CRM分析とは?データ分析手法・活用方法についても詳しく解説

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  • CRM分析とは、CRMで収集した顧客データを分析することである
  • 分析手法は9種類あり、自社の課題に合わせた分析機能を持つCRMを選ぶことが重要
  • CRM分析を行う際は、分析の目的を明確にし既存顧客へのアプローチを優先する

CRM分析とは、CRM(顧客管理システム)で収集したデータを分析することを指します。CRMを最大限活用するには、データ分析を行い事業拡大に向けた施策を考えることが重要です。この記事ではCRMの分析手法や注意したいポイント、分析データの活用方法などを解説します。

目次

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  1. CRM分析とは
  2. CRM分析はなぜ重要か
  3. CRMの分析手法
  4. CRM分析を行う際のポイント
  5. CRMのデータ活用方法
  6. まとめ

CRM分析とは

CRM分析とは、CRMデータを用いて顧客との良好な関係をつくるための分析をすることをいいます。CRMデータとはCRM(顧客管理システム)で収集したデータのことで、CRMのシステムには顧客分析機能も含まれています。

CRMデータは自社の製品やサービスを実際に購入した人・興味を持ってくれた人たちのデータです。つまり、CRM分析の対象は一般市場の消費者ではなく、自社の顧客です。そのため、CRM分析の結果は信頼性が高く、顧客との関係性強化に有効な武器となります。

CRMデータに含まれる情報は、住所・年齢・性別・購入履歴・問い合わせ履歴など多岐に渡ります。それらのデータを組み合わせて分析すれば、それぞれの商品・サービスを購入した年代や性別、購入時期などがわかり、それに沿ったプロモーションも可能になります。

そもそもCRMとは

CRMとは、「Customer Relationship Management」の略称で、日本語では「顧客関係管理」と呼ばれています。顧客のニーズを把握し、ニーズに則した顧客満足度の高い商品やサービスを提供して、企業収益の最大化を図ることを目的としています。

また、このようなマネジメントを行うために顧客情報を収集・保存するツールのことを「CRM」と呼ぶこともあります

ツールとしてのCRMの役割は、顧客情報の管理と分析だけではありません。メール配信機能・問い合わせ管理機能・会員サービス機能・マーケティング支援など多くの機能を搭載しており、業務の効率化にもつながります。

CRMは各企業で注目され、導入が進んでいる手法・ツールですが、その背景には消費行動の変化があります。これからは、顧客一人ひとりのニーズに応じたマーケティングが必要だと言われています。それを支援するのがCRMです。

CRMツールの必要性

顧客情報は、各部門がそれぞれ独自の方法で蓄積していることもあります。しかし、その状態でCRM分析をしようとすると、項目が足りず細かな分析ができなかったり、情報が更新されていなかったりして、信頼性の低い分析結果になってしまいます。

より多角的なデータ分析を行い、実用性のあるマーケティング戦略を立てるには、各部門のデータを集約して整理する必要があります。それを実現するのがCRMツールです。CRMツールを使えば、顧客情報を一元管理することができ、効率よくCRM分析を行えます。

CRM分析はなぜ重要か

1991年のバブル崩壊後、消費者の価値観は変わり、より個々人のニーズが重要視されるようになりました。それにしたがって、商品やサービス中心でなく、顧客を中心に置いたマーケッティング戦略が必要になり、企業は顧客情報を集めるようになりました。

しかし、顧客情報は蓄積するだけでは何の役にも立ちません。顧客情報を分析し、営業戦略を立てたり販促をしたり、といった行動につなげて初めて、顧客情報に価値が生まれます

CRM分析によって顧客理解を深め、一人ひとりのニーズに合わせた最適なアプローチをすることで、顧客との関係性を強化し、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上に寄与することができます。

また、分析結果を社内全体で共有することで、今までにはなかった売上向上施策の立案につなげることもできるでしょう。

CRMの分析手法

CRMの分析手法はいくつかあり、導入するCRMツールによっても搭載されている分析機能が異なります。ツール導入の際には、自社に必要な分析手法が搭載されているかを確認する必要があります。ここでは、代表的な9種類の分析手法について解説します。

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RFM分析

RFM分析は、最終購入日(Recency)・利用頻度(Frequency)・累計購入金額(Monetary)の3つの指標で顧客情報を分析し、顧客をランク付けする手法です。最終購入日が近いほど、利用頻度が多いほど、金額が大きいほど顧客ランクは上位に位置づけられます。

ランク上位の顧客は上得意で、優先的なアプローチによってさらなる売上向上が期待できますまた、購入金額は大きくても、最終購入日が古ければ顧客離れの可能性が高いため、もう一度顧客に引き戻すような、自社の良さをアピールする施策が必要になります。

CPM分析

CPMは「Customer Portfolio Management」の略で、RFM分析の指標に「顧客の在籍期間」を加えて分析し、顧客を10のグループに分類する手法です。分類は、まず現役客と離脱客に分け、それぞれを購入回数・購入金額・離脱期間などでさらに細かく分類します。

分類された10のグループにはよちよち顧客・流行現役顧客・優良現役顧客・優良離脱顧客など、具体的な名称がつけられています。この分析によって自社の顧客の現状を明らかにし、それぞれのグループに応じた最適なマーケティング施策を考えていきます

デシル分析

デシルとは、ラテン語で「10分の1」を表します。デシル分析では、まず顧客を購入金額順に10のグループに分けます。次に、分析した全データの総購入金額に対する、それぞれのグループの合計購入金額の割合を算出します。

デシル分析の指標には購入日が含まれていませんが、期間を区切ってデシル分析を行うとさらに精度の高い分析が可能です。デシル分析の実施により、今まで担当者の感覚や知識に頼っていた部分を汎用性のあるデータの形で可視化でき、具体的な施策につなげられます。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析は、顧客をいくつかの属性で分類し、全体的な傾向を把握する分析方法です。属性には顧客の年齢・性別・職業・家族構成・居住地域などがあり、分析の目的に応じていくつかを選択します。

セグメンテーション分析の分析結果は、どのような属性を持った人へのアプローチがより効果的なのかを検討する資料となります。ある製品に絞って分析すれば、製品ごとのアプローチの仕方がより明確になります。

CTB分析

CTB分析はカテゴリー(Category)・テイスト(Taste)・ブランド(Brand)の3つの指標で分析する方法です。カテゴリーは商品の分類、テイストはデザインやサイズ、ブランドはブランドやキャラクターのことです。

CTB分析により、顧客のニーズを正確に把握し、顧客への適切なアプローチが可能になります。たとえば、人気商品の販売をさらに推し進めたり、顧客ニーズに合った商品開発ができたりします。また、分析結果を生産調整に役立て、不要な在庫を削減することも可能です。

LTV分析

LTVは「Life Time Value」の略で、日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれています。LTV分析方法では、平均購入単価・購入頻度・購買期間などを基に、一顧客が生涯で総額どれくらいの金額を自社の製品・サービスに使うかを算出し、優良顧客の見極めに利用します。

LTVは、購入単価が高いほど、購買頻度が多いほど、購買期間が長いほど値が大きくなります。1回の購入が少額でも、長期間購入し続けていればLTVは高く、重要性の高い顧客と判断できます。

クラスター分析

クラスター分析は、大きな集団の中から類似したものを集めたグループ(クラスター)をつくって分析する手法で、アンケートの分析などで使われています。クラスターの区分は定性的な要素によって決まり、年齢・性別などの明確な分類基準は設けません。

クラスター分析は、大量のデータを基に顧客の特性や傾向をつかみたい場合に利用します。マーケティングの指標となるポイントを見つけられる手法で、その分析結果は、新商品・サービスの売上予測や市場での自社のポジショニングなどに活用することができます

行動トレンド分析

行動トレンド分析は、特定のシーズンにおける顧客の購買行動を分析する手法です。年齢・性別・居住地・職業別などで分類することで、顧客の細かな行動分析ができます。行動トレンド分析により、特定の時期に特定の顧客への、効果的なアプローチが可能になります。

たとえば、クリスマス商戦やバレンタインデー商戦で売れる商品やサービス、特定の曜日や特定の年代に人気のある商品やサービスなどがわかり、それに対するマーケティング戦略を練ることが可能になります。

売上分析

売上分析は、会社全体や従業員、商品ごとの売上傾向やプロセスを分析する手法を指します。売上分析により、売上が伸びたり伸び悩んだりしている原因が明確になり、具体的な施策を考えられます。

また、今まで勘と経験に頼っていた目標設定でも、売上分析に基づいた予測により、信頼できる数値を導き出せます。さらに、商品の売上げを個別に分析すると、購入する顧客の属性や購入の多い時期などもわかり、新たな戦略が立てられます

CRM分析を行う際のポイント

CRM分析を行う際には、いくつかの注意点があります。ここでは、CRM分析で効果を上げるためのポイントを解説します。

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目的を明確にする

CRMの最終目的は、より効果的な経営戦略を実施して、会社の利益を増やすことです。そのためのCRM分析ですが、闇雲なデータ分析は役に立ちません。まずは、分析目的を明確にすることが大切です。

目的を明確にすると、どのようなデータが必要で、どのような分析手法を使えばいいのかが明らかになります。たとえば、既存顧客への営業を強化したいなら、RFM分析で顧客の購買行動を調査するのが有効な方法の1つです。
分析を始める前に、自社にはどのような課題があり、その中でどの課題の解決を優先すべきなのか、よく吟味し担当者間で共有しておきましょう

複数の手法を組み合わせる

より精度の高い分析を行うためには、顧客データを多角的に捉えることが重要です。しかし、1つの分析だけでは見えてくることが少なく、施策立案までつなげられない、または効果の低い施策になってしまう可能性があります。

それぞれの分析手法には強みと弱みがあります。複数の手法を用いて多角的な視点で課題を解決し、目標に近づけましょう
また、分析結果を基に施策を行ったあと、その効果を検証することも重要です。実際にどのような効果があったのか把握することで、次の施策に活かせます。さらに、効果があれば購入履歴などのデータも更新されるので、CRM分析は継続的に行う必要があります。

既存顧客を囲い込む

顧客の確保には、既存顧客の顧客離れを防ぐ方法と新規顧客を増やす方法があります。しかし、新規顧客の獲得には大きな労力と経費がかかる傾向があります。そのため、顧客離れを防いだり、既存顧客の重要度を上げたりする方が費用対効果は大きいです
CRMのデータ分析を活用して新規顧客獲得の施策を打つこともできますが、まずは既存顧客に対しての施策を実施することが重要です。存顧客の満足度を上げ、優良顧客を増やす施策実施するなど、既存顧客を囲い込むアプローチが効果的です。

自社に合ったCRMツールを導入する

CRMツールには多くの種類があり、それぞれに得意分野と苦手分野があります。CRMには顧客の管理から営業支援まで行えるものや、業務の効率化に特化したものもあります

同様に、搭載されている分析機能精度も異なっています。導入前に自社が解決すべき課題を洗い出し、自社の課題解決に必要な分析機能を把握してからの導入検討が必要です。分析結果を業務にどのように生かすのかも考え、自社に合ったCRMを選びましょう。

CRMツールの選び方

CRMツールを選ぶ際は、前述のように機能範囲や分析機能の精度はもちろん、ツールの操作性やセキュリティ性なども重要な比較ポイントとなります。操作性については、実際にツールを扱う従業員を交えて、トライアルなどで試してみるのが良いでしょう。
さらに、ベンダーによるサポートについても確認しておくと安心です。特にシステム導入・乗り換えにおいて自社の人材リソースが足りていない場合は、サポートが充実しているベンダーを選ぶことをおすすめします。

ERPの併用を検討する

ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略で、日本語では「経営資源計画」と呼ばれています。一般的には、企業が持つ情報を一元管理するシステムをERPと呼びます。

ERPの導入により、各部署に分散している情報一元化でき、自社の経営状況を正確かつタイムリーに把握できるようになります。
また、CRM分析においても部署をまたいでデータを活用できるため、分析精度の向上につながります。その結果、保有データが最大限生かされ、より詳細かつ効果的な経営戦略が立てられます。業務効率の向上も期待できるので、CRMとの併用の検討がおすすめです。

CRMのデータ活用方法

CRMにはいろいろな活用方法があります。ここでは、ダイレクトメールの配信とWeb広告の最適化について解説します。

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ダイレクトメールを配信する

企業のマーケティング手法の1つに、メールマーケティングがあります。すべての顧客へ一斉送信することも可能ですが、顧客をあるカテゴリーに分け、それぞれのカテゴリーに合わせたダイレクトメールを送ることで、よりマーケティング効果が高まります

その際に役立つのがCRMの分析結果です。分析によって分けられたグループごとに最適な内容を作成できるほか、DM限定のキャンペーンなども分析結果を参考にすればより効果的なものになります

また、送信したメールの開封率やクリック率などを測定すれば、これらを新たなデータとしてCRM分析に活用でき、メールの文面やアプローチ方法を検証・改善することも可能です。

Webサイト上の広告を最適化する

現在、個人情報保護の観点から、WebサイトにおけるCookie取得の厳格化が進んでいます。CookieとはWebサイトからユーザーのブラウザに保存される情報のことで、サイトを見た日時・回数・買いものかごに入れた商品情報など、さまざまな内容が記録されています。

Cookie取得の厳格化は、今まで行われてきたリターゲティング広告が出しにくくなったり、広告の成果分析の精度が低くなったりするなど、マーケティングにも影響が出ます。
しかし、CRMにおける顧客情報はCookieとは関係なく収集されていることがほとんどなので、Cookie取得が規制されても、CRM分析を使えば取得できなくなった情報も的確に追え、最適化した広告を表示することができます

まとめ

CRM分析では、CRMで収集した顧客データを基に、顧客をいろいろなカテゴリーに分けたり顧客の購買行動を細かく分析できたりします。

その分析手法は多くあり、自社に適した手法、またCRMツールを選択することが重要です。データ分析を始める前に分析する目的を明確にし、目的に合った分析手法を使いこなす必要があります。
ただし、いくら良い分析ができても、分析結果を基にした戦略を立て実施しなければ、CRM分析の意味は低下します。業績アップを目指してCRM分析を効果的に活用し、具体的な施策につなげましょう。

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