顧客の獲得や維持にかかるコストと比較し、顧客から得られる収益を評価する際に重要な指標となります。

CRMとLTVには密接な関わりがある

CRMとLTVは、顧客管理や収益性の観点から密接に関連しています。CRMを適切に活用すれば、顧客のニーズや嗜好に合わせたきめ細やかな対応が可能となり、顧客満足度とロイヤリティと共にLTVも向上します。

つまり、CRMはLTVを最大化するための重要な手段と言えます。顧客との信頼関係を築き、長期的な付き合いを促進することで、企業は顧客から継続的な収益を得られ、結果としてLTVの向上にも繋がるのです。

LTVが注目される理由

顧客の経済的な価値を指標化するLTVは、近年注目が集まっています。ここでは、時代背景を交えながら、LTVが注目される主な理由を3つ紹介します。

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長期的な顧客との関係性が重要視されてきたから

LTVが注目を集めている理由として、昨今のビジネス環境の変化に伴い、顧客の価値を長期的な視点で評価する必要性が増していることが挙げられます。

市場が成熟し消費力が低下した現代では、企業間の競争が激化し、従来のように短期的な取引に注目する手法ではなく長期的な視点での評価が不可欠です。そのため、顧客との長期的な関係性を指標化できるLTVが重要視されています。

顧客の好みや行動が多様化しているから

近年は、顧客の好みや行動が多様化することで需要が分散してしまい、画一的な営業手法では効果が得られなくなりました。定額性のサブスクリプションサービスも増加しており、顧客に長期的にサービスを利用してもらう必要があることも理由の一つです。

LTVは顧客が企業にもたらす将来の収益性を示す指標であり、顧客獲得やロイヤリティの向上に寄与します。CRMをはじめとするさまざまなツールの進化により顧客データの収集や分析が容易になり、顧客のニーズに合わせた個別対応も可能になっています。

人口減少により新規の顧客獲得が難しくなっているから

日本の人口は年々減少しており、厚生労働省の資料によると、2070年には9,000万人を割り込むと想定されています。また、高齢化が進み、積極的な消費活動を行うとされる年代の割合も年々減少傾向です。

そんな中、新規顧客を獲得し続けるのは難しく、企業はいかに既存の顧客との関係性を強固なものにできるかを重要視しつつあります。そういった時代背景により、既存顧客の価値を数値化できるLTVに注目が集まっているのです。

参考:我が国の人口について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html

LTVを算出することでできること

LTVを算出することで顧客がもたらす収益を客観的に把握でき、さまざまな効果が得られます。利益を最大化させるためにどのようにLTVを役立てられるか、代表的な項目を取り上げていきます。

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顧客満足度を上げられる

環境の変化に伴い、現在は新規顧客を多く獲得するための戦略よりも顧客1人ひとりとより深い関係を構築し、長期的な顧客満足度を向上させることが重要視されています。顧客の満足度はLTVの向上に直結するため、現状を把握するために効果的な指標となります。

LTVは顧客から得られる利益を指標化するだけでなく、商品やサービスに対する満足度やロイヤリティなども抽出できます。そのため、LTVを算出することで顧客の課題解決などに役立てられ、顧客満足度の向上につながります。

営業コストを抑えることができる

一般的に、新しい顧客を獲得するためには既存顧客に比べて多くのコストが発生します。既存顧客に対して重点的なアプローチをかけ、ニーズの掘り起こしや商品のアピールを行うことで新規顧客よりもコストを抑えながら成果に繋げられます。

LTVを算出し顧客との関係を指標として把握すれば、より顧客のニーズに沿った商品やサポートを提供することができます。顧客の満足度が高まると口コミやリピート率の向上などにもつながり、営業活動の効果も出やすくなります。

また、よりLTVが高い顧客だけにフォーカスすれば効果的にリピート購買・クロスセル・アップセルなどの増加が狙えます。これにより、営業コストをかけずに既存顧客からの収益を増やすことができます。

顧客のエンゲージメントを測れる

顧客からの愛着度はエンゲージメントとして表れます。顧客が商品やサービスに満足し、エンゲージメントが高まれば、消費行動に反映されLTVにも影響を及ぼします。そのため、LTVを算出することは顧客のエンゲージメントを把握することに繋がります。

顧客が何回リピート購入をしているか・どれくらいの期間関係を継続できているかなどの情報はLTVに現れるため、LTVは顧客のエンゲージメントを測る指標としても適しています。

事業計画や経営目標の根拠になる

事業計画を作成したり、経営目標を定めたりする際は、具体的な数値や指標が必要です。LTVを算出することで、顧客がもたらす利益だけでなく、新規顧客にかけるべき予算も把握できるため、より具体的な計画や目標が立てられます

優良顧客にスポットをあてて、好みや購買行動を詳細に分析すれば、今後どのように商品やサービスを展開していくべきかという、企業の方向性も定まりやすくなるでしょう。

LTVの計算方法

LTVの計算方法は以下の通りです。まず、顧客の平均購入額を購買頻度に掛けて売上を算出します。次に、それに購買が継続されている期間を掛けます。算出された値から顧客の獲得にかかったコストを差し引けば算出されます。

例えば、平均購入価格5万円・収益率40%・コスト10万円の2人の顧客を比較してみます。顧客Aは1ヶ月ごとに年間12回購入・継続期間3年とし、顧客Bは2ヶ月ごとに年間6回購入・継続期間2年とした場合、計算式は次のようになります。

  1. 顧客A 5万円×12回×3年間×40%-10万円=62万円
  2. 顧客B 5万円×6回×2年間×40%-10万円=14万円

上記のように、全く同じ購入額・収益率・コストの顧客同士を比較した場合でも、LTVで比較すると購入頻度や購買期間によって何倍もの差が出てきます。そのため、見かけの売上高よりも長期的な視点で顧客を評価することができます。

LTVを高めるためのポイント

LTV を向上させるには、顧客のニーズや行動を把握し、購買行動に繋げるためのさまざまな様子を分析していくことが重要になります。LTVに影響を及ぼす4つの要素について解説していきます。

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顧客満足度を上げる

LTVを高めるためには顧客満足度の向上が不可欠です。まずはそれぞれの顧客が抱えるニーズを理解し、適切な価値を提供することが大切です。顧客のニーズを把握するために、CRMで蓄積した情報を活用すればより高い効果を得られます。

顧客と長期的で良好な関係を築くためには、丁寧なサービスや迅速な課題解決が必要になります。顧客を大切にし、ニーズに合わせた価値を提供し続けることが顧客の満足度に繋がり、顧客の行動変化によるLTVの向上が期待できます。

顧客単価を上げる

LTVは購買単価×購買頻度×継続購買期間×収益率から顧客の獲得などにかかるコストを引いて算出されます。そのため、顧客単価をあげれば平均購買単価が向上し、必然的にLTVの向上に繋がります。

顧客単価を上げることは顧客に歓迎されないイメージがありますが、顧客の潜在的な要望を汲み取ることでニーズに繋げることも可能です。個々の顧客に適切な対応を取ることでアップセルやクロスセルなどの効果的なアプローチができます。

顧客の利用頻度を高める

LTVの計算式には購買の頻度が含まれるため、顧客の利用頻度が高まればLTVも向上します。購入頻度を顧客にまかせるのではなく、適切なタイミングで販促活動を打ち出すことによって購入の機会を増やすのが有効です。

顧客にとって魅力的な新商品をプロモーションしたり、優待クーポンなどを発行して購入意欲を刺激すれば利用頻度の向上が見込めます。

顧客の継続利用期間を延ばす

継続利用期間や継続購買期間もLTVの向上に欠かせない要素です。例えば、顧客への継続的なサービスや長期的なフォローアップによって、顧客の満足度を向上させ利用期間を延長させることができます。

コスト削減を図る

新しい顧客を獲得するためにかかる費用は、既存顧客の約5倍に該当すると言われています。新規顧客の獲得よりも、既存の顧客を維持する方がはるかに費用が抑えられるのです。高コストな顧客はLTVにも影響を及ぼします。

コストの削減には業務を効率化し、無駄な時間や手間をかけないことが重要ですが、新規顧客の開拓には大きな業務負荷がかかります。導入のコストをかけてもすぐ離れてしまう顧客も多く、無駄なコストを削減することでLTVを向上させられます。

まとめ

精度の高いLTVを算出するためには、顧客1人ひとりにかかる詳細な費用や顧客の行動履歴などのデータが必要となるため、CRMによる情報の記録が不可欠です。特に、リピート購入が見込まれる商品や長期的なサービスにおいて高い効果をもたらしてくれます。

また、LTVを向上させるためには、顧客から獲得できる売り上げだけでなく、利益の獲得に必要な費用や経費なども考慮する必要があります。獲得時にかかった費用や利用頻度などの情報もCRMツールを使えば簡単に取得できます。
このように、CRMとLTVは深く結びついており、企業と顧客が長期的なWin-Winの関係を築いていくためにとても重要な要素となります。コスト削減と顧客のエンゲージメント向上を同時に叶えられるLTVをぜひ取り入れてみてください。

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