ロイヤルカスタマー育成にはCRMがおすすめ!活用法と注意点を解説
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- ロイヤルカスタマーは売上だけでなく、新規顧客の獲得にもつながる
- CRMで顧客への最適なアプローチが分かるため、ロイヤルカスタマーの育成に貢献する
- ロイヤルカスタマーの育成を行う際は、自社のロイヤルカスタマーの定義が必要になる
ロイヤルカスタマーは、自社に大きな利益をもたらしてくれる存在のため、ロイヤルカスタマーの育成は重要なものになります。本記事では、ロイヤルカスタマーについてと、育成する必要性について解説し、育成にCRMがおすすめな理由や注意点について紹介します。
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ロイヤルカスタマーとは
ロイヤルカスタマーとは、その企業・商品・ブランドに強い愛着・信頼を持つリピート客です。なお、ロイヤルカスタマーの英語表記は「Loyal Customer」です。「Loyal」は「忠誠心」、「Customer」は顧客を意味します。
よって「Loyal Customer」は直訳すると、(企業に)忠誠を誓った顧客となります。ロイヤルカスタマーは1つの企業の商品・サービスに愛着を強く持ち、他社の類似商品に目もくれない点が特徴的です。
つまり企業にとって最も大切なお得意様であり、大切にすべき存在です。企業の収益を安定的にするには、いかにしてロイヤルカスタマーを増やすかが課題となります。
なお、ロイヤルカスタマーは「Royal Customer」と誤解されることが多いです。「Royal」には王室・王・女王などの意味があります。ロイヤルカスタマーを「王族のような(お金持ちの)客」と誤解しないように注意しておきましょう。
優良顧客との違い
ロイヤルカスタマーと優良顧客の違いは、その企業・商品・ブランドなどへの愛着の有無です。前述の通り、ロイヤルカスタマーは強い愛着をもって、その企業の商品をリピートし続ける顧客を指します。
一方、優良顧客とは購買金額・購買頻度が高い顧客を指します。いわゆるお得意様ではありますが、その企業の商品やブランドに強い愛着を持っているとは限らない点が、ロイヤルカスタマーと異なります。
優良顧客の中には、「たまたま商品を買った」「他の商品に乗り換えるのが面倒だから」という理由で、その企業の商品を購入し続けている層も存在します。
優良顧客は企業そのものに強い愛着があるわけではないため、より魅力的な商品が現れれば、他社に流れる可能性があります。
対してロイヤルカスタマーは企業の商品やブランドそのものに強い愛着・信頼があるため、他社に流れることは稀です。つまり優良顧客の中のうち、よりお得意様にあたるのがロイヤルカスタマーです。
なお、優良顧客はロイヤルカスタマーになる可能性を秘めている顧客でもあります。より自社製品への愛着をかき立てられるようなアプローチをすることで、優良顧客をロイヤルカスタマーへと育てていけるでしょう。
リピーターとの違い
リピーターとは、自社の製品を繰り返し購入してくれる顧客を指します。一度製品を購入し、気に入ったことでその後も繰り返し購入するようになるのが一般的なリピーターです。製品やブランドに惹かれているという点は、ロイヤルカスタマーと同じです。
しかし、優良顧客と同様に、リピーターは必ずしも製品やブランドに愛着や忠誠心がある方ばかりではありません。「他社よりも安いから」「早く届くから」といった理由でリピーターになっている場合もあります。
なお、優良顧客とリピーターの違いは収益性です。優良顧客は購買価格や頻度が高く、売上に大きく貢献してくれます。もちろん、リピーターの中にも収益性の高い優良顧客はいるものの、中には購入頻度が少なかったり、安い製品を繰り返し購入したりする方もいるため、リピーター全てが優良顧客とは言い切れません。
ロイヤルカスタマーを育成する必要性
ロイヤルカスタマーは企業にとって、安定的な収益・永続的な成長をもたらしてくれる存在です。まずはロイヤルカスタマーを育成する必要性・意義について解説します。
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ロイヤルカスタマーを育成する3つの必要性
売上の向上のため
ロイヤルカスタマーを育てることは、企業の売上の向上のために必要です。ロイヤルカスタマーはその企業に愛着・信頼を持っており、商品やサービスを積極的にリピートし続けてくれる顧客です。いわゆるLTVが高い顧客でもあります。
LTVとは「顧客生涯価値」とも呼ばれており、1つの商品・サービスを利用し始めてから終了するまでに、その商品・サービスに支払うお金の総額です。顧客1人あたりのLTVが高いほど、企業は継続的で安定的な収益を見込めます。
つまり企業が安定的な売上をあげていくには、LTVの高い顧客すなわちロイヤルカスタマーを増やす必要があります。企業はそのための施策を行いましょう。
新規顧客獲得のため
ロイヤルカスタマーの育成は、新規顧客の面でも重要です。ロイヤルカスタマーは企業にとって魅力的な広告塔になってくれるためです。
ロイヤルカスタマーはその企業のファンであるため、自ら積極的に商品やサービスの魅力を発信してくれることが多いです。たとえばSNSやブログでの商品紹介が代表的です。
一般的には、企業に商品・サービスを売り込まれるよりも、身近な人におすすめされる方が、その商品を購入してみようという思いは強くなるものです。
よって企業は、ロイヤルカスタマーを増やすことで、新規顧客を効率的に獲得しやすくなります。また、有名タレントなどを起用するよりも宣伝費などのコストを大幅にカットできる点もメリットです。
そのため近年は、ロイヤルカスタマーを広告塔に起用する企業が増えています。この手法は、自国の魅力を外国に発信する「大使」になぞらえて、「アンバサダーマーケティング」と呼ばれています。
商品・サービスに対してフィードバックがもらえるため
ロイヤルカスタマーは、ときに厳しい意見やフィードバックをくれる存在でもあります。企業に親しみを感じているからこそ、悪い点があれば「もっと良くなって欲しい」という思いが強いためです。
企業は実際のユーザーの声を反映できるため、より質の高い商品やサービスを提供できます。また、ロイヤルカスタマーの指摘によって、企業が見落としていた課題・問題点を早期にキャッチできる場合もあるでしょう。
顧客の大半は、なにか不満があっても声を上げない「サイレントマジョリティ」と呼ばれる存在です。サイレントマジョリティはコミュニケーションが取りにくく、不満がある場合は黙って自社から離れてしまうため、囲い込みが難しいグループといえます。
対してロイヤルカスタマーは、改善点があれば指摘してくれます。むやみに批判するのではなく、建設的な意見をくれる存在は、企業が成長し続けていくために必要不可欠な存在です。
ロイヤルカスタマー育成に向けた顧客分析方法
ロイヤルカスタマーは売上向上・新規顧客の獲得・企業の成長をもたらしてくれる存在です。ロイヤルカスタマーは多いほど企業にとってメリットがありますが、ただ待っていても増えるものではありません。
ロイヤルカスタマーを増やすには、企業側が、一般顧客をロイヤルカスタマーに育てるよう働きかける必要があります。しかし顧客の中には、いくら働きかけてもロイヤルカスタマーにならない層も一定数存在します。
コストの節約のためにも、まずはロイヤルカスタマーになる可能性がある顧客・ない顧客の選別が必要です。そこで重要となるのが、顧客分析です。
ここからは、ロイヤルカスタマー育成に欠かせない顧客分析の方法をご紹介していきます。
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NPS分析
NPS分析は「推奨者の正味比率」などと呼ばれています。自社製品について、顧客が家族や友人にどの程度おすすめしたいかを10点満点で評価してもらう方法です。点数によって、顧客を次のように分類します。
- 0〜6点:批判者
- 7〜8点:中立者
- 9〜10点:推奨者
点数が高い顧客ほどロイヤルカスタマーの素質があると判断できます。企業や商品への愛着度といった定量性データの収集に適した分析方法です。
一方、NPS分析では購買金額や購買頻度といった定量データの分析はできません。より精度を高めるには他の分析方法との併用が望ましいでしょう。
RFM分析
RFM分析は、次の3つの指標から顧客を分析する方法です。
- Recency:直近の購入日
- Frequency:購入頻度
- Monetary:購入金額
上記の指標を数値化し、顧客を次のように分類していきます。
- 優良顧客
- ロイヤルカスタマー
- 休眠顧客
- 新規顧客
RFM分析では、購入金額や頻度という具体的な数値を用いて分析するため、客観的な結果が得られる点が特徴です。
一方で、RFM分析は企業や商品への愛着度といった定性データの収集はできません。そのため優良顧客の選別は可能ですが、その中に含まれるロイヤルカスタマーの抽出は困難でしょう。
なお、RFM分析の指標に「顧客の在籍期間」という指標を加え、CPM分析を行うこともあります。CPM分析では、結果をもとに顧客を10グループに分類します。
CPM分析
CPM(Customer Portfolio Management)分析は、RMFと同様、指標に基づいて顧客を分類・分析する方法です。
RFM分析が現在の顧客の状態を把握できるのに対して、CPM分析では今後自社の売上を長期的に支えてくれる優良顧客を精査できます。CPM分析の主な指標は以下の通りです。
- 購入回数
- 購入金額
- 在籍期間(初回購入日から直近購入日までの期間)
- 離脱期間(最終購入日から現在までの経過期間)
CPM分析ではこれらの指標を利用して、顧客を以下の通り5つのグループに分けます。さらに、このグループをそれぞれ現役客と離脱客に分けて、最終的に10個のグループに分類し分析を行います。
- 初回客
- よちよち客
- コツコツ客
- 流行客
- 優良客
CPM分析は自社製品を気に入り、繰り返し購入してくれる優良なリピーターを育成するのに効果的な手法です。優良なリピーターは、今後ロイヤルカスタマーになってくれる可能性もあるでしょう。
ただし、CPM分析を行うには顧客の長期的な購買データが必要であり、相応の時間と労力がかかります。
LTV分析
LTVは「顧客生涯価値」といい、1人あたりの顧客が1つの商品・サービスを利用し続けることで、その企業に生涯かけて支払う金額(企業が得る利益)です。LTVは、以下の計算式で算出できます。
・LTV=1ユーザーの年間の取引額×粗利率×1ユーザーの継続年数
LTV分析はロイヤルカスタマーを抽出し、そのニーズを詳細に分析できる点がメリットです。ロイヤルカスタマーに対する手厚いアプローチが可能となるため、LTVのさらなる拡大につなげられるでしょう。
一方で、LTV分析はロイヤルカスタマー以外のニーズのキャッチはやや困難となっています。より精度を高めるには、他の分析方法との併用がおすすめです。
ロイヤルカスタマーを育成するマーケティング方法
顧客をロイヤルカスタマーに育てるには、温度感別に適切なアプローチを行っていく必要があります。そのためにも、まずは顧客の温度感やニーズを探る必要があります。
次のようなマーケティング方法は顧客との関係構築やニーズ調査に役立つため、幅広い企業で採用されています。
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CRM
CRMは顧客関係管理というマーケティング方法です。顧客関係管理ツールをCRMと呼ぶこともあります。
CRMの主な目的は、顧客との良好な関係の構築・維持です。顧客とコミュニケーションを取りながら潜在ニーズを探り、興味を引きそうな商材を提案しながら、顧客満足度の向上や売上の拡大につなげていきます。
なお、CRMは長期的な施策を前提としているため、効果が現れるまでにはある程度の時間が必要です。
CEM
CEMは顧客体験管理と呼ばれるマーケティング方法です。簡潔にいえば商品に付加価値をつける方法であり、顧客を感動させるようなサプライズを仕掛けて顧客の信頼感や満足度を獲得していきます。
より強い感動を与えるには、顧客自身も気づいていないようなニーズを深く探っていく必要があります。ニーズの発掘にはCRM・MAのような、他のマーケティング方法を用いることが一般的です。
MA
MAはマーケティングの自動化と呼ばれており、主に見込み客(リード)の獲得・育成のために用いられます。
MAとツールにはスコア管理機能が搭載されており、見込み客の温度感を数値化できます。各人の温度感に合わせた最適なアプローチが可能になるため、効率的なロイヤルカスタマーの育成が可能になるでしょう。
MAはCRMと併用することで、さらに精度を高められます。
ロイヤルカスタマーの育成にはCRMがおすすめ
顧客をロイヤルカスタマーに育てるには、CRMツールの利用がおすすめです。CRMは顧客目線に立った戦略を提案してくれるツールであるためです。
CRMでは顧客ごとの購買履歴のほか、問い合わせ・クレーム履歴など、顧客との接触状況を幅広く網羅します。
集積されたデータを分析することで、顧客が抱えている課題や潜在ニーズを浮き彫りにできるでしょう。すなわち個々の状況にあわせた最適なアプローチができるため、確実な売上につなげられるというメリットがあります。
また、顧客のニーズを理解したアプローチは、顧客側に「必要なときに必要な商品を提案してくれる」という安心感と信頼感を与えます。すなわち顧客のロイヤルティが高まるため、その顧客がロイヤルカスタマーに育つ可能性が高まります。
CRMでロイヤルカスタマーの育成を行う手順とポイント
CRMを活用してロイヤルカスタマーを育成する際の手順とポイントをご紹介します。CRMの効果が出るまでにはやや時間がかかりますが、地道に継続することが成功のカギとなります。
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CRMでロイヤルカスタマーの育成を行う4つの手順とポイント
自社のロイヤルカスタマーを定義する
まずは自社にとってのロイヤルカスタマーの定義を明確にしましょう。たとえば「○○ヶ月で△△以上の購入がある顧客」のように、具体的な数値を使って定義してください。
定義が曖昧なままでは、当然ながらロイヤルカスタマーの正確な抽出はできません。すなわち具体的な施策にもつなげられないため、まずは明確な定義づけが重要です。
カスタマージャーニーマップを作成する
続いてカスタマージャーニーマップを作成しましょう。カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品を購入するまでの行動を予測して図式化したものです。
カスタマージャーニーマップの作成手順は次の通りです。
- ペルソナの設定:ターゲットとなる顧客を絞り込む
- ペルソナの行動を予測:ターゲット顧客が購入に至るまでの行動プロセス(検索・比較検討・購入)を予測する
- 修正:アンケートなどを実施し、2の予測を修正して精度を高める
- フレームワークの決定:ターゲット顧客の行動や思考を表にする
カスタマージャーニーマップに表した行動を取っている顧客は、将来ロイヤルカスタマーになる可能性が高いといえます。綿密なアプローチを行って囲い込みましょう。
CRMでロイヤルカスタマーの情報を分析する
ロイヤルカスタマーの育成の経緯を分析しましょう。たとえば、なかなかリピート購入がなかった場合は、その原因などを分析する必要があります。原因を発見し、改善策を講じれば、新しいロイヤルカスタマーをより効率的に育成できます。
ロイヤルカスタマーの情報分析に役立つのがCRMです。購買履歴や問い合わせ・クレームなどの顧客情報を一元的に管理することで、顧客のニーズや抱えている課題の傾向をキャッチできます。
コミュニケーションの実行
各顧客のニーズにあわせた最適なアプローチ方法を探り、実行していきます。たとえばリピート購入がない顧客に対しては、リピート購入に使えるクーポンの配布などを行います。
リピート購入が増えるほど、その顧客はロイヤルカスタマーへ育つ可能性が高まります。
より的確なアプローチを実行するには、顧客ニーズの調査に長けたCRMの活用がおすすめです。顧客の反応率を観測できる機能も搭載されており、どのようなアプローチが有効なのかが一目で把握できます。
ロイヤルカスタマーの育成をCRMで行う際の注意点
CRMでロイヤルカスタマーを育成する際の注意点は、CRMだけを過信しないことです。CRMは基本的に購入履歴からロイヤルカスタマーを抽出します。
お金の流れからは、顧客が実際に企業に愛着を持っているかは正確に測れません。そのため、企業はときに誤ったアプローチを行う恐れがあります。
CRMによるロイヤルカスタマー育成を成功させるには、他のマーケティング方法との併用がおすすめです。たとえばCRMにCEMを併用すれば、商品価値に付加価値が加わるため、顧客のロイヤルティを高められます。
ロイヤルカスタマーを育成するには、自社の興味・関心を引きつけるような施策の継続が重要です。マーケティングツールの活用やSNSでの情報発信などを行いながら、顧客のロイヤルティを高めていきましょう。
まとめ
ロイヤルカスタマーはその企業や商品のファンとして、リピート購入を続けてくれるお得意様です。ロイヤルカスタマーはLTVが高いため、多ければ多いほど企業は安定的な収益を見込めます。
しかしロイヤルカスタマーは待っていても現れるものではないため、企業は顧客をロイヤルカスタマーに育てるような働きかけが必要です。
ロイヤルカスタマーを育成するには、まず顧客の信頼を獲得し、関係を強化していく必要があります。そのためには顧客とのコミュニケーションを一元管理できるCRMツールの活用がおすすめです。
CRMは他のマーケティングツールと併用することで、ロイヤルカスタマーの育成を効率的に行えます。継続的な収益を獲得したい企業は、ぜひCMRなどのツールを活用しながら、ロイヤルカスタマーの育成に取り組んでみてください。
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