CRMの歴史・誕生の背景とは?普及した理由や機能性についても解説
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- CRMの元となる概念「MIS」が生まれたのは1960年代で、古くから顧客管理は存在する
- 現代はマーケティング手法として広く普及しており、AI導入などによる発展が進んでいる
- インターネットの普及などで顧客のニーズが多様化し、CRMの必要性はより高まった
現在、CRMは顧客情報を管理・分析するツールとして広く浸透していますが、大元となる概念が生まれたのは1960年代です。顧客ニーズが多様化する中、あらゆるビジネスでCRMの重要性が高まっています。本記事では、CRMの歴史について年代別に詳しく解説します。
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CRMとは
CRMとは「Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)」の略で、顧客情報の管理や分析をするためのツールです。
顧客の氏名・電話番号・住所といった基本的な情報から、やり取りの履歴・見積もり・購入履歴・請求書など、さまざまな情報をデジタル化して管理します。
例えば、ポイントカードやアプリの登録時に顧客情報を収集し、販売件数の多い商品を年齢別に参照したり、購入頻度の高い日時を分析したりなど、マーケティングに役立てることが可能です。
また、CRMで管理することで、顧客側がポイントカードの紛失や新しいカードに移行した際、情報照会ができるため便利です。
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CRMの歴史・誕生の背景
顧客情報を管理するためのツールは、古くは江戸時代の大福帳からはじまりました。本格的なCRMの基礎は1960年代頃からはじまり、現在に至るまで高度IT化とともに進化を続け、より効率的かつ一般的になっています。
ここでは、CRMの歴史や誕生の背景について解説します。
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CRMの歴史・誕生の背景
1960年代|「MIS」の考え方が生まれる
1960年代に、CRMの基礎となるMISの考え方が生まれました。MISは「Management Information System」の略で、経営情報システムと訳されます。
「必要な情報を必要なときに必要な人に」をスローガンに掲げ、それまで経験に頼っていた経営を、コンピュータ管理によってトータル的に効率化することを目的としたシステムです。
MISはシステムに入力されたデータを抽出することによって、実践的な経営管理・経営判断に役立てる考え方でした。しかし、当時はソフトウェア・ハードウェアに制限が多すぎたとされています。
現在のようなデータ処理システムはなく、記録できるデータ容量が少なくディスプレイ装置もないため、経営目的の実践的な活用には至りませんでした。
古い時代から「顧客管理」の考え方は存在していた
経営目的のために顧客情報を管理するという考え方は、古い時代から存在していたとされています。江戸時代には、大福帳という取引明細を記入する帳簿が使われていました。日々の売買の勘定を記録し、お得意様を丁寧に扱っていたようです。
1970年代|「DSS」が登場するも普及せず
成功したとは言えないMISの理念を次世代に継承した考え方が、1970年代に提唱されたDSSです。DSSは、Decision Support Systemの略で、意思決定支援システムと訳されます。
MISとの主な相違点は、MISのトータルアプローチ的発想から脱却し、経営管理者が直接コンピュータを操作して、自ら必要なデータの取得や分析を行なう点です。
DSSは、経営者がシステムに蓄積された情報を活用し、経営判断などの意思決定をサポートすることを目的としたシステムです。しかし、専門技術者以外には操作が複雑であり、ユーザフレンドリネスや経営者のリテラシーの低さから、普及には至りませんでした。
1980年代|「EUC」「SIS」「OLAP」に発展
1980年代はワープロの普及に伴って、CRMは大きく変化しました。情報システムを活用して経営判断などの意思決定を行なう考え方が発展し、EUC・SIS・OLAPというシステムが登場しました。
EUCは「End User Computing」の略で、業務を行なう従業員自らが情報システムのソフトウェア開発・運用に関わることです。SISは「Strategic Information System」の略で、戦略情報システムと訳されます。
基幹系情報システムと情報系情報システムの両方を有し、情報システムを企業の補助ではなく、経営戦略の中心として積極的に活用することです。SISは、1980年代後半に日本でも大きく普及しました。
OLAPは「Online Analytical Processing」の略で、オンライン分析処理と訳されます。アプリケーションのような柔軟な情報処理ツールで、ユーザーが情報システムに複雑な分析処理を指示すると、すぐに結果を提示するシステムです。
1990年代前半|アメリカでCRMの概念が誕生
1990年代前半に、多様化する消費者ニーズに伴って、アメリカでCRMが誕生しました。当初は、汎用コンピュータやオフコンに導入した情報システムから、顧客に関するデータのみを抽出して営業活動に役立てることを目的としていました。
顧客ごとの購買履歴などから好みを分析し、キャンペーンや商品の提案を決定していました。ダウンサイジングやオープン化などの技術も取り入れ、役立てていたのも特徴です。また、日本ではバブル経済の崩壊がCRM普及に大きな影響を与えました。
国内市場が一気に冷え込み、さまざまな企業が先を見通せなくなったことで、既存顧客を大切にする動きが強化されました。その結果、CRMによって顧客情報を活用し、競争力の強化につなげる企業が増加した時代です。
1990年代後半|CRMがマーケティング手法として確立
1990年代後半になると、CRMが一般的なマーケティング手法として確立してきます。従来のマスマーケティングに代わって、顧客ごとの対応が重要性を増した時代と言われています。
1998年に、コールセンター・インターネットなどの新しい媒体をベースに、顧客との関係をITの活用によって築くという考え方が大きく普及しました。この考え方の中核となるのが、CRMです。
顧客の性別・年齢・住所・購買履歴などを収集して、顧客に適した商品やキャンペーンなどを提示したり、問い合わせに迅速に対応したりすることで、顧客満足度の向上に寄与しました。
この考え方は日本でも大きく普及し、大企業・中小企業問わず、さまざまな企業がCRMを導入しました。
2000年代|SFAを兼ね備えたCRMが登場
2000年代に入るとIT技術が大きく発展し、CRMも大きく変化しました。最も大きな変化はCRMの統合システム化です。CRMと似たシステムに、SFAと呼ばれるものがあります。SFAは「Sales Force Automation」の略で、営業支援システムと訳されます。
CRMが顧客との関連性を目的としたシステムであるのに対し、SFAは営業活動の可視化をITで支援するシステムです。それまでCRMとSFAは別のシステムでしたが、この時代から両システムは連携できるようになりました。
CRMの統合システム化により、営業活動から顧客管理を一元管理する、SFAを兼ね備えたCRMが登場しました。
2010年代後半|AIなどの最新技術を活用したCRMへ
2000年代以降、CRMは一般企業へ広く普及し、顧客ごとのデータ管理・分析に大きく役立てられてきました。2010年代後半になると、AIをはじめとした最新技術によって、CRMはさらなる発展を遂げます。
例えば、AIによって閲覧履歴や購買行動などから、顧客視点を取り入れることが可能になり、顧客の好みや行動を予測しやすくなりました。その結果、これまでよりもさらに顧客に合った商品・サービスを提示することが可能となりました。
また、モバイル端末に対応したCRMシステムが登場し、いつでも顧客情報を把握できるようになったため、より効果的な営業活動に役立てることができるのが利点です。
CRMはなぜ普及したのか
現在では、さまざまな企業に導入されているCRMですが、普及した背景にはいくつかの理由が関係しています。ここでは、CRMがなぜ普及したのかについて解説します。
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CRMが普及した2つの理由
OnetoOneマーケティングの重要性が高まったため
購買履歴などを基に、顧客一人ひとりの要望に適した商品やサービスを提供することで、自社商品の購入やファンを獲得することを、One to Oneマーケティングと言います。
新規顧客を獲得することは、既存顧客を維持することより4倍以上ものコストがかかると言われています。そのため、既存客を維持するOne to Oneマーケティングの重要性が高くなり、それに伴って顧客管理・分析に優れたCRMが普及しました。
1990年代までは、大量生産・大量販売に重きを置いたマスマーケティングが主流でした。マスマーケティングは、One to Oneマーケティングと対照的に、市場全体におけるすべての顧客に対して同一のアプローチを行ないます。
しかし、同じ市場でもニーズは異なるため、顧客に合った情報を適切に与えられるOne to Oneマーケティングの方が、より成果が出ると注目されるようになったと言われています。
顧客行動が複雑化したため
インターネットが普及してからは、世の中に多種多様な商品・情報が溢れ、ネットで簡単にそれらを入手することができ、人々のライフスタイルや価値観が大きく変化しました。
また、顧客行動が複雑化し、ネット普及前まで通用していたマーケティング戦略では効果が出にくくなっています。そのため、各顧客行動の把握・分析をして解約者を未然に防ぎ、新規顧客の満足度を高められるCRMが重宝され、広く普及したと言われています。
CRMの3世代
CRMは辿ってきた歴史の中で、3世代に分類できます。CRMの3世代は、CRMを一部システムとして活用したベストプラクティス型、SFAと統合したプラットフォーム型、最先端技術を導入したパーソナライズド型です。ここでは、3世代のCRMについて解説します。
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CRM1.0|ベストプラクティス型
ベストプラクティス型CRMは、企業の各業務のニーズに対して、業務に応じたツールを導入して効率化を図るシステムです。顧客の情報管理や在庫管理・営業など、さまざまな業種に適したCRMシステムを一部導入して、機能特化を行います。
営業活動の支援に特化したSFAは、ベストプラクティス型の代表的な例です。
CRM2.0|プラットフォーム型
プラットフォーム型は、顧客と関わるすべての企業活動の最適化を目的としたCRMシステムです。個別の業務最適化を目的としたベストプラクティス型と異なり、プラットフォーム型はCRMサブシステムを統合することで、企業全体の最適化に期待できます。
プラットフォーム型は、2006年のIT技術の進化によって実現し、それまで個別に行なっていた情報管理・在庫管理・営業などの業務を、すべて1つのシステムに統合できるのが特徴です。
企業に務めるさまざまな担当者が、各顧客のデータをリアルタイムで確認できるようになり、要望・クレーム対応の質を向上させることができるようになりました。
CRM3.0|パーソナライズド型
パーソナライズド型は、経営戦略とAIを融合し、各顧客の行動に基づいたデータを管理・分析するCRMシステムです。2016年にビジネスインテリジェンスの発展やAIが実用化されたことで、CRMシステムにも実践的な導入ができるようになりました。
顧客ごとに管理されたデータをAIに分析させることで、顧客が言動に移していない状態でも、潜在的に望んでいる商品・サービスを提供できます。CRMの最終目的地と言われており、各顧客に高度に対応するという点で、本来の意味でのCRMシステムと言えます。
CRMは今後も進化を続けていく
CRM 3.0は、CRMにおける最終目的地と言われていますが、現行で完全に進化が止まったわけではありません。インターネット環境の普及、スマートフォン・タブレット端末の需要の高まりなどにより、今後も消費者ニーズは複雑化していくことが予想されます。
特に、AI技術は凄まじいスピードで進化を続けており、常に機械学習を続けているAIはCRMの可能性をさらに引き出していくでしょう。また、企業の存続・企業利益とも大きく関わるCRMの需要は伸びる一方であり、より効果的なシステムが求められます。
CRMは、さまざまな業種業態に活用できるという柔軟性の高さからも、多くの場面で活用されることが期待されます。
CRMでできること
企業がCRMを導入することで、顧客情報の分析から情報共有がスムーズに行えます。ここでは、CRMでできることについて解説します。
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CRMでできる4つのポイント
顧客情報を分析してニーズを把握
CRMシステムは顧客情報を一元管理できるため、各顧客の情報を分析してニーズを把握することが可能です。各顧客のニーズに合った商品・サービスを提供することで、顧客の維持や購買意欲を高められます。
また、顧客情報を分析することによって、改善すべき点や目標が見える化し、事業拡大につなげることができます。
リアルタイムで迅速な対応が可能
CRMに情報が入力されると、システムを利用するすべてのユーザーに瞬時に共有されます。そのため、リアルタイムで顧客情報を分析して、優良顧客につながるマーケティング施策を実行することができます。
また、カスタマーサポートに問い合わせがあった際、担当者に素早く情報共有を行うことで、迅速な顧客対応が可能です。部門間の連携強化にもつながるため、効果的な顧客満足度の向上にも寄与します。
顧客情報の共有で属人化を防げる
顧客情報をCRMシステムに登録することで、社内の他部署間とも簡単に顧客情報を共有することができます。その結果、業務の属人化を防ぐことが可能です。
各顧客に対して、過去の担当者が請け負っていた情報を別の担当者へと共有できたり、サービスの均質化に役立てたりすることができます。
大幅に業務を効率化できる
CRMシステムを導入すると、業務を大幅に効率化することができます。従来の顧客管理では、担当者がExcel(エクセル)などに直接手入力し、メールやチャットなどで他の担当者と共有する必要がありました。
しかし、CRMシステムを導入すれば、入力や管理の手間を軽減し、コスト削減や人員リソースの効率的な活用につなげられます。
まとめ
CRMシステムはコンピュータが誕生して以降、幾度となく進化を遂げており、現代では効率的な顧客管理ができるようになりました。
一般企業に本格的に導入されはじめたのは1990年代後半で、各顧客に適したマーケティングを行なうOne to Oneマーケティングの普及に伴って、広く活用されてきました。
また、現在ではAIの進化と共にCRMシステムも発展し、基本的な顧客情報だけでなく、顧客が必要とするコンテンツの提案など、さまざまな営業活動に役立つ機能を備えています。
CRMシステムは、顧客情報を詳細に管理・分析して各顧客に最適な提案ができるため、既存顧客の維持や優良顧客を獲得したい場合には、CRMの導入がおすすめです。
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